三菱UFJ国際投信の外部委託運用部の小野蒼氏に、「モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし)」の運用の特徴について聞いた。(グラフは、「モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし)」設定来10年間のパフォーマンス推移)

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 三菱UFJ国際投信が設定・運用する「モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし)」は、2021年のトータルリターンは34.22%と、類似ファンド分類平均を4.74%上回り、分類内で上位18%の優れた運用成績になった。特に、類似ファンド分類平均が下落する局面で、下落率が小さい傾向があり、長期に安定して類似ファンド分類平均を上回る成績を残している。ファンド オブ ザ イヤー2021の「国際株式(グローバル・除く日本)型」部門で優秀ファンド賞を受賞している。三菱UFJ国際投信の外部委託運用部の小野蒼氏に、同ファンドの運用の特徴について聞いた。

 「モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし)」と同じ運用戦略は、1996年から25年以上の運用期間があり、年率リターン14.0%という運用成績を残している。その間の先進国株式全体の年率リターン8.4%を大きく上回っている。この運用成果を実現した理由を、小野氏は、「『元本を失わない』という原則を守りつつ、『プレミアム企業』の株式のみに投資してきた点が挙げられます。『プレミアム企業』とは、高いブランド力や特許など、有力な無形資産によって持続的に利益成長が期待できる企業のことです。このような競争力のある『プレミアム企業』への投資を通じて、当ファンドは、インフレや金融ショックなど、株式市場の下落局面でも高い抵抗力を発揮しています」と解説する。

 プレミアム企業の銘柄選定ポイントとして、同ファンドが重視するポイントは3つある。1つが「競争優位の無形資産」を持っていること。そして、「各国の規制動向に準じている」こと。最後が、「割安」であることだ。

 「無形資産」とは、ブランド力や特許など、目に見えない資産のことを指す。競争優位の無形資産は、企業の利益率の高さ、利益の安定性に繋がるという。小野氏は、「ブランド力という無形資産を例に考えてみると、ブランド力がある企業は、コストが上昇した時に、そのコストの上昇分を製品の値段に転嫁することができます。つまり、利益率の高さを維持できるのです。また、利益の安定性という点でも、ブランド力がある企業は、不景気など、どのようなマクロ環境であっても、人々から支持されて選ばれ続けるといった特徴があります。競争優位の無形資産を有することで、利益率の高さと利益の安定性が得られると考えています」とする。

 そして、利益率の高さと安定性を得ている結果、企業の手元には豊富な余剰資金が残り、その余剰資金を宣伝費などに注ぐことによって、企業のブランド力がより強化されるというような好循環が生まれるため、競争優位の無形資産が銘柄選定のポイントに置いているという。

 また、「各国の規制動向」については、プレミアム企業は競争優位であるがゆえに、独占禁止法などの対象になりやすいと考えられるため、各国の規制に即した事業方針であるか、各国の規制によって大きな打撃を受けないかといった点に細心の注意を払って運用を行っている。

 3つ目の「割安」について、小野氏は「当ファンドの運用チームは一貫して割高な銘柄には投資をしないという方針で運用を行ってきました。このように、原則に則って、一貫した運用を続けることが、中長期的に優れた運用成績を上げる一因ともなっています」と語っている。

 そして、「プレミアム企業」に投資することが、下落局面で強さにつながっている。保有する企業の利益が安定しているため、市場の下落局面でファンドの基準価額が大きく落ち込むことがない。「当ファンドでは、競争優位の無形資産に加えて、売上地域の分散、製品の多様性といった点を考慮し銘柄選定をしています。これが利益の安定性に貢献をしています。そして、プレミアム企業のみを厳選した結果、当ファンドでは3つのセクターに集中投資をする形となっています。『情報技術』、『生活必需品』、『ヘルスケア』です」(小野氏)と、安定的な利益を稼ぎ出す業種の投資比率が高くなっているとする。