新「JALの部屋」ホテルに誕生 元祖「JALの部屋」とどう違う? JALの“本気”が見える展示物の数々とは
1部屋目よりだいぶ濃ゆ〜いです!
「ウイングルーム」に続き2つ目の“JALの部屋”
東京ディズニーランドの近隣に位置する東京ベイ東急ホテル(千葉県浦安市)の一室に、2022年12月から新たな部屋が誕生しました。JAL(日本航空)の航空機廃材などを機内インテリアとして用いたコンセプトルーム「JAL 787 10th Anniversary Room」です。同ホテルにある“JALの部屋”は、2022年のゴールデンウィークから稼働した「ウイングルーム」に続き2つ目。どのような違いがあるのでしょうか。
「JAL 787 10th Anniversary Room」の室内(乗りものニュース編集部撮影)。
「JAL 787 10th Anniversary Room」はこのホテルの18階、1806号室に位置します。客室の名称通り、室内には2022年に就航10周年を迎えたJALの主力機「ボーイング787」の廃材を用いた家具や調度品などが設置されています。テーブルは787で用いられていたホイールを、ベッドカバーは787の国際線ビジネスクラスシートのカバーを、テーブルライトは787で用いられていた客室の読書灯を、それぞれ再利用したものです。
その一方で、もうひとつの“JALの部屋”である「ウイングルーム」では実機のシートやパネルなどが設置されていたのに対し、「JAL 787 10th Anniversary Room」ではそういったものはナシ。いわゆる「ホテルで飛行機に乗っている気分」は、一見した所では味わいづらい状況に見えます。
しかし、この「JAL 787 10th Anniversary Room」は、「ウイングルーム」とは異なった方向性で、JALの整備士のこだわりが詰まったものになっています。
「『JAL 787 10th Anniversary Room』は、ご好評いただいている『ウイングルーム』のお声を頂戴し、よりコアな航空ファンの方の期待に応えられるようなものを作りました。また、この部屋の家具などに使われているパーツは、787がこの10年間の実際の運航でどう使われてきたかのストーリー性を重視しています」――かつて「ウイングルーム」を生み出した、JALエンジニアリングの矢田貝 弦氏は「JAL 787 10th Anniversary Room」について次のような特徴を挙げています。
展示物に見るJAL整備士の「本気」
たとえばテーブルに用いられたホイールは、2019年10月から2021年12月まで、ボストンやニューヨーク、ヘルシンキ線などに投入されていた787-9のもの。「このホイールが設置されていた787-9は、コロナ禍でお客様を載せないなかでも、旅客機を用いた貨物便として頑張って飛んできた機体です。ホイールの状態は(とりおろした状態から)ほぼ加えておらず、多少の傷はあえて残すことで、ストーリー性をもたせました」。矢田貝氏は次のように説明します。
また、「JAL 787 10th Anniversary Room」は、とりおろした状態のパーツをほとんどそのままの状態で展示してあるものもポイントです。たとえば速度を測るための「ピトー管」を利用者から見えやすいように整備士が加工し展示。こにピトー管は787-9「JA849J」で2020年3月から2022年2月まで搭載され、2759時間使用したものとのことです。矢田貝氏が「今回はパーツに触れることや重さを感じていただく、といったことを重視しています」と話すとおり、その重さや質感を宿泊者実際に持って体感することができます。
JALエンジニアリングの矢田貝 弦氏(乗りものニュース編集部撮影)。
そして、矢田貝氏が「『ウイングルーム』と比較して、『JAL 787 10th Anniversary Room』でもっとも差別化を図ったポイント」として挙げるのが“パーツ類の解説”。部屋には約10ページのパンフレットがあり、室内に展示されている各パーツが、実運航でどのように使用されてきたのかが、事細かに書かれているのです。
このように、新たな“JALの部屋”である「JAL 787 10th Anniversary Room」には、「ウイングルーム」とは違った方向性で、JAL機の整備士の本気度が窺える内容となっています。宿泊費は、1室2名で2万4200円からです。
また矢田貝氏は取材に対し、「これにとどまらず、お客様のお声を反映させて次につなげていきたいです」とも。今後も航空ファンを喜ばせるような、新たなコンセプトをもつ“JALの部屋”が、次々に誕生するかもしれません。