実は日本が発祥の地!アメリカで旋風を巻き起こした「アイスコーヒー」とは

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【アメリカの最新ごはん事情vol.10】1989年に渡米し、「セレブ御用達プライベートシェフ」としてアメリカで料理を作り続けてきた明比玲子さんに、日本ではなかなか知ることができないアメリカの食事情を教えてもらいます。第10回目のテーマは「コーヒー」。スタバやブルーボトルコーヒーなどアメリカはコーヒーにこだわるイメージがありますが、昔はおいしいコーヒーがなかったそう。アメリカのコーヒーの進化に迫ります。

ひと昔前まで、アメリカのコーヒーと言えば、薄くて酸味が強く風味がなく、飲めたものではなかったです。その典型的な例が、映画などによく出てくる、ブルーと白のコーヒーの紙コップに入った、街角の安いコーヒー。これは、質のあまりよくない豆で薄めに淹れたコーヒーで、日本で言うアメリカンコーヒーとは少し違うものです。日本のアメリカンコーヒーは浅煎りの豆を多めのお湯で淹れたもの、もしくはお湯で薄めたコーヒーのことを指します。

現在アメリカでは、お店でアメリカンコーヒーを頼むと、エスプレッソをお湯で薄めたものが出てきます。ちなみに、アメリカンコーヒーは和製英語で、カフェ・アメリカーノ(Caffe Americano)と現地では呼びます。

薄味で飲みにくいコーヒーに革命を起こしたスタバ


薄くて飲みづらかったコーヒーに変化が出始めたのが、ニューヨークの景気が良くなり始めた1990年代中盤ぐらい。食に異変が起き、おいしいコーヒー屋、ベーカリーなどが軒並みオープンします。1971年にアメリカ・シアトルで創業したスターバックスがマンハッタンに1号店をオープンしたのは1994年。1年に10〜15店舗とすごいスピードでオープンしていき、今まで街角の薄いコーヒーを飲んでいた人も、毎朝スターバックスでコーヒーを買うようになり、ファッションの一部になります。




サードウェーブコーヒーの代表「ブルーボトルコーヒー

ところが、2000年代に入り、コーヒー本来の価値を大事にするサードウェーブコーヒーが到来。コーヒーの煎り方も比較的浅く、生産地など、豆自体のクオリティーに注目が集まるようになります。サードウェーブコーヒーの代名詞とも言える「ブルーボトルコーヒー」が、日本で学んできた、喫茶店カルチャー・ドリップコーヒーの淹れ方・アイスコーヒーの作り方等々をアメリカに持ち帰り、大成功を収めました。

水出しアイスコーヒーは日本発のコーヒーだった



私は、サードウェーブコーヒーの到来で一番ヒットしたのは、Cold brew(コールドブリュー)という水出しアイスコーヒーだと思っています。諸説ありますが、コールドブリューは日本人が考案した抽出方法と言われています。水でコーヒーのエキスをじっくり抽出するコールドブリューは、サードウェーブコーヒーの到来で一気に知れ渡った感じです。




さまざまな容器でコールドブリューコーヒーが売られている

コールドブリューはあっという間に紙パック、缶、瓶詰めで1年を通じて売られるほどに定着。コールドブリューが元となり、他にも冷たいコーヒーが開発されました。


例えば、「ナイトロブリュー」と言うコーヒーサイダーのような飲み物。また、樽だしビールのように蛇口を倒すと、ミルクが既に入っている冷たいラテが出てくる「ドラフトラテ」もあります。

家で味わえるアメリカンなアイスコーヒー


このような凝ったコーヒーを家で作るのは難しいですが、冷たいコーヒードリンクは家でも簡単に作れるものがあります。日本も夏が近づき、そろそろ冷たい飲み物が欲しくなる季節ですよね。ミルクの代わりにコーヒーを使い、コーヒーシェイクを作りませんか?作り方は、材料をミキサーで混ぜるだけ。とっても簡単です。

コーヒーシェイクの作り方 



材料 (出来上がり約200ml) 

★エスプレッソ又は、濃い目に淹れてよく冷やしたコーヒー……1/4〜1/2 カップ

★バニラアイスクリーム……1カップ

・インスタントエスプレッソパウダー……大さじ1(お好みで増やしてもOK)

・泡立てた生クリーム(お好みで)

・ココアパウダー(お好みで)

1.シェイクの上に生クリームを飾りたい時は、前もって生クリームを泡立てて冷蔵庫に入れておく。グラスもあらかじめ冷凍庫に入れておくと、シェイクがすぐ溶けなくていい。

2.★をミキサーに入れて混ぜる。ミキサーが回りづらい時は、少しだけコーヒーを足す。

3.味を見て、好みでインスタントエスプレッソパウダーを足して、もう少しサラッとさせたい場合には、コーヒーを足してもう一度ミキサーを回す。

4.出来上がったシェイクをグラスに入れ、生クリームを絞り出し、ココアパウダーを茶漉しで軽くかけて出来上がり。


最後になりますが、アメリカに何十年住んでも慣れないのが、コーヒーをカップに目一杯注ぐことです。お店のテイクアウトで買う時はもちろんのこと、かなり高級なレストランに行っても、写真のように、カップぎりぎりまで注ぎます。アメリカは、何でも多い・大きいのがいいことのようです(笑)

明比玲子

兵庫県芦屋市生まれ。1989年に渡米し、ニューヨークのシェフ養成学校で学んだ後、本格的に料理に取り組む。著名レストランでパティシェとして経験を積み、アメリカ人と日本人に料理とお菓子の指導も行う。日本の料理雑誌への寄稿やフードスタイリングも行いつつ、2008年からは、コンサルティングの仕事なども兼ねながら、ニューヨークセレブのプライベートシェフとして、活躍中。

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