箱根駅伝2024 全チーム紹介

予選会校 後編

(予選会校 前編:シード権を狙う上位の古豪や新興勢力たち>>)

 箱根駅伝2024の全チームの戦力分析。予選会校の後編は下位7チームの紹介だが、主力選手の快走があればシード権も見えてきそうな大学も。各大学の戦力と予想される戦略は?


東海大のエース・石原翔太郎 photo by アフロ

【神奈川大学】

主将を軸に充実の4年生がチームを引っ張る

 前回はまさかの予選会で落選となったが、今回は7位で通過した。主将・小林篤貴(4年)は4月に1万mで28分21秒10と神奈川大記録を樹立。箱根予選会を個人13位(日本人3位)と牽引すると、日本学連選抜で出場した全日本は3区を区間3位タイと好走している。

 1万m記録挑戦競技会では、巻田理空(3年)、宇津野篤(4年)、高橋銀河(4年)が28分30〜50秒台の自己新をマークした。2区はエース小林の起用が濃厚で、前々回に1区を区間11位と好走した巻田、3区経験者の宇津野、全国高校駅伝4区で区間賞の実績がある宮本陽叶(2年)も往路の候補だ。一方で、1年時に10区を区間2位と好走している佐々木亮輔(4年)は復路の軸になる。7年ぶりのシード権獲得にどこまで近づけるか。

【国士舘大学】

5区・山本雷我でどこまで浮上できるか

 2017年から7年連続で出場するも、いずれも15〜20位と低迷。ただ、今回は浮上の期待が高まっている。7年ぶりに出場した全日本は1区・山本龍神(4年)が16位と出遅れ、その後は思うように順位を上げられず15位に終わった。しかし、全日本を欠場した主将・山本雷我(4年)が、激坂最速王決定戦(登りの部)で優勝。前回は5区で区間11位だったが、今回は"山"で順位を上げてきそうだ。

 2区はケニア人留学生のピーター・カマウ(3年)が濃厚。往路の柱がしっかりしているだけに、1区で好位置につけられると面白い。ルーキー時に1区を担った山本龍が候補に挙がっており、4年生の山本"龍・雷"コンビがチームの浮沈を握る。

【中央学院大学】

2区と6区で攻め込み、シード権争いに加わりたい

 3年前は予選会で悪夢を見て、連続出場が18でストップ。前々回は1区が20位と出遅れて総合16位、前回は予選会で敗退と近年は苦戦が続いている。そのなかでチームを牽引してきたのが吉田礼志(3年)だ。ハーフマラソンで日本人学生歴代2位の1時間00分31秒のタイムを持ち、1万mは27分台を2度マーク。箱根予選会では日本人で唯一、トップ集団に食らいついた。今回は"花の2区"で「1時間6分台」を狙っている。

 6区は前々回4位と好走した工藤巧夢(3年)が候補。両区間で攻めの走りが期待できる。主将・飯塚達也(4年)、1万m28分31秒96の伊藤秀虎(4年)、同28分34秒48の堀田晟礼(3年)、上尾ハーフで1時間02分46秒をマークした稲見峻(1年)らで脇を固め、勝負に出る。

【東海大学】

エース・石原翔太郎の復帰で上位戦線へ!

 予選会は、エース・石原翔太郎(4年)と主将・越陽汰(3年)を欠きながら突破。全日本も2人を外したオーダーで9位に食い込んだ。両名は、箱根ではともにエントリーメンバーに加わり、チームは勢いを取り戻している。

 1区は11月26日の日体大長距離競技会1万mで28分14秒75の自己新で走った兵藤ジュダ(2年)が候補。関東インカレの1部1万mで日本人トップに輝いた花岡寿哉(2年)、予選会でチームトップの個人37位に食い込んだ鈴木天智(2年)も主要区間を担うことになるだろう。

 5区は南坂柚汰(1年)が候補に挙がっている。1万mのエントリー上位10人平均タイムは4位 。前回2区で8人抜きを演じたエース石原が完全復帰できれば、上位争いも期待できる。

【東京農業大学】

強力トリオで往路は上位争いを!

 10年ぶり70回目の出場。今季はスーパールーキーの前田和摩(1年)が加わり、チームは一変した。箱根予選会は前田が日本人トップに輝き、11位で通過。14年ぶりに出場した全日本は2区・前田の区間新で4位に浮上すると、4区終了時で5位と前半は大健闘した。

 本戦では予選会でチーム上位の4人を1区から並べたい考えで、"花の2区"は前田が濃厚。10000mで28分10秒台のタイムを持つ高槻芳照(4年)と並木寧音(4年)が前後を挟むかたちになりそうだ。激坂最速王決定戦(登りの部)で吉村颯斗(4年)が3位に食い込んでおり、5区も計算できる。選手層は厚くないが、往路を上位で折り返して、久々の箱根路でインパクトを残したい。

【駿河台大学】

初出場時の19位からどこまで順位を上げられるか

 予選会を12位で通過して、2年ぶり2回目の出場となる。前々回の経験者は新山舜心(4年)のみで、ケニア人留学生はムサンガ・ゴッドフリー(2年)とスティーブン・レマイヤン(1年)のふたりがメンバー登録された。

 主将の新山は、12月2日の日体大長距離競技会の1万mで28分14秒30をマーク。1区で起用されることになれば、2区にケニア人留学生を配置できるため、序盤は上位でレースを進められる期待感がある。1万mで28分32秒29を持つ東泉大河(2年)、予選会でチーム3番目の個人63位に食い込んだ古橋希翁(1年)ら下級生も台頭。前々回の19位からどこまで順位を上げられるか。

【山梨学院大学】

予選会は最下位通過も2区と5区の期待十分!

 予選会は次点の東京国際大と3秒差の最下位通過。しかし、本戦での期待は高まりつつある。ジェームス・ムトゥク(2年)が予選会で個人3位に入っており、"花の2区"は区間上位が計算できる。また、激坂最速王決定戦(登りの部)で弓削征慶(2年)がトップ争いを演じて2位。前回18位だった5区も好走が期待できるだけでなく、予選会でチーム4位の新本駿(3年)を平地にまわすことができるのもプラス材料だ。

 さらに6区も、前回10位で走っている高田尚暉(3年)が控えている。前回4区を10位と健闘した北村惇生(4年)が往路のポイントに区間に起用されるはずだが、まずは1区で好スタートを切って流れをつかみたい。