デ・ブライネの負傷がマンCに与える影響は? 不在時の成績や“代替案”を徹底予想
マンチェスター・シティは稀代の創造主にしてチームのリーダーを失うことになったのである。
■デ・ブライネの不在時
これほどの長期離脱は初めてだが、デ・ブライネは過去にも戦列を離れたことがある。それも1、2回の話ではない。2018−19シーズンには開幕時に右膝のじん帯を負傷して3カ月ほど戦列を離れ、復帰した直後には今度は左膝のじん帯を損傷し、シーズン前半戦はほとんど稼働できなかった。2020−21シーズンにはハムストリング、2021−22シーズンには足首を痛めており、実はケガが多い選手なのだ。
デ・ブライネ不在時の成績を見ると、2015年夏に加入して以降、彼が先発出場した試合は277戦で勝率は「72.6%」。一方で彼が先発を外れた139試合の勝率は「71.9%」だという。大差ないのだ。それどころか、過去3シーズンに限るとデ・ブライネが先発時は勝率「72.3%」で、それ以外は勝率「73.4%」。彼が先発から外れた時の方が勝率が高いのである。もちろん、格下との試合でデ・ブライネを温存するケースも多いため、このような数字になっているのだろうが、それにしてもデ・ブライネの有無がほとんど影響を及ぼしていないなんて驚きだ。
■穴埋め
いくら勝率に差がないとはいえ、6カ月もデ・ブライネがいなければ、特にライバル勢の躍進が著しい今シーズンは苦戦を強いられるだろう。では、どうやって彼の穴を埋めるのか?
1つの案はイングランド代表MFフィル・フォーデンである。23歳のミッドフィルダーは、デ・ブライネに比べるとキック精度は劣るが、ボール運び、クリエイティブなパス、そして得点力を兼ね備えた万能選手である。イングランド代表のプレーメーカーにとって、今回のデ・ブライネのケガは主役の座を射止めるチャンスかもしれない。事実、19日に行われたプレミアリーグ第2節のニューカッスル戦ではアルゼンチン代表FWフリアン・アルバレスの決勝ゴールをアシストして「47.5%」の得票率でリーグ公式のマン・オブ・ザ・マッチに選出された。
「4−2−3−1」の2列目の右サイドを担当したフォーデンは、サイドに張るのではなく、縦横無尽に動き回って攻撃に絡み続けた。ゴールシーンではセンターバックと左サイドバックの間のギャップに入ってクロアチア代表MFマテオ・コヴァチッチからパスを引き出すと、反転しながら前に進んで敵2名を引きつけると、フリーのアルバレスにラストパスを送った。
この試合のフォーデンは、攻撃の選手としては驚異のパス成功率「90.7%」を記録。さらに味方のシュートにつながる「重要なパス」は両チーム合わせて最多の7本。2番目に多い選手が2本なので、フォーデンがどれだけチャンスに絡んでいたかうかがえる。それどころか、7本というのはフォーデンにとってプレミアリーグ出場131試合で自己最多記録だったという。これにはグアルディオラ監督も「彼は色々なポジションをこなし、相手にとって脅威となる。そしてメンタル面もしっかりしている」と賛辞を送っている。
もし仮に、デ・ブライネの不在によりフォーデンが更に覚醒するのなら、それはマンチェスター・シティにとって、そしてイングランド代表にとっても朗報となるだろう。
■補強
フォーデンの活躍は嬉しいが、ただでさえ少数精鋭のマンチェスター・シティは恐らく補強が必要になるはずだ。ウェストハムのブラジル代表MFルーカス・パケタ、ライプツィヒのスペイン代表MFダニ・オルモ、レンヌのベルギー代表FWジェレミー・ドクなどの名前が挙がっている。実際に誰を獲得するかは分からないが、参考程度に『Opta』のプレーヤーレーダーを見てみよう。
これは欧州5大リーグのデータを用いて選手を9つのデータで表し、選手の類似性が分析するシステムだ。「ゴール」「シュート」「敵陣ボックス内のタッチ」「ボール奪取」「ドリブル」「チャンスメイク」など9つのデータから選手の“鶏頭図”(レーダーチャートの一種)を作成して類似度を割り出すもの。
それによると、昨季の欧州5大リーグでデ・ブライネに最も似ていた選手は、アーセナルのノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴーアである。その類似度は84.0%だ。次にナポリのポーランド代表MFピオトル・ジエリンスキ(82.5%)、レアル・マドリードのクロアチア代表MFルカ・モドリッチ(81.1%)、そしてリールの元フランス代表MFレミ・カベッラ(80.7%)となっている。
ちなみに、フォーデンの類似選手を見ると4番目にウーデゴーアが入ってくる。ということは、やはりデ・ブライネの代役はフォーデンのいいのかもしれない。
(記事/Footmedia)