ますます感染が拡大している新型コロナウイルス。全国で感染者が2万人を超える日が続いており、重症者も8月31日時点で2100人を超え過去最多となっています。

もはやだれが感染してもおかしくない状況。今回は家族全員がコロナに感染してしまい、自宅療養を経験したESSE読者のAさんに、検査結果がわかったときの心情や、症状が急に悪化した夫の状況など、コロナに感染して実感したことについて伺いました。


家族全員でのコロナ感染。夫は症状が悪化し…(※写真はイメージです)

陰性を確認するつもりが…まさかの家族全員感染に呆然



夫と小学校低学年の子どもの3人で暮らす40代のAさん(神奈川県横浜市在住・会社員)。共働きで、Aさん自身はテレワークもしつつ週に3日ほど電車通勤にて出社し、夫は、ほぼ在宅でテレワーク勤務という状況。8月上旬に夫婦で体調不良を感じたときは、「ただの夏風邪だろう」と思っていたのだそうです。

「熱が37.8度くらいまで上がったものの、私はワクチンを1回接種済みだったこともあり、まさかコロナに感染しているとは思ってもいませんでした。近所の病院のコロナ外来にPCR検査を受けに行ったのも、陰性だとはっきり確認するため。味覚障害や咳などの症状もなく、陽性が判明したときは『まさか』という感じでした」(Aさん)


保健所からAさん宛てのコロナ感染の通知書

のどの痛みを訴え、一緒に病院に行った夫も同日にコロナ感染が発覚。病院に行くために近所に住むAさんの両親に預けていた子どもも発熱してしまい、PCR検査を受けたところ陽性に。ほどなくして、Aさんの母親もコロナに感染していたことが判明したそうです。

感染が発覚した時点でのAさん一家のワクチン接種状況は…

・Aさん→3週間前に1回目を接種
・夫→ワクチン未接種
・Aさんの父親→3週間前に2回目の接種も完了
・Aさんの母親→Aさんが体調不良を感じた前日に2回目の接種をすませたばかり

だったとのこと。

「保健所の調査では感染経路は不明とのことだったのですが、子どもや親も感染する結果になってしまい、とても申し訳ない気持ちになりました。今回、家族全員が感染してしまったことで、家族間での感染を防ぐのはなかなか難しいということを実感しました」(Aさん)

●約2週間の自宅療養では、食料品の確保の重要性を痛感



感染が分かってからは職場や子どもの学校へ連絡。子どもは夏休みだったこともあり、幸いにして職場や学校に感染者は出ませんでした。その後、2週間程は出社せず、自宅での療養が続くことに。

「買い物に行くことができない自宅療養中に役に立ったのが、保冷材。熱が出ていたため、食料品などについていたものをストックしておいてよかったと思いました。

一方で、もっと用意しておけばよかったと思ったのは、どんなときでも簡単に食べられる『おかゆ系のストック食品』。あわてて備蓄の食材を家じゅう探し回ったりしたので、非常時に備えた食料品の確保は大事だなと痛感しました。

そうした状況だったため、食事はほとんどウーバーイーツなどの宅配サービスを頼ることに。玄関への置き配にすれば、配達員の方と接触することなく受け取ることができました。また、ずっと家にこもっているなかで食事がかなりの気分転換になったため、冷たいアイスなどの嗜好品もあればよかったなと思います」(Aさん)

●自宅療養中は、県の療養サポートLINEを利用。オンライン診療の紹介も




Aさんが療養中に利用した神奈川県療養サポートのLINE

コロナに感染した場合、自治体はどういったサポートをしてくれるのでしょうか。

「神奈川県横浜市に住んでいるわが家の場合は、コロナ感染が発覚してすぐに、保健所から血液中の酸素飽和度を計測するパルスオキシメーターが送られてきました。オンライン診療も紹介してもらい、そちらも自宅療養中に利用することができました。また、今回は利用しなかったのですが、希望者には食品を玄関口に配布するサービスなどもあるそうです」(Aさん)

ただ、こうしたサポートが受けられるかどうかは、どの自治体に住んでいるかや、そのときの状況にもよりますので、自分の所属している自治体で現在どういったサポートが受けられるのかを確認することも、今後どれくらいの備えをしておけばいいのかの指標になるかもしれません。

●ワクチン未接種の夫の症状が悪化。声を出すのもつらい状態に…




ワクチン未接種の夫の症状が悪化…(※写真はイメージです)

コロナ発覚から3日後にはちょっとした料理や家事はできるくらいに回復したAさん。子どもも一時は高熱が出ましたが4、5日で回復。Aさんの母親も発熱はなく、のどの痛みが2週間ほど続く程度だったそうです。

一方、ワクチン未接種で軽いぜんそくを持っていた夫の回復には10日ほどの時間がかかり、一時期は呼吸が苦しくなるといった症状も。

「夫も自分と同じように回復すると思っていたので、症状の悪化は想定外でした。高熱が1週間続いて、やっと熱が下がったと思ったら、気管支のほうに不調が出てしまったようです。

家の階段の上り下りなど日常の動作も厳しく、声を出すのもつらかった様子。寝ているときに急に息苦しくなることもあったのだとか。オンライン診療を受けて処方された、痰切りや解熱剤、漢方薬などを使って呼吸をラクにしたそうです」(Aさん)

●自治体の窓口に相談するも、入院は難しく自宅で過ごすことに



症状が悪化し苦しそうな夫に対し、入院の必要があるのではないかと考えたAさんは、自治体のコロナ相談窓口に電話で相談しました。

しかし、答えは「現時点では入院できるような医療機関の調整は難しいので、自宅療養をお願いしたい」というもの。

「電話の向こう側からは、相談窓口の現場のひっ迫した雰囲気が伝わってきました。これはもう本当に自宅療養のまま自力で回復を待つしかないんだな…と覚悟しました。夫の症状が悪化したら『救急車を呼んでください』というアドバイスをもらいましたが、もしそうなったとき、救急車を待っている間に夫になにかあったらと思うと、気が気ではなかったです。

最終的に自宅療養中に回復することができたのでよかったのですが、これまでの風邪やインフルエンザなどとはまったく異なるとても辛そうな症状を見て、これがコロナなんだ…と恐ろしくなりました」(Aさん)

●感染後ますます高まったコロナウイルスへの危機感




感染後、コロナに対する危機意識がさらに高まったそう(※写真はイメージです)

コロナに感染する前も、マスクや帰宅後の手洗い消毒、人混みにはなるべく行かないなど、一般的な注意は払ってきたAさん。それでもコロナに感染してしまったことで、コロナに対する危機意識はますます高まったといいます。

「夫の症状の悪化を目の当たりにして、コロナは本当になにが起きるのかわからない病気なんだということを実感しました。感染直後なので自分たち家族には抗体があるのかもしれませんが、かかったからこそ、その後のリスクを考えて自分を律しようという気持ちが生まれました。

まだまだ我慢が必要ですが、子どもが家で楽しめる遊びなどを見つけて、工夫しながら過ごしていけたらと思っています」(Aさん)

だれであっても、感染後に症状が急変するリスクのあるコロナウイルス。感染しないよう十分に注意することに加え、もし感染してしまった場合を想定し備えておく重要性もさらに高まっていきそうです。

<取材・文/六原ちず>