いまは「ボロ車」でも「解体扱い」はほぼナシ! 下取り時は「リサイクル預託金」をカモられないように要注意
いまは基本的にどんなクルマでも下取りが行われる
大昔は下取り査定において、「大変申し訳ありませんが、再販価値はないので」などとセールスマンが言ってきて、5万円といった明らかな値引き支援みたいな査定額らしきものが計上されていたこともあった。それ以前には逆に解体費用を請求されたといった話も聞いている。
しかし、自動車リサイクル法が施行されてからは、下取り査定において“解体車扱い”というものはなくなり、どんなに低年式車でも、過走行や内外装、エンジンコンディションがあまり良くなくても、“再販予定車(生きクルマ)”として扱い、下取りが行われるのが大原則となっている。
自動車リサイクル法施行後は、新車購入時に当該車種のリサイクル料金を預託することになる。そして当該車両を手放すときに、たとえば新車ディーラーに再販を前提で下取りに出す時には、リサイクル預託金相当額が査定額とは別途に計上され、受け取ることができる。
これが再販を前提としない、つまり解体車としてディーラーに引き取ってもらうことになると、そのまま解体処理が行われるので、リサイクル預託金相当額を受け取ることはできなくなる。そのため、リサイクル法施行以降は、再販を前提とした下取り査定として、お客の愛車を引き取り、“リサイクル預託金相当額”という表現などで計上され、下取りに出したひとが受け取ることができるようにしているのである。
ディーラーが査定額の水増しをするケースも
ただ、ディーラーのなかにはこのリサイクル預託金相当額を下取り査定額に含め、査定額の水増しをするところも多い。とくに低年式車で査定額そのものが数万円しかつかないケースなどでは、リサイクル預託金を別途扱いにしないで合算すれば、仮に本来の査定額だけで10万円なのに、仮にリサイクル預託金が2万円とすれば、本来“下取り価格”として12万円になるところを、査定額を8万円に押さえて、預託金相当額を査定額に合算させて、査定価格自体が10万円にされていることもあるのだ(預託金は完全スルーしてしまう)。セールスマンの話をよく聞き、怪しいなと感じたら、「リサイクル預託金の扱いはどうなっているのですか?」と聞くこと。
10数年前に日本では、“エコカー補助金”というものを実施していたが、初度登録から13年超の車両が対象で、しかも永久抹消することが補助金交付の条件だったので、このような場合には、解体処理が前提となり、リサイクル預託金相当額を受け取ることはできない。
聞いた話では、いままで述べてきたように下取り車はよほどのことがない限りは再販予定車として引き取られるので、クルマの解体を請け負う業者はオークションなどで車両を“買ってきて”解体することもあると聞いたことがある。買ってきた解体車からは、販売できそうな部品などを取り外したりして解体処理されるそうだ。そのようなこともあるのか、いまどきの解体予定車はしっかり動くものも多く、しかも状態が良いことも多い。大概は一時抹消登録されているので、再登録して乗ることも可能となっている。
前述したエコカー補助金のころには、初度登録から13年超でエコカー補助金を交付してもらうための永久抹消手続きが必要な車両でも、生涯走行距離が2万km程度で内外装の状態も新車同然という車両が意外なほど多く解体されたそうで、心中複雑な思いになったと現場のセールスマンから聞いたことがある。