中国料理と中華料理の違いは?

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 飲食店の看板に「中国料理」「中華料理」と書かれていることがあり、両者の違いがよく分からないと感じたことはないでしょうか。SNS上では、「日本人が作る料理が中華料理、中国人が作る料理が中国料理?」「日本人向けにアレンジされたのが中華料理?」といった内容のコメントが上がっています。

 中国料理と中華料理は、何が違うのでしょうか。日本で独自にアレンジされたメニューはあるのでしょうか。飲食店コンサルタントの小倉朋子さんに聞きました。

「中華料理」は日本人好みにアレンジ

Q.飲食店の看板を見ると、「中国料理」「中華料理」と書かれていることがあります。そもそも、両者は何が違うのでしょうか。

小倉さん「厳密な違いはありませんが、一般的には、『中国料理』は中国で食べられている料理、『中華料理』は中国料理をベースとして、日本人の好みに合うようにアレンジされた料理とされています。

中国は大陸なので、地域ごとに料理や味付けが異なります。そのため、中国料理店の中には、『北京料理』『広東料理』『上海料理』『四川料理』という名前を店名に入れている店も少なくありません。

中国料理店はコース料理をメインに、アラカルトのメニューも豊富にそろえている場合が多いです。大皿料理を数人で分ける食事形態も多くあります。一方、中華料理店の場合、白米付きの定食やチャーハンなどのような、1人用のメニューが主流です」

Q.中国料理を提供するのに「中華料理」、あるいは中華料理を提供するのに「中国料理」と看板に表記することはありますか。

小倉さん「中国料理、中華料理の表記に関するルールは特にありませんが、そうしたケースは少ないと言えます。なぜなら、落ち着いた雰囲気を大事にしている店や高級路線を狙う店であれば、『中国料理』と表記した方が、そういった要素を求める客を取り込むことができるからです。

また、中華料理の方が気軽な雰囲気でリーズナブルな価格で食べられるイメージがあるため、中華料理を提供する店が『中国料理』と看板に表記した場合、客から敬遠される可能性があります」

Q.中国料理を独自にアレンジしたメニューは、あるのでしょうか。

小倉さん「中国料理を独自にアレンジした料理として代表的なのは、ギョーザです。日本では焼きギョーザが主流で、白米に合わせる『おかず』として、しょうゆを付けて食べられることが多いです。一方、中国では水ギョーザが主流で、白米と一緒に食べることはほとんどありません。また、水ギョーザをたれ付きで提供する店もあれば、たれを提供しない店もあります。

広東料理の一つに、カニと野菜を卵でとじて甘酢あんで和えた『芙蓉蟹(フーヨーハイ)』という料理がありますが、天津飯は、この料理をアレンジしたものとされています。また、四川料理の一つでエビのチリソース煮である『干焼蝦仁(カンシャオシャーレン)』も、日本流に甘さや酸味を加えて食べやすい料理になり、エビチリという料理名で親しまれています。

このほか、日本で提供される油淋鶏(ユーリンチー)は衣が付いていますが、中国では衣が付いていない状態で提供されます。

中国と同じ料理名であっても、内容や食べ方が違う料理もあります。例えば、日本のタンメンは塩や白湯(パイタン)ベースの野菜入り汁麺ですが、中国の場合、タンメン(湯麺)は、汁麺全般を指します。酢豚は中国にもありますが、甘酢をかけた豚肉料理を指し、日本のように野菜やパイナップルと合わせた料理ではありません。

ちなみに、ラーメンや冷やし中華は、日本のオリジナルメニューです」

Q.国内で本場の料理を食べたい場合、「中国料理」と書かれた店を選ぶとよいのでしょうか。

小倉さん「中国料理は幅広いので、看板に『中華料理』と書かれていても、中国料理を提供する店もあります。一方、ホテルにある高級中国料理店でも、エビチリや酢豚などを出す店もあります。

しかし、フカヒレの姿煮込みや燕の巣のスープといった、高級食材を使った料理や宮廷料理などを食べたい場合は、ホテルの中にある中国料理店や専門店を選ぶのが無難です。また、『北京料理店』『湖南料理店』など地域名をうたった店では、本場の地域に根ざした中国料理を食べることができます」