「清く、明るく、麗しく」をモットーとする20歳未満の少女たちによるレビューショー、『少女歌劇団ミモザーヌ』。


ゲームやアニメに舞台製作と様々な分野で活躍する、マルチクリエイター広井王子が総合演出を務める全く新しいライブ・エンターテインメントだ。20歳を超えると卒団となる「少女歌劇団ミモザーヌ」、1月9日には草月ホールにて、『少女歌劇団ミモザーヌ冬公演 「Winter Story〜きくたまこと卒団公演〜」』が開催となった。


ブルーのライトに照らされ開幕となった『少女歌劇団ミモザーヌ冬公演 「Winter Story〜きくたまこと卒団公演〜」』。オープニングを飾ったのは、『Welcome sing,sing』。輝く赤のドレスに赤いカチューシャとヒール。レトロモダンな衣装にも負けないキュート&セクシーなダンスで魅了したのは、いまもりまなか、たかはしまお、ともだりのあ。続く2曲目『ストレンジャー(冬版)』では、1曲目と対照的な哀愁漂う雰囲気へガラリと変わり、3人の巧みな表情演技で観客はグイグイと歌の世界観に惹き込まれていった。


演劇パートでは、「愛しているから傷つくこともあるでしょう」という、いわむらゆきねのセリフを合図に、ここからのレビューショーは歌と劇でシームレスに紡がれていく。多様性への理解、「すべてに個性があるっていうこと」といった強いメッセージがあったかと思えば、冬らしく夜の街並みを模したステージで『赤鼻のトナカイ』をキュートに歌う、いわなみゆうか、やましたあまね、いでいゆき。


時折ステージ上にはストーリーテラーとして、きくたまことが現れ、歌唱力と演技力バツグンな、いわむらゆきねのパフォーマンス、そして恋人役を男装で務める、すずきみあいムェンドワの切れ味鋭いダンスがオーディエンスを圧倒。中でも『ラストダンス』では、すずきみあいムェンドワがマイケル・ジャクソンを彷彿とさせる貫禄のパフォーマンスを披露し、会場を沸かせた。


再びストーリーテラーのきくたまことが「色々な愛の物語がある」と切り出し、ステージは「生き物の愛」をテーマとしたショーへと移る。人間社会で暮らしながら「考え続けることが大事」「身勝手な人間の愛を理解しなきゃ」と、人間の愛を理解しようと務めるネコ達(たかはしまお、みやはらにこ、たかやあんな、たなかあかり、ともだりのあ)の物語へ。


そんな自由な世界を生きるネコ達の“妄想飛躍”から、ラッコの世界、フラミンゴの世界、シマウマの世界へと様々な世界を飛躍しながら、1人1人が自由気ままなネコ達は、「ネコの素晴らしさ」「仲間っていいな」と自分たちの魅力や仲間が必要であること、そして人間の愛を理解していく。このパートでは「情熱フラミンゴ」を歌う、いまもりまなかのキュートな姿、アクロバットが得意な、みやはらにこのバク転などにオーディエンスの拍手が沸き上がり、ステージは第二部へと移る。



第二部は、今年の干支「虎」にまたがり、虎のハッピ姿という、いわなみゆうかが先陣を切る。そこに「ゆうか軍団」として、きくたまこと、たかはしまお、いまもりまなか、いわむらゆきね、すずきみあいムェンドワ、もうりさくらが合流し、にぎやかなお祭り楽曲『とらとら』からスタート。


そしてキンコンカンコーンという学校のチャイムとともに現れたのは、芸人コンビ「尼神インター」。あいさつ代わりの心理テストコントで会場を爆笑に包むと、尼神インターを講師とする特別授業…と言う名のゲームコーナーがスタート。


まずは「ガチンコ綱引き対決」。尼神インター誠子&ゆうかチームvsみあい&さくらチームの勝負、「力には自信がある」と挑んだゆうかだったが…、結果はみあいに惨敗!本気で悔しがるゆうかの姿に笑いが広がる。続く大小3つの風船とボールを2人が顔で挟み箱に入れるというゲームでも、みあい&さくらチームが勝利。


そして最後に用意されたリンボーゲームは、勝利チームが1億点GETという大逆転ルールに!?全員が前のめりで挑むガチンコ対決の行方は…、勝負が決する前にチャイムが鳴るというタイムオーバーでのドロー!総合ポイント2勝1分けで、みあい&さくらチームの勝利に拍手が贈られた。


再び歌のステージへ戻ると、楽曲は『動かなかったこころの時計』、『愛の速度』、『MONSTER NIGHT』と3曲連続で展開される。側転やバク転といったアクロバティックな連続技、新体操のリボンとバランスボールを使ったリズミカルなダンス、英語でのパフォーマンス、切れ味バツグンのダンスに声量タップリの情熱的な歌声。どれをとってもこれまでの最高峰と言えるパフォーマンスで彼女たちの大きな成長を感じさせる。


これに続いたのは新曲2曲。まずは新曲一曲目となる『ファンタジーガール』。

キラキラベルトがポイントのピンクの衣装に白ブーツ姿で挑む、ともだりのあ、ちばひなの、いしばしゆあ、ひろせしずく、たなかあかり。爽やかでノリの良いサウンドに合わせた、ちょこちょこステップが可愛らしいキレのあるダンスで、オーディエンスをタイトル通りのファンタジーな世界に惹き込む。


続く新曲『ギフト』は、しっとりと大人っぽいバラード。

制服姿で挑む、いまもりまなか、いわむらゆきね、たかはしまお、いわなみゆうかは、伸びのある歌声で意味深な「旅立ち」と「卒業」を感じさせ、きくたまことの卒団コメントへと繋がる。既に瞳をにじませるまことは、時折こらえきれないタイミングがありながらも、しっかりとした口調で思いを伝える。


「いよいよ卒業なんだなと実感してきて、すごく寂しいです。でも10代っていうかけがえのない時間をここで過ごせたことは、私にとって人生の宝物だったと思います。春に小さなつぼみが美しく咲き誇ってそして美しいときに散っていく桜のように、そのはかない少女達をこれからも温かく見守っていただけてら幸いです。人の繋がりって本当に素敵だなって思いました。だから皆には人と人とを繋ぐ架け橋となるようなグループになっていってくれたら嬉しいなって思っています。これからも少女歌劇団ミモザーヌを全力で応援していくのでこれからもどうぞ宜しくお願いします本当にありがとうございました!」


そのまま流れる楽曲は全員での『応援歌』。

歌のパフォーマンスは進みながらもステージ上では、全員が代わる代わるまことに抱きつき、最後は桜舞い散る中で全員がまことに優しく微笑みかける。この流れには感極まるものも多く、涙と共に自然と鳴りやまぬ手拍子がうまれた。


手拍子に誘われスタートとなったアンコール曲1曲目は『カモナ・マイ・ハウス』。

ジャジーでハイテンポな難しい楽曲を歌い上げる、すずきみあいムェンドワ、いまもりまなか、いわむらゆきね、たかはしまお、ともだりのあ。


そして、二部構成の公演もいよいよラストの曲に。最後の曲として選ばれたのは、少女歌劇団ミモザーヌの代表曲でもある『ミモザのように』。ステージ上だけでなく、会場全体が振付をともにする。きくたまことの瞳からは涙がこぼれているが、決して笑顔を絶やさないその姿勢に、熱い拍手はいつまでも鳴りやまなかった。