「矯正治療中に引っ越しや転勤が…」治療を続ける方法や転院で知っておきたいことを矯正医が解説

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矯正治療中に予期せぬ引っ越しや転勤が決まったとき、「このまま通院を続けた方がいい?」「ほかの矯正歯科でも治療は続けられる?」など、数々の疑問が頭をよぎります。そこで今回は、矯正治療中の引っ越しや転勤で注意しておきたいポイントや転院する際のアドバイスなどを、「ウエキ矯正歯科」の植木先生にお聞きしました。

矯正治療中に引っ越しや転勤が決まったらどうする?

編集部

矯正治療中に国内で引っ越しや転勤が決まってしまった場合、どのように治療を続けるのがいいのでしょうか?

植木先生

理想を言えば、できる限り現在通っている矯正歯科で治療を続けるのがいいと思います。なぜなら、矯正治療は、歯科医院によって治療方針や使用する矯正装置が異なるからです。治療がある程度軌道に乗れば通院も1カ月に一度ぐらいのペースとなりますので、多少遠くても通院が可能な範囲であれば同じ矯正歯科で治療を続けていただきたいと思います。

編集部

それでも今通っている歯科医院への通院が難しい場合、転院して治療を続けることはできるのでしょうか?

植木先生

よほどの遠方で通院が難しい場合は、転院して治療を続けることも可能です。ただし、その場合は転院先で治療内容が変更になったり、別の装置に交換が必要になったりすることもあります。また、費用についても前に通っていた矯正歯科と大きく異なることもありますので、その点はしっかり頭に入れておいてください。

編集部

海外留学の場合、帰国してから治療を再開できるのでしょうか?

植木先生

夏休みなどを利用した短期留学であれば、装置をつけたまま出かけていただくことが多いですね。数週間~数カ月程度であれば、帰国後に治療を再開することは可能です。ただし、留学先で器具が外れるなどのトラブルが起こった場合、応急処置は難しいのでその点はご注意ください。一方で、年単位の長期留学する予定のある人は治療開始を延期して、帰国してから治療をはじめるのが理想的でしょう。

引っ越しや転勤で矯正歯科を転院する際の流れ

編集部

引っ越しなどで矯正歯科を転院する場合、まずどのような手続きをするのですか?

植木先生

引っ越しや転勤でやむを得ず転院する場合は、その旨を早めに今の担当医に伝えてください。転院に際しては、初診時の状態とこれまでの治療内容がわかる資料や紹介状などが必要となります。これらの資料もすぐには準備できないので、引っ越しに間に合うようできるだけ早期にご連絡いただければと思います。

編集部

現在通っている矯正歯科で転院先を紹介してもらうことは可能でしょうか?

植木先生

個々の医療法人が作っている任意団体ではなく、国が法人として認めている矯正歯科3団体の学会の認定医や専門医の先生であれば、基本的に紹介してもらえると思います。認定医以上の資格を有している先生はネットワークも広いですし、転院に関するルールもありますので、それに則っての引き継ぎが可能でしょう。

編集部

矯正治療中に転院する場合、支払った費用はどうなりますか?

植木先生

医院との契約書を確認してください。ちなみに、日本臨床矯正歯科医会と日本矯正歯科学会においては、一定の指針があります。

矯正治療中の転院で注意しておきたいこと

編集部

矯正治療中の転院に際して、気をつけておきたいことや注意点などはありますか?

植木先生

冒頭でもお話ししたように、矯正治療は通う歯科医院によって治療方針や使用する装置が異なります。したがって、転院先で治療を続行する際に、これまでとは違う治療内容や矯正装置に変更になる可能性があることは留意いただきたいと思います。さらに費用についても、当初の予定と大幅に変わる可能性もあるため注意が必要です。矯正治療中の転院については、新たに転院先に支払う費用が精算で返金された金額よりも上回ることの方が多いので、その点も念頭に置いていただきたいと思います。

編集部

最後に、読者へのメッセージがあればお願いいたします。

植木先生

矯正治療中に予期せぬ引っ越しや転勤によって通院が難しくなった場合でも、矯正歯科の認定医や専門医の先生であれば比較的スムーズに引き継ぎがおこなえます。こうした点も踏まえて、最初に矯正歯科医院を選ぶ際の参考にしていただきたいと思います。

編集部まとめ

矯正治療中に転勤や引っ越しが決まった場合、通院が可能な範囲であれば、これまで通っていた矯正歯科医院で治療を続ける方がいいとのことでした。しかし、どうしても通院が難しい際には、現在通っている歯科医院で転院先を紹介してもらい、矯正治療を続けることも可能です。ただし、その場合は転院先で治療内容や使用する装置が変更になったり、当初予定していた費用より高くなったりする可能性があります。また、転院に際しては引き継ぎのための資料や書類を準備してもらう必要があるため、引っ越しがわかった段階で早めに担当医に相談するようにしましょう。

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