“世界のTK”高阪剛はハント相手に真正面から闘いを挑んだ

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PRIDE無差別級グランプリ2006一回戦、高阪剛(日本/チーム・アライアンス)vs マーク・ハント(ニュージーランド/オシアナスーパーファイタージム)。

 本GPをもって引退を表明した高阪。元K-1王者のマーク・ハントを相手に一歩も引かないファイトで死力を尽くすも、ハントの豪腕の前にKO負け。格闘技至上に残る壮絶な幕引きとなった。一方のハントはPRIDEでの連勝を「5」に伸ばしGP2回戦へ進出。

 1R、序盤から“命を懸け”ハントと正面から殴り合う高阪。しかし、ハントもこん身の右ストレートを高阪に打ち込み観衆の度肝を抜く。1R中盤にはガードポジションから巧みにハントのバックに回った高阪が、スリーパーを狙う場面もあったが、これを凌いだハントが執拗にパンチを打ち続け、高阪の顔面を血で染めていった。高阪は何度となくKO寸前でフラフラになりながらも、怯むことなくパンチの打ち合いを挑む。高阪の意地と覚悟が徐々にハントを後退させ、場内からは“高阪コール”が沸き起こるも、終盤には再びハントがガードポジションからパウンドを落とし、高阪劣勢で1R終了のゴング。既に起き上がれない高阪をセコンドが強引にコーナーへと引っ張っていく。

 2Rに入っても、ハントを相手に正面から攻撃を仕掛ける高阪。中盤には意地で3連続タックルを試みる。それでもハントの牙城を崩すことはできず、逆にハントのパンチが襲い掛かる。高阪の意識が明らかに朦朧としたため、レフェリーが割って入り試合をストップ。ハントのKO勝ちとなった。

試合後のハントは「厳しい試合だった。2、3回、仕留めたと思ったが攻撃があったが、倒せなかった。非常にタフな試合だった」と振り返った。一方の高阪は、この大会を最後に引退を明言しており、13年間の格闘人生に幕を降ろした。試合後の会見では、悔しくないか?との問いに「そりゃ悔しい。負けて悔しくないやつはいない。でも、自分は試合うんぬんじゃなくて勝負がしたかった。勝負はできたと思う」と清々しい表情で話した。会見の最後には、報道陣に対してもリング上と同じように頭を下げ、惜しみない拍手が沸き起こっていた。

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