7月16日〜8月15日の期間、六本木ヒルズ2階ヒルサイド ヒルズボックスで開催されている「THE HAWAII SELECTED by MAKI KONIKSON」。密を避けるため入店制限を設けての開催だったが、初日16日の売り上げは六本木ヒルズで開催されたポップアップストアの日別売り上げの記録を更新した(撮影:今井康一)

年明けの緊急事態宣言発出以降、「平時」と言える時期がほとんどなく、閉塞感に包まれている。ワクチン接種の普及も遅々として進まず、夏休み、お盆休みと言っても旅行や帰省もままならない状況だ。

そんな中、ひととき、南国の風を味わえるイベントとして開催されるのが「THE HAWAII SELECTED by MAKI KONIKSON」。7月16日〜8月15日の1カ月間、六本木ヒルズ・ヒルズボックスでオープンする期間限定ショップだ。

インスタのフォロワーは35万人以上

注目を集める理由は、人気コーディネーター、マキ・コニクソンさんによるプロデュースイベントであること。マキさんはハワイ在住で、雑誌やテレビなどメディアの現地ロケコーディネート、イベントのプロデュースを通じて、ハワイの魅力を日本に伝え続けてきた。今回、日本で行われるプロデュースイベントとしては6年ぶりで、貴重な機会であることも注目度を高めている。

さらに、ハワイの美しい風景や最新情報を届けるマキさんのインスタグラムはコロナ禍、多くの人の支持を受け、35万人以上のフォロワーを抱えるまでに至っている。

このように、コロナ禍だからこそ従来に増して高まっている、ハワイへの熱い思いに応えるイベントでもあるのだ。

今回はそのマキさんにインタビューし、イベントの見どころや開催の狙いを聞いた。

マキさんによると、まずイベントを決行することが大きな決断だったという。

「昨年六本木ヒルズさんからお話をいただいていたのですが、コロナで開催できない状況になってしまいました。そして、今年も感染拡大が心配される状況で、ギリギリまで開催するかどうか迷ったんです。でも、周囲に話を聞くと、『出かけられないし何もかも自粛で楽しみがない』『気持ちが暗くなる』という声が聞こえてきました。こんなときだからこそルールを守り、対策を万全にして開催し、元気になってもらいたい。イベントを成功させ、他のさまざまなイベントにも道を開きたい。そんな思いで開催を決めました」


店舗ではマキさんプロデュースのハワイ限定‟日焼けスヌーピー”のグッズも買える(撮影:今井康一)

会場は小ぶりな店舗ほどのスペースだが、一歩中に入ると日常とは異なる空間へと導かれる。

ただ、非日常感がある中にも心安らげる気がするのは、日本人にとって身近な外国、ハワイだからなのだろうか。マキさんによると「私の自宅の雰囲気そのままです」とのこと。ハワイのマキさん宅と同じインテリアを用いたり、大好きな色であるターコイズブルーをあしらって、落ち着く空間をつくりだしているのだそうだ。

ハワイを毎年のように訪れるほどのハワイファンにとっては、旅行の開放感とともに懐かしさも感じられることだろう。

イベントで扱う商品はすべて空輸で調達

今回マキさんのプロデュースで紹介される商品はバッグや衣料、コスメ、クッキーなど11ブランド。いずれもハワイのブランドで、今回のイベントでしか手に入らない限定グッズも販売される。

限られたスペースで密をつくらず安全に開催するため、イベントに並ぶ行列が30名を超えた場合は整理券で対応。また会場に足を運べなかった人も購入できるよう、大部分の商品がオンラインでも販売される。こちらも店舗と同じく16日11時にオープンしたオンラインストアでは、開始20分で「THE COOKIE CORNER」が完売。その他「MYLAN」や「at Dawn O’AHU」の限定商品も開始30分を待たずに完売するほどの人気となった。

マキさんが力を込めたのは、「ハワイの空気と、現地のジャパンラバーズ(親日家)の思いをそのままに届けること」だったという。

「日本のハワイラバー(親ハワイ)人口もすごく多いのですが、ハワイの人も非常に親日的です。コロナで日本からの旅行者が絶えているので『いつ戻ってきてくれるの?』と、心待ちにしています。本当に、日本とハワイは相思相愛。今は互いに会えないけれど、せめてその気持ちを伝える懸け橋になりたいと思っています」(マキさん)


今回のイベントで初めて日本に上陸した「THE COOKIE CORNER」(撮影:今井康一)

そのため第一に、イベントで扱う商品はすべて空輸で調達している。ハワイでしか入手できない商品をそろえ、リアルハワイを伝えるというこだわりのゆえだ。中でも「THE COOKIE CORNER」は創業30年にして初めて日本に上陸するクッキーで、マキさん自身がベーカリーの店主から「必ずフレッシュな状態で販売してほしい」と条件をつけられ、出品できることになったものだという。

フレッシュさを保つため、イベント期間中週に1度はハワイから空輸されるそうだ。味わってみると確かに、素材を活かした素朴な味わいで、人工的な雑味がない。新鮮さが重要なクッキーであることがわかる。

また現地の人々の思いを伝えるのが、今回の目玉の1つである「ガチャガチャ」だ。1万6500円以上購入したら1回試すことができ、またハズレがないので必ず何か受け取ることができる。マキさんが選んだギフトセットのほか、コスメ用品、高級ホテルの宿泊券やレストランの食事券など豪華プレゼントが当たる可能性もある。

「この景品も、ハワイエアラインや各ホテルなど、みんなが『日本のために』と提供してくれたもの。思いがこもっています」

そんなハワイの感染状況はどうなのだろうか。マキさんによると、デイビッド・イゲ州知事によりワクチンの接種も迅速に進み、感染者は非常に低く抑えられているという。5月にマスクの屋外での義務化が解除されているが、ワクチンを打っても互いへの心遣いからマスクをつけるなど、奥ゆかしい人が多いそうだ。

一方で渡航規制の緩和でアメリカ本土からの旅行者が急増しているというニュースも報じられている。観光にも以前の活気が戻るかに思われるが、マキさんによるとそう簡単ではないのだそうだ。

「アメリカの人は基本的にビーチで過ごすため、あまりお金を落としません。日本で言えば沖縄のようなもので、お店もブランドも同じものが本土にありますから。『アメリカの旅行者で賑わっている』と報道されていますが、実は、ハワイの経済は全然回っていないんです。観光で成り立っている国ですから、かなり深刻な状況と言えるかもしれません」

だからこそ、日本人観光客が戻ってきてくれる日を心待ちにする思いも強いのだ。しかしこうしたビジネスの理由だけではない。マナーがいい、優しい、ハワイの文化を尊重するといった、日本人の人柄への評価が現地では高いのだという。

これは、「日本人はハワイが好き」という事実と表裏一体と言えるだろう。江戸時代に結ばれた友好条約、そして明治に行われた移民など、両国は古くから関係を築いてきた。新婚旅行のメッカと言われ、芸能人やスポーツ選手が過ごすリゾート地としても有名だ。日系人が多く、日本人として過ごしやすいことも、人気の理由だろう。

「ハワイのジャパンラバーズは日本人ロス」

ハワイの魅力について聞くと、マキさんは「アロハスピリット」という。

「もちろん最初は海の美しさ、暖かい気候などに惹かれると思いますが、最終的にはハワイの人自身に魅力を感じるのではないでしょうか。アロハスピリットは思いやり、譲り合い、愛といったもの。例えば道でも絶対にクラクションを鳴らさず『どうぞ』とまず譲ります。譲られるとうれしいから、他の人にも譲りたくなります。そういうふうに、思いやりが回っていくのがアロハスピリット。

ロックダウンしていたときも、みんなが『コロナを撃退しよう』という気持ちで、ルールを守りました。散歩は許されていたので、歩いていると出会うんですが、互いに「がんばろう」って気持ちを込めて挨拶をし合っていましたね。状況的に『他人を避けたい』となってもおかしくないのですが、そういう人はいませんでした」(マキさん)


マキ・コニクソンさん。コーディネーターとしてハワイに在住して23年。芸能人などとの交友関係が多いことでも知られる。現地コーディネートやイベントプロデュースで活躍するほか、35万人以上のフォロワーを抱えるインスタグラムで「アロハスピリット」を発信している(撮影:今井康一)

新型コロナは分断のウイルスと言われ、世界中で多くの深刻な対立を生んだ。日本でもSNSやメディアなどで、さまざまな事柄を巡り批判や傷つけ合いが日常化している。不安に満ちた社会の状況や、同調を良しとする日本人特有の性質が原因としてあるかもしれない。

反面ハワイには、ポジティブなスパイラルを生み出すアロハスピリットが根付いているわけだ。マキさんのインスタに癒やしを求める人が増えているのも頷ける。マキさんも、「アロハスピリッツのおすそわけ」という気持ちで、毎日インスタを更新しているそうだ。

最後に、ハワイファンへのメッセージを聞いた。

「将来のためにハワイ貯金をお願いします。ハワイのジャパンラバーズは日本人ロスになってます。両手を広げて待っています」

マキさんとハワイのポジティブな精神を取り入れに、会場に出かけてみてはいかがだろうか。