富士正酒造合資会社(TDB企業コード:410052398、静岡県富士宮市根原450-1、代表佐野睦子氏、従業員15名)は、12月1日に静岡地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全処分及び監督命令を受けた。

 申請代理人は石井健弁護士(東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル225区、東京丸の内法律事務所、電話03-3213-1081)。

 当社は、1956年(昭和31年)9月に設立された清酒醸造業者。創業は1866年(慶応2年)にまでさかのぼり、「富士正」「げんこつ」「千代乃峯」などのブランドによる清酒を主力に、芋焼酎や梅酒などの醸造も手がけ、酒類商社や酒販店に販売していたほか、自社店舗での小売販売や発酵調味液の醸造も行い、2002年9月期には年売上高約2億3000万円を計上していた。

 しかし、地元酒造所との競合が見られ売上は減少基調を辿っていたところに、今般の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け業容はさらに縮小、2022年9月期の年売上高は約1億3300万円にまで減少していた。さらに設備投資について銀行借入を利用したため、借入依存が高水準で推移したこともあり、資金繰りに行き詰まりを見せ自力再建を断念、今回の措置となった。

 負債は債権者約50名に対し約4億円。

 なお、営業活動は継続しており、今後は再建について沓間水産(株)(TDB企業コード:410174327)の協力を得る方針で調整中とされる。また、一般の商取引債務については、全額の弁済を行うとしている。