アニメ映画『アイの歌声を聴かせて』でAIの主人公・シオンの声を演じた土屋太鳳

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 女優の土屋太鳳が22日、新宿ピカデリーで行われたアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』の完成披露試写会に来場し、主人公のAIに声をあてるにあたって周囲の家電を参考にしたことを明かした。この日は土屋とともに福原遥、工藤阿須加、興津和幸、小松未可子、日野聡、大原さやか、吉浦康裕監督も来場した。

 本作は、学業優秀でスポーツ万能、何かと言えばミュージカル調で歌い出す主人公が、転校先の学校で周りの人たちを幸せにしていくさまを描き出したアニメ作品。すこしポンコツなAIの主人公・シオンの声を演じた土屋は「世界中に不安が膨らむなか、たくさんの試行錯誤と愛情によって作られた作品です。完成披露という名のつく場に立ち、ごあいさつすることができてうれしく思います」とあいさつ。もう一人のヒロイン・サトミ役を務めた福原も「私自身、すごく大事な作品で、愛にあふれた作品です。その思いが届けばいいなと思います」と続けた。

 土屋は自身の役について「シオンは頭脳を持っているけど、呼吸できているわけではないんです。物体ですが、動いているし、感情もある。だから、どう演じたらいいかわからず、苦しかったです」という。役づくりのために周囲の家電のAI音声を参考にしたそうで、「『お風呂が沸きました!』や、携帯の声を何度も聞いて、そういった声を聞いているうちに、シオンの心がモノクロからカラーに変わった気がしたんです。コロナ禍なので(共演者と)一緒に収録することはできなかったですが、離れていても、みなさんに支えられて演じることができたと思っております」としみじみ。

 そんな土屋に対して、吉浦監督は「キャスティングにおいて大事なことは(役柄に)合っているかということ」と語る。「機械的だから感情がないということではなく、感情のバランスが人間とはちょっと違っているのがAIらしさ。土屋さんが持つ人間の部分がシオンそのものだなと思ったので、監督としても不安はなく、つつがなく収録したという記憶があります」と振り返った。

 この日は、シオンがサトミの幸せを叶えようとする物語にちなみ、登壇者たちが叶えたいこと、叶ったことについてトークを展開。土屋は「本当に今日! 今! ナウです!」と語り、「この作品は、この先どうなるんだろうという状況のなかで作られた作品です。辿りつかないんじゃないかと思った場所に辿りついたような気持ちです」と誇らしげな表情を見せた。(取材・文:壬生智裕)

映画『アイの歌声を聴かせて』は10月29日全国公開