「Pixel 6」にはグーグル初のPixel用チップ「Tensor」を搭載(画像はグーグル公式ブログから)

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米グーグルは、同社開発の基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマートフォン(スマホ)「Google Pixel」シリーズを展開する。2021年秋には新たに「Google Pixel 6」を発売する。ただ同シリーズの日本市場シェアは、米アップルの「iPhone」に比べて数段劣る。

ITの巨人・グーグルだが、スマホ端末ではアップルに大きく差をつけられているのはなぜか。

「検索のグーグル」にハードウエアの印象ない

調査会社「BCN」は、全国の主要家電量販店・ネットショップから収集したスマホの売上データを公式サイトで公開している。21年7月のスマホランキングは1位・2位ともに「iPhone SE 64GB」。1位はソフトバンク、2位はauが販売する端末だ。「Pixel」シリーズを探すと、ソフトバンクの「pixel 4a」が14位でようやく見つかる。

ケータイジャーナリストの石川温氏に取材した。石川氏によれば、アップルはパソコン「Mac」シリーズや音楽プレーヤー「iPod」の販売を経て、ハードウエアメーカーとして固有のファンを獲得してきた。

日本のiPhone発売は2008年。ソフトバンクが「iPhone 3G」を積極的に売り出した。後年、auやNTTドコモも追随した。アップルファンの存在と携帯キャリアによる販売促進のおかげで、iPhoneは浸透したのだという。

「Pixel」シリーズは18年11月に日本に上陸した。グーグルは検索エンジンの会社というイメージが強く、「(ハードウエア)メーカーという印象が、もともとない」と石川氏は話す。グーグルの検索・地図・メールサービスは人々の生活に根付いているが、熱心な「グーグルファン」はいない、という指摘だ。

またiPhoneはもちろん、アンドロイドでもソニーやシャープのスマホが一定のシェアを日本市場に獲得してきた。ソニーはソニーファンの存在、シャープなら液晶やカメラの性能、使い勝手の良さという強みを持つ。だがPixelは「そういった個性を出せていなかった」。アンドロイドスマホの中でもある程度市場ができあがっている中で、なかなか新規参入の余地がなかったというわけだ。

自社製チップをウリにするが

世界の端末シェアでは、韓国サムスン電子が優位に立つ。サムスンはグループ内で半導体やディスプレーを生産・調達可能で、高性能のスマホを作れるのが強みだと石川氏はみる。

アップルも自社で「iOS」を手がけ、ハードウエアやチップ(スマホの処理性能に関わる部品)を長年開発。総合力に長けていると評価した。

一方、グーグルのスマホメーカーとしての開発力はサムスンやアップルに一歩及ばない。「OSはすごいものを作れても、ハードウエアでは見劣りする部分があると思います」。

秋発売予定の「Pixel 6」は、自社製チップ「Google Tensor」の搭載をウリにしている。ただ、一般ユーザーが店頭で触れてもチップの魅力が伝わるか、石川氏は懐疑的だ。売れ行き予想を聞くと、「もうちょっと(プロモーションを)がんばらないといけないかなと思います」と話した。