男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼（彼女）は何を思っていたの…？

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は？

▶前回：彼の家に置いていた化粧水の位置がズレていた。これって、つまり…




誠一郎と出会って、約3ヶ月。最初は二週間に一度会っていたけれど、その頻度は次第に落ちていき、今日は一ヶ月ぶりに会う予定になっていた。

― そろそろ付き合いたいんだけどなぁ…。

そんなことを思いながら、約束のカフェへ向かう。初期の頃はディナーや映画などのちゃんとしたデートだったのに、最近は気づけばお茶だけになっている。

でもまだ可能性を信じて、今日は男性が好きそうなシフォン素材のワンピースを選んだ。化粧もいつも通り抜かりなく、完璧な仕上がりだ。

「真奈美ちゃん、お待たせしてごめんね」
「いえいえ、全然待っていないので大丈夫です」

現在は勤務医として働いていて、もうすぐ開業するという誠一郎。ちなみにお父様も医者で、医者一家だと聞いている。

育ちよし、顔よし、性格よし。私からするとすべてが完璧だった。

しかしこの日カフェで会ってから、誠一郎からの連絡がついに途絶えてしまった。

― あれ？最初のほうはいい感じだったよね？なんで？？

果たして、私はこの3ヶ月の間に何をしてしまったのだろうか。


最初は惹かれていたけれど…男が見ていた、女の“ある部分”とは


Q1：初めから、微妙にNGフラグが立っていた女の言動は？


誠一郎と出会ったのは、友人の紹介だった。

今年28歳になる私と、32歳の誠一郎。年齢のバランスもいいし、性格も合った。何より、最初は誠一郎のほうが私を気に入っていた。

「綺麗な方だとは聞いていたんですが…本当にお綺麗ですね」

眩しそうに私を見てくれる誠一郎。これまでの経験から、好意のある女性に送る視線だと感じた。

「いえいえ、そんなことないですよ」
「ちなみに朋子とはどこで知り合ったんですか？」

朋子とは、紹介してくれた友人の名前だ。

「友達の友達だったんです。ちなみに誠一郎さんは？東京ご出身なんですか？」
「朋子とは学生時代からの知り合いなんですよ。そして僕は東京出身です。真奈美さんは？」
「私は茨城出身です」

友人ヅテに知った話だけれども、誠一郎のご実家は成城にあり、大きなお屋敷だそうだ。また、事前に彼のタイプは“華やかだけど遊んでいない女性”ということもリサーチ済みである。

「誠一郎さんは、お医者様なんですよね？もうすぐ開業されるとか…。すごいですね」
「いやいや、全然すごくないですよ。真奈美さんは？今お仕事は何をされているんですか？」
「私は知り合いの会社で、事務をやっています」

こんな感じで、最初はよくある会話で終わったけれど、解散直後に誠一郎から連絡があり、私たちはデートをすることになった。

しかも誠一郎が予約してくれていたは、中目黒にある『フェリチェリーナ』だった。

「わぁ、素敵！」

一皿一皿が美しくて、鮮やかで品のある料理に思わず歓喜の声が出てしまう。




「真奈美さんと行くお店、どこがいいかなと結構悩んだんです」
「そうだったんですか？誠一郎さんのセンス、さすがだなぁと思っていました♡」

できる男性は、お店選びのセンスもいい。そんなことを改めて実感する。それに一生懸命お店を選んでくれたというのも嬉しい。

「真奈美さんは、普段どういうところでお食事をされていますか？」
「私は…中目黒も多いですし、目黒界隈も多いです。家がその辺りなので」

ここで「主戦場は六本木とか西麻布です」なんて絶対に言わない。

彼のような、東京出身のいい家庭で育ったであろうお坊ちゃんが嫌いそうなワードは、ある程度把握しているつもりだ。

「そもそも、普段はあまり飲まないんです。自炊が多くて」
「お料理得意なんですか？ツメ、大丈夫なんですか？」

そう言われて自分の爪を見てみる。少し伸びてきているけれど、ワンカラーで根元に1個ずつストーンが乗っている程度の、シンプルなネイルだった。

「こんなの余裕です。それにお料理は、どちらかというと得意なほうかと」

彼からの好感度がぐんぐん上がっている感じが、手に取るように伝わってくる。

「普段は、真奈美ちゃんはどういう人たちと遊んでいるんですか？」

これも想定内の質問だ。もちろん異性の話は一切しない。

「職場の友達か、昔からの女友達が多いですね」
「真奈美さんを紹介してくれた朋子ちゃんも、昔からの仲良しって言っていましたよね！」
「そうなんですよ〜。朋子とは22歳くらいからの付き合いで。でも朋子が婚活に本腰を入れ始めてから、派手な食事会に頻繁に呼ばれるようになって…。それが嫌で、実はちょっと距離を置いていたんですけどね」
「そうだったんですね」

笑顔の誠一郎に、私も微笑み返す。

「朋子が開催するうような、派手な飲み会が好きじゃないので…」
「そっかぁ。本当に真奈美さんは、派手に遊んだりしていないんですね」

これは完璧に、いい感じだった。彼が求める理想像にしっかり応えられていたと思う。

なぜならこのデートの帰り道、彼はすぐに次のデートの提案をしてきたから…。


最初は良かったはずだったのに…。男が徐々に身を引いていった理由は？


Q2：男が女とのデートの頻度を減らしていった理由は？


二度目のデートは映画へ行き、その後ディナー。

三度目のデートは彼のお母様の誕生日プレゼントを一緒に探すため、銀座へ買い物へ行く…という、完璧なプランだった。

「ごめんね、買い物つきあわせちゃって」
「いえいえ。むしろ銀座とかあまり来ないですし、一緒に買い物できて嬉しいです。お母様、喜んでくれるといいですね」
「きっと喜ぶと思う。真奈美さんが選ぶのを手伝ってくれたって言うべきかな（笑）」

これは、親御さんへの“紹介フラグ”が立っているのではないだろうか。交際もまだ始まっていないけれど、親御さんと通じれば結婚に向けて一気に話が進む。

「お母様、どういう感じの方なんですか？」
「専業主婦で優しい人だよ」
「誠一郎さんも、結婚したら相手の女性は家庭に入ってほしいですか？」
「どうだろう。あまり考えていないけど、相手次第かな」
「ナルホド…。ちなみにお母様は、元々何をされていたんですか？」
「母親？なんだっけな…。父と出会う前はそれこそ祖父の会社の事務とかじゃなかったかな」

家族の話もしっかり聞けて、私は満足だった。この先のことも真剣に考えてくれているからこそ、こういう話をちゃんとしてくれるのだろう。

百貨店の食器フロアを一緒に巡っているうちに、まるで新婚のようにも思えてきた。

「誠一郎さん、こんな感じの食器とか？」
「いいね。でもちょっと派手かな？」
「このブランド、最近流行っている物なんですよ。だからお母様は知らないと思うので、逆に持っていないかなと？」
「そっか、そうかも。ただうちの母親、食器とかにこだわりがあるからな…」

結局1時間ほど見て、誠一郎は和食器を選んだ。




「今日は本当にありがとう。真奈美ちゃんのおかげで、いい物が買えて助かったよ」
「いえいえ。いつでも言ってください。ちなみに、お誕生日当日は何をされるんですか？」
「いつも通り、家族で外食って感じかな」
「あ。もしかして、伊藤家御用達のお店があるんですか？」

誠一郎のような家庭は、行きつけのお店があるのだろう。その予想は見事に当たっていた。

「うん、そうだね。毎年行くお店があって」
「さすが。素敵なご家族ですね」
「どうなんだろうね。まぁ仲がいいほうだとは思うけど」

少し恥ずかしそうに笑う誠一郎。その笑顔を見ていると、こちらまで嬉しくなる。

毎回スマートなデートで、楽しませてくれる誠一郎。優しいし家柄も良いし、収入も完璧。このまま付き合って、願わくば結婚…とまで思っていた。

しかしこの後何度かデートを繰り返したものの、結局彼からの連絡は途絶えてしまったのだ。

▶前回：女が感じた微妙な違和感。彼の家に置いていた化粧水の位置がズレていた。それって…？

▶1話目はこちら：「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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男が実は見ていた女の言動とは…？