槇原敬之の覚醒剤逮捕は坂本龍一にも道義的責任あり! - 渡邉裕二
※この記事は2020年02月14日にBLOGOSで公開されたものです
「やっぱり、やめられないんだろうね」シンガーソングライターの槇原敬之(50)が13日、覚醒剤取締法違反(所持)と医薬品医療機器法違反(所持)の疑いで警視庁に逮捕された。現在、使用に関して尿検査も行っていると思われ、今後、使用でも逮捕される見込みだ。
驚きよりも「やはり」
警視庁によると、槇原は、かつて住んでいた東京・港区海岸のマンションに覚醒剤およそ0.083gを所持していたのだという。これは2年前の2018年に槇原の個人事務所の元社長が、覚醒剤取締法違反(所持と使用)で逮捕・起訴されており、その時に押収した薬物について裏付け捜査を行うなどした結果、その時の覚醒剤を槇原も所持していたことが深まり現在住んでいる東京・渋谷区の自宅で逮捕に踏み切った。
「業界内でも不安視する声はありました。周囲には薬物使用を疑う声もあり、驚きよりも、『やはり』という思いのほうが大きいですね」
なんて言う音楽関係者が実は多かった。
槇原は20年前の99年8月26日にも覚醒剤の使用で警視庁に逮捕され、懲役1年6月、執行猶予3年の判決を受けている。その時に、よほど懲りたと思っていたが、そうではなかった。結局は覚醒剤を断つことができなかったということになる。(ベテランの薬物ウォッチャー)
「前回は警視庁が周辺情報をもとに自宅マンションを家宅捜索し、覚醒剤約1グラムを発見しました。その時は、槇原は1年ほど前から使用していたと供述していたようです。入手経路については『新宿で知人の外国人から4万円で買った』などと言っていたようですが、今回は…。
捜査当局の話では、2年前に逮捕・起訴された元社長の入手ルートとの関わりが大きいようですが、その時に押収した覚醒剤の入手先などを改めて調べていたのでしょう。ただ、その一方ではタイミング的にも、あるいは沢尻エリカ(33)の薬物ルートにも何らかの形で近いところがあったのかもしれません」
実際、今回も逮捕したのは沢尻と同じく警視庁組織犯罪対策5課の捜査員である。しかも、自宅マンションに踏み込んでの逮捕だった。
「実は、沢尻の前から槇原が逮捕されるのではないかという未確認情報が一部から出ていたのです。沢尻の方が先に逮捕となりましたが、それにしても元社長が逮捕されてから、自分も捜査対象になっていることに全く気づいていなかったのか…」(芸能関係者)
しかも、今回の槇原の場合は覚醒剤の所持と同時に、「ラッシュ」の所持についても容疑になっている。
沢尻の使用していた合成麻薬「MDMA」も、「エクスタシー」と言われ、薬物使用者の間では「SEXドラック」と呼ばれているが、「ラッシュ」もまた「SEXドラック」として知られている。
「ラッシュとは性的興奮を高める薬物です。狭心症治療の医薬品として血圧降下剤などにも使用はされていますが、15年前の05年に薬事法(現在の薬機法)で危険ドラッグとして指定され、その後、取締の対象になっています。つまり、今回の逮捕容疑となっている『医薬品医療機器法違反』というのはラッシュの所持なのです」
1年前にはミュージシャンで俳優のピエール瀧(52)がコカインの所持と使用で逮捕され大騒動になったことは記憶に新しい。その後も大麻所持でアイドルグループ「KAT-TUN」の元メンバーだった田口淳之介(34)が逮捕され、田代まさし(63)や年末の沢尻と続いた。
しかも、逮捕が報じられるたびに「活動の自粛」「CDの回収」や「CMやテレビ番組の差し替え」、そして「損害賠償」と次々に重い〝責任〟がのしかかっていたことを、槇原も目の当たりにしてきたはずだ。当然、関わっているスタッフにも迷惑がかかってくる。そんなことは、50歳にもなれば分かっているはずである。それも2回目である。
デビュー30周年のアルバムやツアーが予定されていた
では、今回は?現在、槇原は日本テレビ「ヒルナンデス」(月~金曜前11・55)のオープニング、エンディングテーマ曲「LUNCH TIME WARS」を手掛けているほか、テレビ朝日の「じゅん散歩」(月~金曜前9・55)でもテーマ曲「一歩一会」を担当。
さらに、今年はデビュー30周年ということもあり、夏にはその30周年の集大成となるオールタイムベストアルバムのリリースを予定していて、同アルバムを提げて秋から冬にかけては全国で大規模なコンサート・ツアーの開催も告知されていた。
開設された30周年記念の告知サイトには槇原直筆のメッセージとして、
「槇原、おかげ様で30周年を迎える事となりました!これもひとえに皆様の応援があったからこそ。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ここから1年以上の期間にわたって、リリースやコンサートなど、いろいろ企画しておりますので、どうか、お楽しみに~!!!」
などと記されていた。
ある筋によれば、年末の「NHK紅白歌合戦」への出場も視野に入れていたそうで「30周年ということもあって、すでに出場の確約も得ていたようだ」とも。実際、NHKでも槇原を重宝してきた部分がある。
それはともかく、今回の槇原の逮捕を受けて「日テレはオープニングとエンディングのテーマ曲差し替えを決定しました。テレビ朝日も『検討』としていますが、差し替えて編集し直すようです。当然ですが、30周年なんて浮かれている場合ではないですからね。
予定していた夏のベストアルバムは発売中止となるはずです。もちろん、音楽配信も一旦は停止し、週末からCDなどの販売商品も回収の作業に入るでしょう。先頃、発売された木村拓哉のアルバムの中でも楽曲を提供していますが、さすがに関係者も頭を抱えているでしょうね。
全国ツアーについても全てキャンセルすることになりますが、それを考えると損害は数億円に上ると思います。ただ、CMはJAバンクの曲を担当している程度で、ドラマ、映画出演などはなかったため、ピエール瀧や沢尻に比べたら巨額の違約金にはならないと思いますが…」(音楽関係者)
前回の逮捕時に背中を押した坂本龍一の責任
20年前の逮捕の時は、槇原のCDは回収され、一応の謹慎はあったが、わずか4ヶ月で音楽活動に復帰している。「実は、その時の復帰はミュージシャンの坂本龍一の後押しがあったんです。坂本は『アメリカでは考えられないこと』と回収や謹慎を否定するような持論を述べ、自らの年末のクリスマス・コンサートにサプライズ出演させた。そんなこともあって、槇原自身も世間からの批判には耳を傾けなかった部分があったと思います。逮捕から1年後にはオリジナル・アルバムまで発売しました」(当時を知る音楽関係者)
その後、SMAPに提供した「世界に一つだけの花」の大ヒットなどもあって、犯罪を犯しても「才能と実力さえあればミュージシャンは結果オーライ」という妙な〝実績〟を作り上げてしまった。
「おそらく、槇原は自分の才能や能力さえあれば何をやってもすぐに復帰できる、許されるという、それこそ世間を舐めきった考え方があったのでしょう。よくも悪くも、ファンは応援してくれるという甘えというか、奢った考えを20年前に学んだのだと思う。だとしたら、あの時に少なくとも犯罪を憎まず、逆に擁護し、槇原の背中を押したことは事実です。つまり坂本龍一にも道義的な責任があるはずです。そういった意味でも今回は坂本に対しても猛省を促したいですね」
いずれにしても、槇原の事務所は個人会社だけに、これからどのように責任を取るのか大いに気になるところだ。
前回の逮捕から20年が経っていることから、起訴され有罪になったとしても沢尻と同じく「懲役1年6月」に執行猶予が3年、あるいは4年ついてオシマイという可能性もある。
だったら、今回は少なくとも「罪」を犯したことを自覚させ、50歳の男の取るべき「社会的責任」を、ファンを含め世間がしっかり学ばせることが重要だろう。それが、これからの槇原のためになるのだと思うのだが…。
今言えるのは、槇原の今回の逮捕は、少なくともピエール瀧の芸能界復帰には影響を与えるかもしれない…ということだろう。