カタールW杯アジア最終予選の組み合わせが決まった。

 最終予選は12か国をふたつのグループに分け、各グループの上位2か国が出場権を得る。さらに両グループの3位が1発勝負のプレーオフを戦い、勝者が北中米カリブ海地区、南米、オセアニアとの大陸間プレーオフに挑む。まずは2位以内の確保がターゲットだ。

 日本はオーストラリア、サウジアラビア、中国、オマーン、ベトナムと、グループBを形成する。オーストラリア、サウジアラビアとは、前回の最終予選に続いての同居だ。
 
 組み合わせに恵まれた、との意見は多い。

 イランが第1シードのグループAには、韓国、アラブ首長国連邦(UAE)、イラク、シリア、レバノンが同居した。西アジアの5か国にとっては、アウェイゲームに伴う移動の負担が少ないグループ分けだ。他方、東アジアから唯一参加する韓国は、アウェイゲームのたびに長距離移動を強いられる。東アジアの中国、東南アジアのベトナム、時差の少ないオーストラリアが同グループの日本は、移動において恵まれたと言うことができる。

 ただ、組み合わせに恵まれたとは考えにくい。

 第2シード(オーストラリアと韓国)、第3シード(サウジアラビアとUAE)と2つの枠を争うのは、どちらのグループでも変わらない。第4シード以下の国との対戦では、負けが許されないのも共通する。どちらのグループでも、待ち受けているのはタフな戦いだ。

 最終予選は9月からスタートする。9月、10月、11月に2試合ずつを戦い、来年1月末から2月上旬にかけて2試合を、3月下旬に2試合を、それぞれ消化する。

 スタートで躓かないのは大事だ。9月2日にホームで行なわれるオマーンとの開幕戦は、確実に勝点3を奪わなければならない。続く7日の中国とのアウェイゲームも、勝点1では足りない。連勝スタートはノルマだ。

 10月には最終予選前半のヤマ場を迎える。7日にアウェイでサウジアラビアと、12日にホームでオーストラリアと対戦する。ライバルとの直接対決だ。ここは1勝1分が最低ラインになる。

 新型コロナウイルスの世界的な感染状況次第では、2次予選のように途中からの集中開催もあり得る。短期間で日程を消化する戦いでは、勢いに乗ったチームが走ることもある。現在のフォーマットの間に、できる限り勝点を稼いでおきたい。結果的にそれが、先行逃げ切りにつながればいいだろう。

 1月末と2月上旬の2試合は、Jリーグのオフ期間に行なわれる。1月27日の中国戦、2月1日のサウジアラビア戦ともにホームゲームだ。どちらも落とせない。
国内組を起用するのであれば、中国戦の1週間ほど前に実戦(テストマッチ)を消化しておきたい。ただ、FIFAのマッチデイは1月24日からなので、それ以前の国際試合となると対戦相手との調整が必要だ。

 海外組のみでチームを編成すれば、いつも通りの準備で中国戦を迎えることができる。その場合は、国内クラブに所属するGK権田修一、右サイドバック酒井宏樹を使えないことになる。国内組も起用する前提で準備を進めるのか、森保監督の判断が注目される2試合だ。

 今年3月と6月の戦いが充実したものとなった背景には、所属クラブでのパフォーマンスを多くの選手が代表に持ち込んだからだった。遠藤航、伊東純也、守田英正、鎌田大地らが、チームのレベルをグッと押し上げた。

 来年3月の最終節まで、国際Aマッチはすべて最終予選に充てられる。だとすれば、アジアでの戦いを通じて成長していかなければならない。その前提条件となるのが、所属クラブでのパフォーマンスである。2次予選終盤には招集されなかった柴崎岳、中島翔哉、鈴木武蔵らをはじめ、ジュビロ磐田からシュツットガルトへ期限付き移籍する伊藤洋輝らも含め、各選手が所属クラブでしっかりとプレーすることが、最終予選突破につながっていく。