ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

──今春のマイルGI(ヴィクトリアマイル、安田記念)につながる一戦、GIII東京新聞杯(東京・芝1600m)が2月4日に行なわれます。今回は同レースについて、分析していただければと思います。

大西直宏(以下、大西)古馬と初対戦となる4歳馬の出走が多いレースで、毎年実力比較が難しい一戦となっています。そうしたなか、近年ではGIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)を上半期の最大目標に見据えた4歳牝馬の陣営がここをステップレースに選定。そういった面々の活躍が目立っている印象があります。

 そして今年も、ウンブライル(牝4歳)、コナコースト(牝4歳)、マスクトディーヴァ(牝4歳)ら、今春の大舞台を目指す4歳牝馬が出走。いずれもGI2着の実績があり、上位人気になりそうな馬たちです。馬券検討においては、これらの扱いがポイントになるでしょうね。

――なかでも、マスクトディーヴァは2走前のGIIローズS(9月17日/阪神・芝1800m)で1分43秒0という破格の日本レコードをマークして快勝。続く前走のGI秋華賞(10月15日/京都・芝2000m)でも三冠牝馬リバティアイランドの2着と奮闘し、最も注目すべき存在と言えるでしょうか。

大西 秋華賞でGIオークス(5月21日/東京・芝2400m)の1〜3着馬が再び上位を独占しそうななか、それに割って入ったのがマスクトディーヴァ。実質、この馬が明け4歳世代の牝馬ナンバー2という評価を与えていいと思います。

 血統的にも今後が期待できる馬。馬体面が大きく増加してパワーアップすれば、GIにも手が届く存在であると見込んでいます。

 今回のレースにおいても、今の東京コースは芝のコンディションがよくて高速馬場となっており、芝1800mの日本レコードを塗り替えた同馬なら、速いタイムにも対応可能なはず。個人的にもこの馬の走りには最も注目しています。

――高速馬場であることを踏まえると、今年も昨年同様、1分32秒をきるような高速決着になると考えたほうがいいでしょうか。

大西 もちろんです。出走メンバーには、ウインカーネリアン(牡7歳)、ドルチェモア(牡4歳)、マテンロウスカイ(せん5歳)、ホウオウビスケッツ(牡4歳)など、マイペースを保ちたい逃げ・先行馬がズラリ。これだけの顔ぶれがそろえば、展開的にもスローな流れになることは考えにくいですからね。

 雨が降らなければ、開幕週の高速馬場と同程度と考えていいと思うので、走破タイムも相当速くなることが濃厚です。したがって、高速馬場とハイペースの適性は不可欠と言えるでしょう。

――そんな想定がされる状況において、気になる穴馬はいますか。

大西 ハイペース向きの差し馬ということで、アスクコンナモンダ(牡5歳)に一発の魅力を感じています。

 出脚が悪く、いつもポジションが後ろになってしまうため、好走するには展開に注文がつきますが、今回はハイペースが予想される組み合わせ。この馬にとっては、力を出しきれる流れが期待できそうです。


東京新聞杯での一発が期待されるアスクコンナモンダ。photo by Eiichi Yamane/AFLO

 1600mの持ちタイムは、4走前にマークした1分32秒4が最速。それでも、体重の増加とともに今がまさに成長期のピークであれば、ここで大幅に持ちタイムを更新しても驚けません。

 栗東の中内田充正厩舎の管理馬に、美浦所属の横山武史騎手が騎乗という組み合わせも珍しく、鞍上としては気楽に一発を狙える立場ゆえ、期待は膨らみます。

 人気上位馬の仕掛けをやりすごして、最後の最後に追い込む形をとれば、馬券圏内への突入も十分に可能でしょう。ということで、東京新聞杯の「ヒモ穴馬」にはこの馬を指名したいと思います。