「ジャパンモビリティーショー2023」のホンダブースでは、交換式のEVバッテリー「モバイルパワーパック e:」とそれを搭載できるモビリティの数々が公開されています。ビジネスバイクから始まった「バッテリー交換式」は、見事に多用途展開されています。

ついにEVも乾電池式になる!

 2023年10月28日から11月5日まで一般開催される「ジャパンモビリティーショー2023(JMS2023)」のホンダブースでは、交換式バッテリーとそれを搭載する多数のモビリティが公開されています。


世界初公開された「SC e: Concept」(乗りものニュース編集部撮影)。

 この交換式バッテリーは、2021年10月より使用されている「Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック e:)」が採用されています。ホンダは同バッテリー専用の充電施設「Honda Power Pack Exchanger e(ホンダ パワーパック エクスチェンジャー e)」によるバッテリーシェアリングと搭載可能なモビリティを用い、カーボンニュートラル実現へ貢献するための試みを行っています。

 会場では、搭載可能なモビリティとしてEVバイクの「SC e: Concept(エスシー イー コンセプト)」を世界初公開したほか、ヤマト運輸が2023年11月から運用を開始する、ホンダ「N-VAN」をベースとした交換式バッテリー軽EV「MEV-VAN Concept(エムイーブイバン コンセプト)」、コマツとの共同開発である動マイクロショベル「PC05E-1」プロトタイプモデル、インドで既に走行している「電動リキシャ(三輪タクシー)」などの展示が行われました。

 もともと「モバイルパワーパック e:」を使うモビリティは2本使用のビジネスバイクくらいしかありませんでしたが、ここへきて大きくその種類を拡げた形です。

 全く電力が残っていない「モバイルパワーパック e:」1本のフル充電までの時間は約6時間とのことですが、今回公開された「ホンダ パワーパック エクスチェンジャー e」は12本のバッテリーを一気に充電できます。バッテリーがなくなってきたら、満充電のバッテリーに差し替えて、すぐに走り出すことができる点が最大のメリットです。

バッテリー重量は10キロと重めではあるが…

 実際にバッテリー交換も体験してみました。専用のタッチキーで開錠し、使用済みバッテリーを充電用スペースに差し込むと、次は交換用のフル充電でのバッテリーが、使用するモビリティに必要な本数分提供されるというものでした。

 バッテリーの重さは約10キロということで、それなりの力は必要ですが、充電中に長時間待機する必要がないという利点があります。

 ブースの担当者によると、都内の一部では「ホンダ パワーパック エクスチェンジャー e」が稼働しているそうで、「フードデリバリーサービスをしている方などに利用していただいています」とのこと。また、インドでも既に導入されており、電動リキシャがほかのガソリンのリキシャや自動車と混じって走っている姿が目撃できるとのことです。なお、現状は国内でこのサービスは定額のサブスク契約になりますが、インドでは、従量課金などの別のプランも試しているといいます。


バッテリー交換用の設備「Honda Power Pack Exchanger e」(乗りものニュース編集部撮影)。

 今回、同バッテリーを使ったモビリティの中では、航続距離が未公開な車両も多くありましたが、既に発売済の「EM1 e:」を例に出すと、フル充電の状態で約57km走れます。使用するバッテリーの本数も、「EM1 e:」の1本から「エムイーブイバン コンセプト」の8本まで様々ですが、商用車など常にフル充電したバッテリーが手に入るインフラが整いやすい用途の場合、利便性は高そうです。