広島・菊池涼

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◆ 両リーグとも打率上位に二塁手の名

 開幕して約1カ月が経過。セ・パ両リーグの打率ランキングを見ると、上位に二塁手の名前が多く見受けられる。

 セ・リーグでは、開幕から打撃好調で広島のリードオフマンを務める菊池涼介選手が打率.360(111-40)でランキングの首位を走り、2位には好調阪神の2番打者を担っている糸原健斗選手が打率.354(101-34)でつけている。そして6位には、ソトの復帰後からセカンドでの出場を続けているDeNAの新人・牧秀悟が打率.307(101-31)と奮闘中だ。

 一方のパ・リーグでは、このところ好調なロッテの中村奨吾選手が打率.326(92-30)で2位に付け、少し前まで首位に立っていた楽天の浅村栄斗選手が打率.321(84-27)で5位に。こちらは3戦連続の猛打賞などで瞬く間に打率を上げたソフトバンクのグラシアルが打率.365でトップに立つが、中村、浅村共に四球が非常に多く(リーグ2位タイの23四球)、今後も安定した成績を残していくことだろう。

 4月25日終了時点において、両リーグで15人いる3割打者のうち、実に5人が二塁手だ。しかし、近年の首位打者の守備位置を振り返ると、二塁手は圧倒的に少ない。2010年代では、唯一首位打者の獲得がなかった野手のポジションが二塁手になる。

◆ 二塁手の首位打者は2003年の今岡誠が最後

 直近で首位打者を獲得した二塁手は、セ・リーグがいまから18年前となる2003年の今岡誠(阪神)で、パ・リーグは1993年の辻発彦(西武)まで28年もさかのぼる。

 捕手と遊撃手、そして二塁手は打撃面よりも守備面が重視されやすい側面はあるものの、捕手と遊撃手では2010年代に両リーグから首位打者が生まれている。

 捕手では阿部慎之助(巨人/2012年)と森友哉(西武/2019年)、遊撃手では西岡剛(ロッテ/2010年)と坂本勇人(巨人/2019年)である。負担が大きいポジションと言われている捕手からも首位打者が出ているにもかかわらず、二塁手からは長らく首位打者が誕生していない。

 少し前の時代となるが、1980年代には落合博満(ロッテ/1981年、1982年)、真弓明信(阪神/1983年)、篠塚利夫(巨人/1984年、1987年)、正田耕三(広島/1987年、1988年)と4人の二塁手が、計7度の首位打者を獲得している。

 その後、1990年代に入ると二塁手からの首位打者は減り、前述した今岡と辻、そしてローズ(横浜/1993年)の3人しかタイトルホルダーは生まれていない。

 しかし、2015年に山田哲人(ヤクルト)がセ・リーグ初の二塁手による本塁打王を獲得し、トリプルスリーを達成したあたりから、各チームで「打てる二塁手」の活躍が目立ってきた。昨年は浅村が、パ・リーグでは1995年の小久保裕紀(ダイエー)以来、25年ぶりとなる二塁手による本塁打王に輝いたことは記憶に新しい。

 まだまだ試合数は多く残されており、これから長いシーズンを戦っていかなければならない。もちろん、二塁手以外のポジションの好打者たちも、黙ってはいないだろう。そんななか、2021年シーズンは二塁手による首位打者が誕生するのか。そして、史上初となる同一年度での、両リーグにおける二塁手の首位打者誕生にも期待したいところだ。

【二塁手による首位打者】

※最多出場が二塁手の選手

<セ・リーグ>

1979年:ミヤーン(大洋)

1983年:真弓明信(阪神)

1984年:篠塚利夫(巨人)

1987年:篠塚利夫(巨人)、正田耕三(広島)

1988年:正田耕三(広島)

1999年:ローズ(横浜)

2003年:今岡誠(阪神)

<パ・リーグ>

1953年:岡本伊三美(南海)

1962年:ブルーム(近鉄)

1963年:ブルーム(近鉄)

1976年:吉岡悟(太平洋)

1981年:落合博満(ロッテ)

1982年:落合博満(ロッテ)

1993年:辻発彦(西武)