構造によって音が異なるためスペースやコストに影響される

 危険を防止するためにやむを得ないときや、法令によって警音器を鳴らさなければならない場合を除き、むやみに鳴らすと違法になるクラクション。

 ジェントルなドライバーなら、滅多にならす機会はないだろうが、クラクションの音はハイグレードなクルマと大衆車ではかなり大きな違いがある。大衆車の場合、「ビー」と安っぽい音がするに対し、ハイグレード車はもっと深みのある音がする。

 むかし、某ビデオマガジンには、「ホーンバトル」と称して、ライバル車種のクラクションの音色を比較するコーナーがあったが、車格のわりにしょっぱい音のクラクションのクルマにはガッカリしたものだ……。

 ちなみに、クラクションはイギリスの部品メーカーの商品名(クラクソン)からきたもので、一般的な英語ではホーン。法律的には警音器が正しい名称。

 それはともかく、こうした音の違いは、クラクションの構造で決まってしまう。

 クラクションには、主に「平型」と「渦巻き型」の2種類があり、普及度が高いのは「平型」クラクション。

「平型」は内部にあるボールとシャフトが触れあった音を、レゾネーター(共鳴板)で増幅する仕組み。

 安価で取り付けスペースを取らないので、多くの車種に採用されているが、音が安っぽくなるのが難点。

「平型」をデュアルでつけているクルマは、可もなく不可もなく、「まあ、こんなもんかな」といった質感になるが、軽トラックなど「平型」のシングルのクルマは、弱々しいというか、ちょっと情けないクラクションになる……。

 一方、レクサスや輸入車などは、重厚感のある音が出る「渦巻き型」を採用している。

「渦巻き型」は管楽器のような共鳴部分(カーリング)があるので、重圧音を出すことができる。ただし、部品が大きいので場所をとり、コストも高くつくのがデメリット。

 フェラーリなどは例外的に、圧縮空気を使ったエアホーン(伊 FIAMM社製)を使っているので、独特の音が出る。

 というわけで、車種によるクラクションの音の違いは、コストとスペースに起因していると考えていい。

 なおクラクションの音が気に入らない場合は、社外のクラクションに交換することも可能。

 80年代の走り屋は、「平型」からDIYで「渦巻き型」に交換するのは、わりとメジャーなカスタムだった(例AE86など)。今でも3000〜5000円も出せば、デュアルの「渦巻き型」のホーンセットが入手できる。

 とはいえ、

・車の前方7mで、87dB(デシベル)以上112dB以下

・音量、音色は一定で連続するもの

 といった保安基準があるので、いわゆるミュージックホーンなどは違法。交換するときは、保安基準適合品であることを確認してから購入しよう。