【MLB】投手・大谷翔平の止まらぬ進化 球速、制球、スタミナ…投球内容は軒並みアップ
メジャー自己最速163.2キロに更新、高速シンカー加わり球種も増えた
エンゼルスの大谷翔平投手は、17日(日本時間18日)の本拠地・マリナーズ戦で今季13勝目をかけて先発マウンドに上がる。すでにメジャー自己最多の12勝&188奪三振を記録。注目されるメジャー初の規定投球回には、残り4登板で21回に迫っている。ここではヤンキース・ジャッジと熾烈なMVP争いを繰り広げる右腕の2022年の進化を紐解いていきたい。
まずは投手・大谷の代名詞とも言えるスピードだ。10日(同11日)の敵地・アストロズ戦ではメジャー自己最速101.4マイル(約163.2キロ)を記録。5月18日(同19日)のレンジャーズ戦では100マイル超えを8球。平均球速98.6マイル(約158.6キロ)は過去最高98.6マイル(約158.6キロ)と凄まじい剛速球ショーを見せた。
シーズン別でもフォーシーム平均97.3マイル(約156.6キロ)は投手4年目でキャリア最速。2021年の95.6マイル(約153.9キロ)から1.7マイル(約2.7キロ)も上げ、フォーシーム被打率.280はここまで自己最高となっている。
そんな頼もしいボールを持ちながらも剛速球頼りになっていない。後半戦から被打率1割台のスライダーが軸とした投球も増え、さらに8月15日のマリナーズ戦から平均97.6マイル(約157.1キロ)とフォーシームより速い高速シンカーが新たな勝負球となった。2018、2020年はフォーシーム、スライダー、スプリット、カーブの4球種で、2021年はカットボールが加わった5球種。そして今季は高速シンカーを入れて6球種に。打者からしたら、絞りづらいとしか言えないだろう。
5月Rソックス戦では99球のうちストライク81球…コントロールも向上
多彩な球種を操っているのに制球力もアップしている。5月5日(同6日)のレッドソックス戦では99球のうちストライク81球。ストライク率81.8%と、とんでもない数字を残したが、シーズンのストライク率66.0%は昨季から2.0%アップ。与四球率は3.04→2.23となり、キャリア最高となっている。
今季は2018年オフのトミー・ジョン手術から復帰3年目だ。昨季は「まだリハビリ中」と話していたが、今年はシーズンを通してフル回転。ここまで141回と規定投球回を狙えるイニングを投げるだけでなく、昨季4試合だった100球超えを今季は7試合で記録。中5日で登板した試合も昨季の6試合から、すでに9試合となっている。“スタミナ増”を感じさせるシーズンを送っている。
24試合登板、12勝、防御率2.55、188奪三振などと個人成績が目立つが、細かな投球内容も軒並みアップさせている。今後は規定投球回の到達だけでなく、シーズン200奪三振にも期待がかかる。日本人投手では野茂英雄(4度)、松坂大輔(1度)、ダルビッシュ有(4度)の3投手だけで、2019年ダルビッシュ(当時カブス)以来3年ぶり。「30本塁打&200奪三振」となれば、両リーグ史上初の快挙となる。
残る登板は17日(同18日)の本拠地・マリナーズ戦、23日(同24日)の敵地・ツインズ戦、29日(同30日)の本拠地・アスレチックス戦、10月5日(同6日)の敵地・アスレチックスとの今季最終戦となっている。偉業ラッシュだけでなく、どんな“自分超え”の投球を見せてくれるのかも注目だ。(小谷真弥 / Masaya Kotani)