本格的な冬を迎え、スタッドレスタイヤへの交換などの準備が急がれるなか、整備の出張サービスへ依頼が急増。バッテリー交換も需要が増えているそうです。

我が家のガレージに整備士が来る便利さ

 本格的な冬の到来を前に、国ぐるみで警戒が高まっています。2022年11月18日、中央防災会議において岸田文雄首相が降積雪期の防災体制の強化を関係省庁や地方自治体に呼びかけました。集中的な降雪による車両の孤立は、2020年12月の関越道、2021年1月の北陸道などで連続して発生し、交通の再開までに長い時間を費やしています。

 そうしたなか、クルマの冬支度を出張整備サービスに依頼し、早期に対策するドライバーが増えているようです。


タイヤ交換のイメージ(画像:Seibii)。

 岸田首相は大雪、暴風雪時には、できる限り運転を控えることを前提に、次のように注意喚起します。
・気象、道路情報を確認
・スタッドレスタイヤの装着と、チェーンの携帯
・防寒着、手袋、スコップ、牽引ロープや非常食の準備
・雪で閉じ込められた場合の車内換気や除雪
などです。

 この中でも雪道を走る前に夏タイヤをスタッドレスタイヤに交換するのは当然のことですが、車体をジャッキアップして交換するのは……と、雪が舞うのを目の当たりするまで先送りしてしまうこともあるのではないでしょうか。タイヤの交換、意外とめんどうです。

 クルマの整備やパーツの取付を出張で行う「セイビー」(Seibii/東京都港区)には、ドライバーからの依頼問い合わせが増えていると話します。

「スタッドレスタイヤやバッテリー交換の依頼は昨年の3倍に増えています」(赤尾紀明事業担当部長)

 整備は、ディーラーや整備工場に車両を持ち込むのが基本です。タイヤ交換など簡単な作業でも同じで、保管中のタイヤを引っ張り出して車両とともに運ぶ必要があります。ただ、ショップへの持ち込みもシーズン中は予約制で、日程の調整も難しくなります。同社に依頼が舞い込むのは、オンラインや電話などで予約をすると、整備士が駐車場など指定の場所に赴いて作業してくれる手軽さが急増の理由のようです。

急な故障、バッテリー交換にも対応

 一方、同社ではバッテリーなどの交換の依頼も増えていると言います。

「半導体不足などの影響で新車購入を控えて、中古車に乗り続けるドライバーが増えているのかもしれません」(赤尾担当部長)

 外出制限のない2022年は、猛暑の夏にも、こうした依頼が増えたそうです。7月の修理件数は前年と比べ、バッテリーで46.3%、オルタネーター(発電機)で145.8%も増加。 「特に3年ぶりの行動制限解除、旅行割などの影響でドライブ志向が増したことが大きい」(前同)といいます。

 バッテリーやオルタネーターの交換は、車検証に記載された型式や車両番号を電話や画像のメール送信で伝えることで、その車種に適合した部品を準備します。料金は修理代金+出張費で、依頼時に修理代金をあらかじめ確定。最短、即日〜1日程度で作業を行うように努めているそうです。


経年車は電気系統のトラブルも多い傾向。写真はイメージ(画像:Seibii)。

 また、交換の判断がドライバーではできない場合、整備士が車両を確認した後に部品を取り寄せることも可能だといいます。

 高速道路のSA・PAなどでの依頼も可能だそう。同社では応急修理ではなく、指定の場所で整備を完了させることが基本なので、レッカーで修理工場へ運ぶのも必要最小限にとどめることができそうです。ただし公道上での修理依頼は例外で、そこはロードサービスと異なります。駐車場など道路外の安全が確保できるスペースに、作業は限られます。

 修理費用のほかに整備士の出張費用などが加算されますが、ドライバー自身の手間を減らしたいと考える自動車ユーザーに望まれる新しい関連サービスとして関心を集めています。