Dynabookは7月18日、プレミアムモバイルノートパソコン「dynabook X83(CHANGER)」を発表した。同製品は、薄型・軽量のモバイルノートパソコンの中でそれほど多くはない「セルフ交換バッテリー」機構を搭載。同日より受注を開始した。

 

ユーザーのニーズに応えた「セルフ交換バッテリー」機構

↑13.3型プレミアムモバイルノートパソコン「dynabook X83(CHANGER)」発表会。Dynabook 執行役員 国内PC事業本部長の渋谷正彦氏(左)と同 国内PC事業本部 事業本部長附 中村憲政氏(右)

 

新製品「dynabook X83(CHANGER)」は、ユーザーのダウンタイムの最小化とパフォーマンスの最大化をコンセプトに開発された法人向けモバイルノートパソコンだ。最大の特徴は、ユーザー自身が安心して別のバッテリーに交換できる「セルフ交換バッテリー」機構を採用したこと。

 

同社が行ったモバイルパソコンの不満点についての調査では、「バッテリー駆動時間が短い」「バッテリー交換が自分でできない」「バッテリーの消耗が激しい」などといった「バッテリー電源への不満」が26%あった。また、実際に国内の法人ユーザーからも「自分でバッテリーを変えられるモバイルノートパソコンが欲しい」という声が多くあがったことから、開発に着手したという。

↑「モバイルPC不満点」調査では、起動処理速度への不満に次いで、バッテリー電源への不満の声が第2位となっている。 2023年5月同社調べ(n=2400、全国15〜69歳男女)

 

同社の執行役員 国内PC事業本部長 渋谷正彦氏は「従来のモバイルノートパソコンは、バッテリー交換時に本体をメーカーに預ける必要がありました。そのため、発送手配や代替機へのデータ移行など作業に要するダウンタイムが発生し、(手元にパソコンが戻ってくるまで)少なくとも2〜3日程度かかってしまっていました」と、従来機が抱えていた課題を説明。「dynabook X83(CHANGER)」では「ユーザー自身がバッテリーを交換できるので、3分程度で作業が完了します」と、ビジネスにおけるダウンタイム削減についてアピールした。

 

セルフ交換バッテリーの構造で特にこだわったのは、交換時にユーザーが基板などの電気部分に触れることなく、簡単かつ安心してバッテリー交換が出来るという点。バッテリーカバーにある2か所のネジは家庭にある汎用的なドライバーで外せるが、カバーにはくっついた状態なのでネジの紛失を防ぐことができる。ロック機能も備わっており、バッテリーはロックを解除しないと外れない構造になっている。

↑「セルフ交換バッテリー」の構造。基板に直接触れることなくユーザー自身で簡単にバッテリー交換ができる

 

さらに、強度や絶縁性に優れた金属板などの素材を採用し、万が一強い圧力がかかった場合でもバッテリーのセルを保護する。その分、重量増加が避けられなかったが、同社の国内PC事業本部 事業本部長附 中村憲政氏は「ユーザー自らがバッテリー交換をするので、やはり安全性には代えられない。他の部分で軽量化を図るエンジニアリングを行って対応しました」と語った。

↑ 「バッテリーにはセルを保護するために金属板を両面に入れた」と安全性について語ってくれた中村氏

 

その結果、薄さ約17.7mm、軽さ約800g(※)の薄型・軽量ボディを実現。さらにアメリカ国防総省制定MIL規格(MIL-STD-810H)に準拠した10項目のテストを実施予定で、26方向、76cmの高さからの落下テストをはじめとした振動、衝撃などの耐久テストによって、安心して長く使い続けられる堅牢性を追求するという。

※ 軽量重視構成 バッテリーS、WUXGA液晶、キーストローク1.5mmを選択した場合。

 

「dynabook X83(CHANGER)」に合わせてサービスソリューションも強化される。同社の「LCM運用サービス」において、セルフ交換バッテリーに対応した「バッテリー交換サービス」を新たに提供。バッテリーの劣化度合いなど、パソコンの不調を検知し管理できる機能をポータルサイトに追加する。バッテリーは消耗分だけではなく、予備分としての発送依頼も可能なので、ここでもユーザーのダウンタイム解消が期待できる。

 

Dynabook独自のエンパワーテクノロジーによってCPUのパフォーマンスも強化

バッテリー駆動時間は約24時間を目指しており、30分の充電でバッテリーの容量を約40%充電できる急速充電機能「お急ぎ30分チャージ」を搭載。さらに、ACアダプターを使用し続けた場合などのバッテリーの劣化リスクを軽減するために、自動的に充電容量をコントロールする「オート充電モード」を採用し、バッテリーの長寿命化を実現した。

 

パフォーマンスの最大化においては、素早い起動と優れた応答性を追求。CPUは、ハイパフォーマンスと省電力性を両立したインテルの第13世代「Core i7-1370P vPro」「Core i5-1350P vPro」「Core i7-1360P」「Core i5-1340P」「Core i5-1345U vPro」「Core i5-1334U」から選択できる。CPUのパフォーマンスを安定させる同社独自のエンパワーテクノロジーも採用。小型のダブルファンとヒートパイプを取り入れるなどによって、TDP(熱設計電力)28Wという高いパフォーマンスを維持している。

↑小型ダブルファンとヒートパイプのダブル配置による放熱で、TDP28Wを実現

 

また、フィンの部分にホコリが溜まることによって放熱能力が低下し、パソコンのパフォーマンスが落ちてしまうことを防ぐために、「dynabook X83(CHANGER)」では「ダスト・クリーニング機構」を新たに採用した。これにより、ユーザ自身でネジ止めされたふたを取り外してホコリを掃除することができる。

↑「ダスト・クリーニング機構」は、フィン付近にあるふたのネジを外して簡単に掃除することができる

 

快適な使い心地のために2種類のキーボードを用意

「dynabook X83(CHANGER)」は、2種類のキーボードが用意されているところも特徴である。その違いはストロークで、標準の1.5mmとしっかりした打鍵感を感じられる2mmから、ユーザーが自分に合ったキーボードを選択することが可能だ。

 

ディスプレイは縦方向の表示が長く、Excelなどが見やすい16:10の液晶を採用。ビジネスシーンにおける対面での商談もスムーズに行える、180°開けるディスプレイ構造のほか、6GHz帯でも通信が可能なWi-Fi 6Eへの対応や、有線LANとHDMIを実装。さらに、USBを計5ポート(USB Type-A×2、USB4 Type-C×3)搭載するなど、高い操作性と接続性も実現した。

↑13.3型(16:10)ノングレア WUXGA ディスプレイ搭載。対面のミーティング時などに便利な180°オープンディスプレイ構造で、情報共有もしやすい

 

価格はオープン価格で、10万円台半ば〜30万円以下になる見込み。販売目標は年間20万台を目指しており、コンシューマー向けモデルの開発も視野に入れているという「dynabook X83(CHANGER)」の今後の発表にも注目していきたい。

 

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