マレーが大坂なおみの「全仏オープン」辞退についてコメント

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元世界ランキング1位のアンディ・マレー(イギリス)が、「全仏オープン」を辞退した大坂なおみ(日本/日清食品)と大会側の対応について意見を述べた。米スポーツメディア ESPNが報じている。

大坂は先月、「全仏オープン」の開幕に先立ち、試合後の記者会見に出席しない意向をSNS上で表明し、その宣言通りに勝利した1回戦後の会見を欠席。これによって大会の規定に基づき1万5000ドル(約165万円)の罰金を科される。大会運営側はさらに、4つのグランドスラムの主催者として連名で声明を発表し、「全仏オープン」での失格や他の大会への出場停止となる可能性があることを大坂に通達。すると大坂はうつ病であることを告白し、「コートからしばらく離れる」と告げて「全仏オープン」を辞退するに至った。


大坂が「WTA500 ベルリン」(ドイツ・ベルリン/6月14日〜6月20日/グラスコート)も辞退した中、フランステニス協会(FFT)のジル・モレトン会長は「全仏オープン」の最終日に、何度も大坂との話し合いを試み、「我々は正しい方法で対処した」と強調している。


英BBC Sportとの対談の中でマレーは大坂について、「彼女が元気になること、そして元気になるために必要な助けが得られることを心から願っている。彼女の不安やうつ病の引き金が何であれ、彼女やチームが解決策を見つけるのにテニスが力になると信じている」と話した。


その一方で、大坂と大会運営側の双方がもっとうまく対応できたはずだと指摘する。


「結果的に誰も得をしなかったわけだから、僕はこの一件がもっと違う形で対処されていれば良かったのにと思っているよ。もし記者会見が不安やうつの原因になっていたのであれば、どうして彼女のチームはグランドスラムやWTAにそのことを伝え、解決策を見つけようとしなかったのだろう」


「彼女を失格や出場停止にしようとした大会側の印象も良くない。彼女がSNS上でうつ病と闘っていたと発言した途端、グランドスラム側やテニス界の態度が変わって、まったく違う雰囲気になった。それでも、もし僕が同じような問題を抱えていて、それを直接グランドスラム側と話をしたら、きっと手を差し伸べてくれていたと思う」


大坂と同じように若くしてスターダムを駆け上がり、18度のグランドスラムタイトルを誇るクリス・エバート(アメリカ)は、「彼女には安らげる場所、安らげる空間で心を許せる人たちに囲まれながら、必要なだけ時間を取ってほしい」とコメントしている。「若い上に本来はシャイで、公の場に出るのが苦手で傷つきやすい選手が、一躍スポーツ界の有名人になってしまったことが、より深い問題だと思うの。それには慣れが必要。だからメディア側にも、若手選手たちに成長できる余地を与えてほしいわ」


大坂が「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン/6月28日〜7月11日/グラスコート)に参加するかはまだ明らかになっていない。WTAは試合後のメディア対応を見直すことを発表しており、「ウィンブルドン」の主催者も有意義な改善を行うためにWTAと協力していると述べている。


テニスデイリー編集部)


※写真は「全仏オープン」会場で練習する大坂なおみ
(Photo by Tim Clayton/Corbis via Getty Images)