「エアバスの空港」が本格的に様変わりしているようです!

キモの「水素エンジン」は巨大機A380に

 ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスが航空機利用によって二酸化炭素を出さない「ゼロエミッション」社会の実現へむけ、2022年12月にさまざまな取り組みを発表しています。


フランス・トゥールーズのブラニャック空港(乗りものニュース編集部撮影)。

 同社の拠点であるフランス・トゥールーズのブラニャック空港では、空港としては世界初という水素製造および分配ステーションを設置。この水素ステーションは2022年初めに建設完了し、現在は生産、貯蔵、分配システムの最終テストを実施中とのことで、2023年初頭にはサービスを開始する予定といいます。このステーションは、1日あたり約400kgの水素を生成する能力を持ち、約50台の地上輸送車両に電力を供給できる能力をもつそうです。

 また2035年の実用化にむけ開発を進めている、水素をおもな動力源とすることで、環境に悪影響を及ぼすCO2などの廃棄物を出さないゼロエミッション旅客機「ZERO e」関連でも、複数の新たな取り組みを公開しています。

 同社は「ZERO e」の根幹をなすと見られる、水素を駆動源とするエンジンも開発が進行していると発表しました。このエンジンは将来的に、総2階建ての胴体をもつ旅客機エアバスA380の初号機「MSN001」に搭載され、そこで、技術の検証などが行われる予定です。なお「MSN001」は、こういった革新技術を試すためのデモンストレーター機となり、水素エンジンは通常のエンジンがある主翼下ではなく、胴体後部に独立して取り付けられる計画です。

 これに関連してブラニャック空港では、「ZERO e」のエンジンへ水素を供給するための施設を2025年に稼働予定。欧州の宇宙開発企業アリアン・グループとタッグを組み、この施設の設置を行います。