日本もヤバい…プリウス触媒盗難が10倍以上に!窃盗団が「新型より旧型」狙う理由
千葉県内で旧型プリウス狙った触媒盗難相次ぐ
2022年10月から11月にかけて、トヨタ プリウスの旧型モデルのマフラーを狙った盗難が千葉県で相次いで発生していると朝日新聞が報じました。
報道によると、千葉県内でのマフラーの窃盗被害は、昨年2021年の1年間では12件だったところ、2022年では11月末までに133件、うち10月から11月までの期間で年間の8割を占める111件が発生したとされています。
こうした旧型のトヨタ プリウスを狙ったマフラーの窃盗は、マフラーに装着されている触媒コンバーターを狙ったものとみられているようです。
アメリカでは盗難された触媒44,000個が発見される
千葉県で多発している触媒コンバーターを狙ったと思われるマフラーの窃盗被害は、アメリカでも社会問題になる規模で発生しています。
アメリカのオレゴン州では、車から抜き取られた盗品の触媒コンバーター約44,000個が警察の捜査によって発見されました。
触媒コンバーターは盗まれたあとの追跡が困難であることから現在もアメリカ国内で多くの窃盗被害が報告されていて、オレゴン州はこの触媒コンバーターの窃盗および販売に関与したとされる犯罪組織14人を起訴。
この犯罪組織は、オレゴン州を拠点にワシントンやネバダ、カリフォルニア、テキサス、ニューヨークなど複数の州で触媒コンバーターの窃盗に及んでいたことが確認されていました。
日本でも、千葉県のほか愛知県でも触媒コンバーターだけを狙った窃盗が2021年に発生。アメリカ・オレゴン州の犯罪組織と同様、日本国内にもこうした触媒コンバーターを狙った窃盗団が組織されている可能性があります。
“金”よりも価値がある『パラジウム』が狙われる
触媒コンバーターはエンジンから排出される排気ガス内に含まれる窒素酸化物や一酸化炭素といった有害物質を浄化する目的で装着されており、内部にはプラチナ、パラジウム、ロジウムといったレアアース(レアメタル)が使用されています。
これらは産出国に偏りがあり、パラジウムはそのほとんどがロシアからの供給です。現在はその供給が滞っているため価格が高騰。現在は「金」よりも価値があるとすら言われるようになりました。
触媒コンバーターに使われるレアアースは、最新のモデルよりも年式が古い車のほうが多く含まれているとされ、またアイドリングストップ機能がある車などはその劣化も少ないため、トヨタ プリウスの3代目や2代目モデルをはじめとした10年~20年ほど前のハイブリッド車両がそのターゲットとなってしまいやすいようです。日本では、国内専用のハイブリッド車としてアクアがあるため、プリウス以外の車種でも油断ができません。
日本の愛知県で発生した触媒コンバーターの盗難では、車内の貴重品には手つかずだったにも関わらず、触媒コンバーターだけが抜き取られていたと報じられていることから、触媒コンバーターだけを狙った窃盗団が存在することがわかります。
触媒の盗難を防ぐアンダーカバーがアメリカで人気
アメリカだけでなく日本でも被害が相次ぐようになった触媒コンバーターを狙った窃盗ですが、ここまで盗難被害が拡大してしまったのは、その盗みやすさにあると言えます。
触媒コンバーターは車体のフロア下、排気系統の中間に装着されているため、ジャッキアップ等で簡単にアクセスできてしまいます。窃盗団はターゲットにした車をジャッキアップし、サンダー等で触媒コンバーターの前後のパイプごとカット。
手慣れた窃盗グループであれば1分もかからないとまで言われ、スーパーマーケットの駐車場などで白昼堂々行われることもあるようです。
こうした被害を防ぐため、ターゲットになりやすいハイブリッド車、特にプリウス向けに、触媒コンバーターを隠すアンダーカバーなどの需要がアメリカで拡大。触媒コンバーター専用のセキュリティアラームなども発売されています。
日本ではまだ一般的ではないものの、日本国内でも警戒しなければならない事態となっているため、今後その対策パーツに需要が高まるかもしれません。