「二階さんは、自民党のガンだ」

 そう言い捨てたのは、自民党の若手議員の一人だ。メディア各社の世論調査で、内閣支持率が30%台前半まで急降下している原因は、二階俊博自民党幹事長(81)の専横にあると言いたいのか。

 他派閥幹部も不快感を隠さない。

「党の “骨格3ポスト” とされる幹事長、党紀委員長、金庫番の経理局長を、二階派が占めている。これは、いつでも他派を “強請れる” ということ。

 二階さんは “キングメーカー” を気取っているが、他派閥の支援もあったから菅さんは勝てた。不満が出るのも時間の問題なんだよ」(細田派幹部)

 権謀術数が渦巻く永田町に今、“二階おろし” の狼煙が上がり始めているという。

「2021年春にかけて、東京五輪開催の可否が判断され、新年度予算も成立します。それらが終わったら “二階おろし” が始まる。その中心となるのが、“反二階” の急先鋒として動いている『SHKトリオ』だというんです」(政治部記者)

「S」とは、世耕弘成参院幹事長(58)を指す。

「世耕さんは、次の衆院選で二階さんの選挙区である和歌山3区から、鞍替え出馬する意思を固めている。周囲には、『私には、まだ時間があるから焦らない』とうそぶくが、世耕さんは衆院に転じれば、細田派の総裁候補の目が出てくる。

 世耕さんは選挙に自信があって、二階さんが相手でも、後継と目される二階さんの三男が相手でも『勝てる』と踏んでいる。細田派からの “刺客” といったところだね」(自民党ベテラン議員)

 そして、「H」は林芳正元文科相(60)、「K」は河野太郎行革担当相(58)だ。「党内から上がる “反二階” の声の出所を探ると、“HとK” の周辺に行きつく」(全国紙政治部デスク)という。

 2012年に総裁選に出馬した林氏と、新聞の世論調査で “次期首相にふさわしい政治家1位” になった河野氏は、いま政界で一挙手一投足が注目される存在だ。

「林氏は2021年、『次期衆院選で山口3区へ鞍替えする』と宣言しましたが、同区は二階派の河村建夫元官房長官の地元で、二階氏は林氏に激怒した。二階氏は、『売られた喧嘩は買う』と集会で啖呵を切ったが、林氏も折れる気はなく、無所属でも出馬するつもりです。

 河野氏が “ワクチン担当” をまかされた件も、二階氏は『誰でもやれるのに』と、起用に不快感を露わにした。官邸からの根回しがなかったそうなんですが、このところ菅首相と二階氏のあいだには、隙間風が吹いている。

 河野氏は次期総裁選で菅氏の後ろ盾が欲しいから、菅首相に恩を売っておきたいわけで、親しい議員たちが “反二階” で呼応しているというわけです」(同前)

 動き始めた「二階おろし」は、「SHKトリオ」がこうして外堀を埋め、重鎮たちが二階氏へ “最後通牒” を突きつけるというシナリオだ。

「二階さんを幹事長から外さずとも、実質的な力を削ぐ必要がある。麻生さん、各派閥領袖、二階派最重鎮の伊吹(文明・元衆院議長)さんがまとまって、『もう、政府の言うことに口を出さないで』と二階さんに “忠告” する。

 菅総理も無派閥だし、二階派よりも、数が多いほうに与するだろう。政権運営を安定させて、総選挙に臨みたいからね」(自民党幹部)

 1月20日、衆院本会議での代表質問を終えた二階氏は、マスクを顎にかけたまま、目を閉じて頭を上下していた。幹事長、「二階おろし」が始まってますよ――。“裸のキングメーカー” に、その声は届きそうもない。

(週刊FLASH 2021年2月16日号)