〈大木淳夫の12月の新店アドレス〉麻布台ヒルズの絶品チーズハンバーグや、三つ星店系列の通いたくなるビストロがオープン

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数々のおいしいお店を訪れ、食べロググルメ著名人として、食べログマガジンでもさまざまなお店を教えてくれる大木淳夫さん。毎月たくさんの飲食店がオープンする中で、大木さんが注目する新店をずらりと紹介します。

教えてくれる人

大木淳夫

「東京最高のレストラン」編集長 
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に「キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由」(堀江貴文)、「新時代の江戸前鮨がわかる本」(早川光)、「にっぽん氷の図鑑」(原田泉)、「東京とんかつ会議」(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、「一食入魂」(小山薫堂)、「いまどき真っ当な料理店」(田中康夫)など。 
好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事も務める。最新刊「東京最高のレストラン2024」が発売中。

麻布台ヒルズで個人的におすすめの4店

今月はやはり、11月24日に開業した麻布台ヒルズでしょう。オープンしたお店の中から、私が特におすすめしたい4店をご紹介します。

ブリアンツァグループのイタリアン

「DepTH brianza」とうもろこし、鰻 写真:溝口智彦

まずはイタリアン「DepTH brianza(デプス ブリアンツァ)」です。ブリアンツァグループを率いつつ、各種プロデュースなどでも大忙しの奥野義幸シェフが自ら厨房に立つ、12席のレストラン。昨年お話を聞いた時、てっきりカウンターかと思ったら「いえ、全てテーブル席にします。お客様同士の会話を大切にしたいんです」と。レストランの存在意義を改めて思い起こさせてくれる発言で、期待が高まったことを覚えています。料理は17時からのショートコースと、19時半からのコースで、随所にシェフならではの驚きがあり、まさに会話が弾みます。イタリアンの看板を守りつつ、おいしければいいじゃないですか、という遊び心も。ちなみに立地の構造上、住所表記は2階ですが坂の上の路面店ですので、お気をつけください。


<店舗情報>
◆DepTH brianza
住所 : 東京都港区麻布台1-2-3 麻布台ヒルズレジデンスA棟 2F
TEL : 050-5590-9819

本店はミシュラン一つ星のイノヴェーティブ・タイ料理店

「SAAWAAN BISTRO」和牛サーロイン マッサマンカレー  出典:ぴーたんたんさん

最もレストランが集まるタワープラザ3階で推薦したいのは「SAAWAAN BISTRO(サーワーン・ビストロ)」です。なかなか高い評価をしないホイチョイ・プロダクションズの馬場康夫さんが「東京いい店」で褒めていて気になったイノヴェーティブ・タイ料理店。本店はミシュラン一つ星ですが、100席もあるので予約は楽勝かと思いきや、夜は全く取れず、お昼に。高級エスニック風の店内は、テーブル間がゆったりしていて、とてもリラックスできます。

「SAAWAAN BISTRO」写真:大木淳夫

ランチは3,450円のセットで、なんといっても香りと余韻が素晴らしい。聞けばその日に使うスパイスを毎朝炒っているそうで、それは確かにおいしいだろうと。現在、夜はアラカルトのみで魅力的なメニューが並んでいるので、必ず再訪しようと思っています。

ちなみに昼、このフロアで一番行列が長かったのは「リストピッツァ バイ ナポリスタカ」と「希須林 麻布台」でしたが、「SAAWAAN BISTRO」のように、ネット予約ができるお店は結構ありますので、事前予約もおすすめです。


<店舗情報>
◆SAAWAAN BISTRO
住所 : 東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ森JPタワー タワープラザ 3F
TEL : 050-5592-2221

浅草が誇るパンの名店カフェ

「ペリカンカフェ」ハム目玉焼きトースト 写真:大木淳夫

2階にはずっと気になっていた「ペリカンカフェ」が。1942年創業の浅草エリアが誇るパンの名店「ペリカン」のカフェで、浅草店に続いての2店目。さらに麻布台オリジナルのカフェメニューは、浅草で生まれ育った、ご存じ・おいしいものを作る名人の米澤文雄シェフが監修。朝8時半オープンで、10時半ごろにうかがったのですが、あと少し遅かったら大行列に飲み込まれるところでした。モーニングの時間だったので、こちら限定のエビフライサンド、レーズンあんバターサンドなどは食べられなかったのですが、選んだハム目玉焼きトーストは、ペリカン特有の身がつまって、なおかつ柔らかな食感とうまさに、自家製マヨネーズ、ハムと半熟玉子のバランスが絶妙で思わず笑みがこぼれました。やっぱりこちらの食パンは大好きです。1斤パンも日曜以外の14時から販売していますので、機会がありましたらぜひ。


<店舗情報>
◆ペリカンカフェ 麻布台ヒルズ店
住所 : 東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ 森JPタワー・タワープラザ 1F
TEL : 03-6426-5741

看板メニューはチーズハンバーグ

「らいむらいと」チーズハンバーグ 写真:お店から

個人的に一番驚いたのは「らいむらいと」の出店です(ガーデンプラザB 地下1階)。市ヶ谷で1986年から続くハンバーグとステーキのお店で、かつてオフィスが近所だったのでよく訪れていました。もちろん昼時は行列ができるような大人気店でしたが、まさか麻布台ヒルズに。スタッフの方と少しお話ししましたが「私たちも驚いてます(笑)」と。森ビルの人ががんばったのでしょう。看板メニューのチーズハンバーグは、いかにも濃厚そうなたっぷりのソースが特徴。バターとガーリック、アクセントとして少し酸味も感じるソースで思いのほか軽く、お箸が止まりません。野菜の天ぷらが入ったステーキ丼も人気ですが、実は牛ロース肉とチーズの挟み揚げも絶品です。11時半にお店を出た時にはすでに20人超の行列でした。


<店舗情報>
◆らいむらいと 麻布台ヒルズ
住所 : 東京都港区虎ノ門5-9-1 ガーデンプラザB B1F
TEL : 050-5592-2159

あの店も虎ノ門に。久我山はカレーの聖地に? そして北千住には味坊集団が

ランチが人気のイスラエル料理店

「Ta-im 虎ノ門」 写真:大木淳夫

10月に開業した虎ノ門ヒルズステーションタワーも、第2弾として11月24日に飲食店10店がオープンしました。中でも私が注目したのはT-MARKETの「Ta-im 虎ノ門」。本店は恵比寿と広尾の間にあるカウンター15席だけの小さなイスラエル料理店で、まあおいしい。初めて訪れた時、驚いて何度も通ったほどですが、虎ノ門ヒルズに入るとは。こちらも森ビルさんががんばった案件ですね。どうやら同ビルには外資系企業が多く、ニーズがとても高かったようで、特にランチはメニューも充実で大人気だそうです。虎ノ門は本店で修業したコンサル会社の方が指揮を執ります。オープンすぐの夜にうかがったところ、セットのみでしたが、久しぶりのフムスやシュニッツェルを楽しめました。


<店舗情報>
◆Ta-im 虎ノ門
住所 : 東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズステーションタワー B2F T-MARKET
TEL : 03-3528-8380

渋谷の間借りカレーが実店舗に

「アミカル」 写真:大木淳夫

同じくエスニックジャンルでは12月8日、久我山に南インド料理店「ammikallu(アミカル)」がオープンしました。店主は「ダバインディア」の元スタッフで、渋谷の間借りカレーから実店舗に。南インドを旅する中で学んだという、現地の家庭料理を提供してくれます。オープン翌日の土曜にうかがいましたが、開店前から行列に。カウンター4席と10席ほどのテーブルがある小さな木目調の店内は、ほっこりと温かい雰囲気。ホリデーランチはベジミールスで、ワダやモールなど9種のおかずがのり、しかもそれぞれおかわりが1度できます。こちらにマトンコロンブを追加していただきましたが、大満足。しかし久我山は駅のそばに「カレーショップくじら」が、逆側には以前こちらでも紹介した「げつようび」があり、新たなカレーの聖地として注目されるかもしれません。


<店舗情報>
◆インド家庭料理 ammikallu
住所 : 東京都杉並区久我山4-2-24 美研ビル 2F
TEL : 不明の為情報お待ちしております

北千住のガチ中華

「酒仙坊」揚げ豆腐 写真:大木淳夫

そして12月2日、中華の味坊集団が12店目となる新店をオープンです。店名は「酒仙坊(しゅせんぼう)」。北千住の旧日光街道沿いで「大はし」「バードコート」などの有名店が集まる場所です。目指すは気軽に入れて気軽に酔える「ガチ中華」。まさにメニューもそういう構成で、おなじみのナチュラルワインは無く、喫煙も可。串焼きはもちろんですが「滷味(ルーウェイ)」という中華風おでんが酒のつまみにぴったり。13種ありましたが、味のしみ込んだ「揚げ豆腐」が絶妙に旨かったです。1時間1,000円で飲み放題の紹興酒もあります。


<店舗情報>
◆酒仙坊
住所 : 東京都足立区千住3-48 近藤ビル 1F
TEL : 050-5592-4324

町寿司の雄、そしてエンタメ寿司の新店

寿司でもそれぞれ方向性の違う注目の2店がオープンしました。

大人気の町寿司の新店

「すし乾山」 写真:大木淳夫

11月20日、初台にオープンした「すし乾山」は、「すし宗達」「すし光琳」「すし其一」という、お好みで楽しめる大人気の町寿司店を率いる新田真治さんの新店で、こちらでは親方自らが握ります。カウンター6席とテーブルが2卓。ほぼ宣伝していないということもあり、地元の赤ちゃんを連れた若い夫婦、娘さんを連れたお父さん、一人客などが皆楽しそうに過ごしていて、とてもいい空気感。握り2,800円〜、おまかせ6,800円〜でもちろんお好みもOKです。毎朝6時に豊洲を訪れ、仲卸さんと強い関係性を築いている新田さんならではの握りや酒肴を堪能できます。親方も大好きという鯨はぜひ。グループ店全ての名前の由来である、琳派の画家はまだまだいるそうなので、来年もきっとさらなる出店があるのでしょう。


<店舗情報>
◆すし 乾山
住所 : 東京都新宿区西新宿3-13-14
TEL : 03-6383-3388

SNSに上げたくなるような寿司ネタが魅力

「鮨結う紬」港区巻き  写真:お店から

12月10日、六本木にオープンしたのは「鮨結う紬」です。場所は麻布警察署の裏側、銀座に移転した人気店「鮨由う」があった場所です。親方は2021年、恵比寿にオープンするや、高級寿司をカジュアルな値段で、さらに飲み放題付きということでブレイクした「鮨 結う 翼」にいた田原和樹さん。こちらも飲み放題付きおまかせで16,500円。プリン体がたっぷりなことから「プリン巻き」と名付けられたあん肝巻きや、蟹、ウニ、さらにキャビアがのった「港区巻き」など、誰もがSNSに上げたくなるようなメニュー、そして約2時間、徹底的に楽しんでもらいたいという姿勢はさすがです。最近、寿司店の日本酒の値段がどんどん上がる中、値段を気にせず飲めるのはいいなあとも、改めて思いました。


<店舗情報>
◆鮨結う紬
住所 : 東京都港区六本木4-5-11 ランド六本木ビル B1F
TEL : 050-5590-8423

三つ星店系列の魅惑のビストロと気鋭のフレンチ

最後はフレンチです。

YouTubeで大ブレイクしたシェフの王道のビストロ

「le bistrot des bleus」 写真:お店から

まずは12月5日、広尾のイートプレイワークス2階にオープンした「le bistrot des bleus(ル ビストロ デ ブル)」。「レフェルヴェソンス」などを持つサイタブリアの「ビストロネモ」があった場所で、料理監修は同じ系列である「ラ・ボンヌターブル」の中村和成シェフ。コロナ禍の時期にYouTubeで大ブレイクした人気料理人です。てっきりイノべーティブ系かと思ったら、なんと王道のビストロメニューがずらり。

「le bistrot des bleus」 写真:大木淳夫

ウフマヨ、ドフィノア、ポムフリット、パテアンクルート……。もううれしくなってどんどんオーダー。特にジャガイモ系が素晴らしく。ワインも5,000円台からのボトルがあり、これは危険なビストロです。スタッフはシェフ、スーシェフ、ソムリエと皆20代で平均年齢27歳。それを温かく見守る中村シェフ。これからが楽しみでなりません。


<店舗情報>
◆le bistrot des bleus
住所 : 東京都渋谷区広尾5-4-16 EAT PLAY WORKS 2F
TEL : 050-5592-2408

自家製カンパーニュも注目のフレンチ

「atti」 写真:大木淳夫

そして11月10日、 白金高輪にオープンした「atti(アティ)」も注目したいお店です。松野敦シェフは代官山「アタ」の元料理長で、赤羽橋「タワシタ」ではスーシェフを務めていました。しかし華麗な経歴にこだわることなく、興味の赴くままに発酵料理などさまざまなジャンルに挑戦。自分の成長を止めてしまう気がするので、敢えてスペシャリテは作らないというほどのチャレンジャーです。この日はアラカルトでいただきましたが、9品で11,000円のコースは充実。例えばブーダンブランには台湾の烏来から直接取り寄せたスパイス・馬告(マーガオ)を使い、ソースは15種の無農薬野菜で。有名パン店での経験もあり、カンパーニュは自家製です。これだけで気になる方が多数だと思いますので、ぜひ訪れてみてください。

ではよいお年を!


<店舗情報>
◆atti
住所 : 東京都港区白金2-3-19
TEL : 03-5422-9176

※価格は税込。

文:大木淳夫、食べログマガジン編集部

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