いつもの食材で薬膳スープ。冬のカラダが喜ぶ簡単2レシピ【齋藤菜々子さん考案】

体の中からポカポカ。中医学に基づいた薬膳スープ

まだまだ寒い2月。特に女性は、冷えや寒さによる不調を感じやすい時季です。そんなときこそ取り入れたいのが薬膳の力。薬膳とは、中国伝統医学(中医学)の理論をもとに、健康維持や病気の予防・治療のために考えられた料理のことです。

「薬膳を手軽に取り入れるなら、薬膳スープがおすすめ。たくさんの具材を、栄養もあますことなく摂れるし、アレンジも簡単です」

そう話すのは、レシピを教えてくれた、料理家・国際中医薬膳師の齋藤菜々子さん。

「薬膳というと、漢方の原料となるような生薬(薬効のある植物など)を使ったり、手間がかかったりとむずかしいイメージがあるかもしれませんが、実はとても簡単。季節や、食べる人の体調にあわせた食材を使うことがポイントなんです。

『寒い日にしょうがやねぎを食べて温まろうかな……』と普段やっていることも、立派な薬膳なんですよ」と齋藤さん。

1. きのこの旨味がじんわり。「きのことしょうがのポタージュ」

「冬に起こる腸の不調は、乾燥と冷えによる影響と考えられます。冷えると縮こまって腸も動きづらくなり、便秘の症状が。きのこは腸のめぐりをスムーズにさせ、しょうがは体を温めてくれます。

特にしょうがは、中医学で生薬としても使われる食材なので、冷えが気になるときにおすすめです」

レシピに使う食材の効能

・しょうが:体を温める、免疫力を高める
・きのこ類:腸の流れを整える
・しいたけ、マッシュルーム:アンチエイジング、冬に傷みやすい腎を養う ※腎は中医学で、水分を貯め、性ホルモンや老化現象に影響が深いといわれている

材料(2人分)

・エリンギ……1本
・しいたけ……4枚
・ブラウンマッシュルーム……1パック(100g)
・玉ねぎ……1/2個
・しょうが……2かけ(約20g)
・牛乳……150cc
・生クリーム(乳脂肪分35%)……50cc
・水……150cc
・塩……小さじ1/2杯
・バター(有塩)……15g
・オリーブオイル……適量
・パセリ(みじん切り)……適量

作り方

1. 具材をカットする

エリンギは半分の長さにして薄切りに、しいたけは軸を落として薄切りに、マッシュルームはキッチンペーパーで汚れを拭きとって薄切りにします。玉ねぎ、しょうがも薄切りにしましょう。

2. 具材を炒める

中火で熱した鍋にバターを入れ、1の具材をすべて加えたら、きのこがしんなりするまで炒めます。

3. 水、塩を加えて煮込む

水、塩を加えて強火にし、煮立たったら蓋をして、弱火で約7分煮込みましょう。

4. ハンドブレンダー、またはミキサーでかくはんする

3をハンドブレンダー、またはミキサーでなめらかになるまでかくはんします。

5. 牛乳、生クリームを加えて温めれば完成

4に牛乳、生クリームを加え、沸騰しないようにゆっくり温めます。

器に盛り、お好みでオリーブオイル、パセリを散らして完成です。

ひと口飲めば、体全体にやさしい味わいと温かさがじんわりと広がります。味付けは塩のみですが、きのこの旨味がたっぷり溶けだして、なんとも濃厚な味わい。体も温まってお腹も満足、朝の一杯におすすめです。

2. やさしく温まる。「ほうれん草とかぼちゃのカレースープ」

「冬は体を温めながら、春の活動期に向けた体づくりも大事な時期です。中医学では、かぼちゃは体を温める温熱性の食材。

カレー粉といったスパイスも温熱性で、体を冷えから守ってくれます。ほうれん草は腸の流れを整え、血を作るので、春先に食べてほしい食材なんです」

レシピに使う食材の効能

・かぼちゃ、カレー粉:体を温める
・ほうれん草:腸の流れを整える、血を作る

材料(2人分)

・ベーコン……2枚
・ほうれん草……1/2束(100g)
・かぼちゃ……150g
・にんにく……1片
a. 水……500cc
a. しょうゆ……大さじ1/2杯
a. カレー粉……小さじ1杯
a. 洋風スープの素(顆粒)……小さじ1/2杯
a. 塩……小さじ1/4杯
・オリーブオイル……小さじ1杯
・粗挽き黒こしょう……適量
・粉チーズ……適量

作り方

1. 具材をカットする

鍋(またはフライバン)でお湯を沸かし、ほうれん草を1~2分ほどしんなりするまでゆでます。ゆであがったら一度冷水に取り、水気をよく絞ります。根元を切り落として、4cmの長さにカットしましょう。

かぼちゃは種とワタを取り除き、1cm幅の薄切りにします。

にんにくはみじん切り、ベーコンは2cm幅にカットしましょう。

2. 具材を炒めて、煮込む

鍋にオリーブオイルを弱火で熱し、ベーコン、にんにくを炒めます。ベーコンが縮んできたら、かぼちゃ、(a)を加えて強火にし、煮立ったら蓋をして弱火で4分煮込みます。

「表面に出てきた白いアクは、少し取っておきましょう」

3. ほうれん草を加えて煮込み、調味料で調えて仕上げる

ほうれん草を加えてさらに1分ほど煮込み、最後に粗挽き黒こしょうを振って味を調えます。

器に盛り、仕上げに粉チーズを振れば完成です。

ほうれん草、かぼちゃのエキスたっぷりで、まさに体が喜ぶ味。辛さはなく、カレーの風味がふんわり全体を包み込んでいる、そんなやさしいスープです。仕上げの粉チーズで、よりまろやかな味わいになります。

毎日続けて体質改善!薬膳スープで冷え知らず

「薬膳には季節ごとの考えがあるので、旬の野菜を取り入れるのがいいですよ」と齋藤さん。

薬膳は続けることで、体質が変化したり、体の調子が良くなっていったりするもの。だからこそ、毎日の食卓で少しずつ取り入れるのがおすすめです。あっという間に作れるので、今夜のひと品に加えてみてはいかがでしょうか。おいしい薬膳スープで、寒さに負けない体を作りましょう。

取材・文/島田みゆ
撮影/宮本信義

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