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家事や育児、介護などの分担をめぐって、家族間で言い争いが増えて、いつのまにか一緒にいて心地よい存在だったはずの家族が「つかれる存在」になってしまった……そんな話を聞くことがよくあります。

どうして自分の不満が家族に伝わらないの? どうしたら「つかれない家族」になれるの? そんなふうに「つかれる家族」と「つかれない家族」を考察するこの連載。

今回のテーマは「育児をめぐる社内の分断」です。育児休業取得者や短時間勤務者の仕事をめぐり、職場がギスギスし、悪循環が生まれることがあります。その分断を解消するために役立つかもしれない、厚生労働省が今年からスタートした両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」を紹介します。

育休取得者が増えてきた一方で、起きていること


漂う不平等感…


職場に広がる嫌な空気…


分断解消に向けて、企業も国も動き出す


このような支援ができた経緯とは


支援の種類もさまざま


時短用の支援も新設


これらの支援で、育児による離職を減らせたら


本当の「育児しやすい社会」を目指して



厚労省の「両立支援等助成金」にはさまざなコースがあり、育児だけではなく、介護や不妊治療と両立しやすくするために職場環境を整備する企業にも助成金が出る(図:厚労省公式サイトより)

職場から「気兼ね」と「我慢」を減らすために

本来、育休や時短は男女共に会社員としての当然の権利で、職場に気兼ねする必要はないものです。育休や時短によってできなくなった仕事についても、管理職がその分配に責任を持つべきもので、当事者が責任を感じるものではありません。ただ、日本はもともと長時間労働社会。自分の仕事だけでいっぱいいっぱいなのに、さらに仕事を増やされて、そこに何の手当もつかないとしたら、不満を持つ人がいるのは当然です。「子どもは社会の宝だから」と精神論だけで片付けるには限界があるのです。

この問題を解決するには、そもそもの働き方の改革も必要だと思いますが、その仕組み作りに国や自治体の支援をうまく利用するというやり方もあると思います。

マンガで紹介した両立支援等助成金「育休中等業務代替支援コース」の手当て支給に関する支援を受けるには、中小企業であることのほかに、「代替業務の見直し・効率化」「手当制度等を就業規則などに規定」「育休の場合は7日以上、時短の場合は1カ月以上」などの条件があります。詳しくはリンク先を参照してください。

さらに、国とは別に、自治体でも独自の支援策を設けている場合もあります。東京都には、育児中の会社員の就業継続を応援するため、その環境整備を実施した企業に支援金を出す制度があります。この「働くパパママ育業応援奨励金」は、厚労省の「両立支援等助成金」と条件等が異なります。双方との条件がうまくあえば、両方の助成金を得られる場合もあるそうです。

同僚の負担を増やしていることに申し訳なく思っている、育児中の人の分まで仕事が増えてモヤモヤしている、職場の分断にストレスを感じている……そんな方は、こういう制度もあると会社に相談したり、同僚や上司と話題にしてみるのはいかがでしょうか? 職場から「気兼ね」と「我慢」を減らし、社内の分断を解消する合理的なやり方はきっとあるはずです。

この連載にはサブ・コミュニティ「バル・ハラユキ」があります。ハラユキさんと夫婦の問題について語り合ってみませんか? 詳細はこちらから。

(ハラユキ : イラストレーター、コミックエッセイスト)