映画『私をくいとめて』より
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 19日に行われたのん&林遣都共演の映画『私をくいとめて』公開記念舞台挨拶で、シークレットキャストが中村倫也だったことが発表された。中村は、のん演じる主人公の脳内の相談役「A」の声を担当しているが、起用の理由を大九明子監督が明かした。

 本作は、大九監督が2017年公開のヒット作『勝手にふるえてろ』に続いて芥川賞作家・綿矢りさの小説を映画化。のん演じる、脳内の相談役「A」からアドバイスを得ながら生活する31歳の独身女性・黒田みつ子(のん)が、久々に訪れた恋に右往左往するさまが描かれる。

 みつ子は困ったことがあれば「A」に相談するのが常。年下の多田くん(林)に惹かれながらも「誘って嫌われたらどうしよう」「勘違いだったらどうしよう」などと臆病になり、ことあるごとに「A」を頼っては慰められるの繰り返し。パニックに陥れば「今のあなたは自分を見失っています」と落ち着かせてくれる。特報が公開された際には、「A」の声が中村ではないかと予想する声が多く挙がっていた。なお、中村は2015年のメ〜テレドラマ「想ひそめし〜恋歌百人一首〜」や、2019年公開の映画『美人が婚活してみたら』で大九監督と組んでいる。

 「A」を務めるキャストに求められるのは「優しく、落ち着いた声」の持ち主であること。大九監督は中村にオファーした経緯を以下のように話す。「A役はものすごく悩んで、初めは声優さんにお願いすることも考えたのですがプロデューサーから中村くんを推薦されて。彼は『アラジン』の吹替えも担当していたので、そうだあの天才がいたと。中村くん忙しいけどやってくれるかなあと気を揉みつつ、何としてもお願いしたいと」

 中村の「A」の声は、のんもスタジオに赴いて収録。後日、収録した「A」の声を録音部が撮影現場で流し、みつ子と「A」の対話シーンが撮影された。「撮影の前に二人に揃ってもらい、お芝居の演出もしながら会話劇を録音しました。のんさんも普通の会話のお芝居としてやってくれていましたし、撮るときもAの演出というよりは2人のシーンの演出として作っていきました。“みつ子にこう言われたら、Aはこういうリアクションをするんじゃないか”といった具合に、2人に演出をつけながら声を録っていった感じです」

 「A」の声を堪能できるのは、まさに映画ならではの醍醐味。癒やしのボイスを持つ中村は、来年1月8日公開の『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』ではナレーションを担当。個性豊かな猫たちに話しかけながら、写真家・岩合が見つめるネコと人間の営みへの案内役を担う。(編集部・石井百合子)