岐阜県の美濃太田駅から北濃駅まで片道2時間ほどの距離を走る長良川鉄道。

このローカル鉄道の駅で、昭和と令和が共存しているとツイッターで話題になっている。

これは2020年9月30日、ツイッターユーザーの海垣 (@ride626)さんの投稿。

木造の駅舎のイメージが浮かんでくるような白い壁に貼られたポスターに、レトロなフォントで書かれているのは、

「無人駅からご乗車及び
運賃をPayPay(QRコード決済)でお支払いされるお客様
乗車時には必ず整理券をお取りください」

という案内だ。

昔ながらの駅の掲示が、コードを読み取ればその場で支払いができるという非常にイマドキな決済方法についてとは、ギャップがすごい。

その下には、

「長良川鉄道のワンマン運賃がPayPayで支払えます」

というポスターもある。

長良川鉄道では、19年7月1日からPayPayでの支払いを導入したようだ。


ギャップがすごい(画像は海垣 @ride626さん提供、編集部で一部トリミング加工)

この投稿に、ツイッターでは

「長良川鉄道がPayPay使えるなんて最先端やわ」
「時代に付いていけてる岐阜県すげえな?」
「やっば!(笑) 大手私鉄より、何倍も進んでるじゃないですか!」
「レトロなフォントにPayPay(QRコード決済)はエモすぎる」
「この字体でPayPayとかQRコード決済って書かれると、昭和からあったかな???って思っちゃう」
「うおお、この昭和と令和の絶妙なコラボがたまらない」

と、PayPayで運賃の支払いが出来るのを驚く声やポスターと内容のギャップを面白いという声が寄せられている。

「PayPay決済は気軽」

Jタウンネットは10月1日、投稿者の海垣さんを取材し、詳しい話を聞いた。

この掲示を撮影したのは、9月30日、長良川鉄道の加茂野駅。

海垣さんはその日、実際にPayPayを利用して、長良川鉄道に乗車したという。

そのときの感想を聞いてみると、

「当日は一部の駅を巡ることが目的でしたので、その都度支払っていましたが、3通り(駅で乗車券を購入or車内で現金支払or車内でPayPay支払)試した結果、PayPay決済が気軽だなと感じました。下車時に財布を出して現金を丁度揃えて(場合によっては両替)出す手間が省けることが大きなメリットだと考えます。
ただ、長良川鉄道様では一部駅にて現代では珍しい硬券(昔ながらの厚紙のきっぷ)を現役で使用しているなど、レトロさが残る点もウリであると思われます。
新旧共存、乗りに来た方が好きな方法を選べるのが選択の自由があって素敵だなと感じました」

とのこと。

海垣さんによれば、支払い方法はポスターの通り。

車内にQRコードシールが掲示されており、それを読み取ったのちに、金額入力して運転士に決済画面を提示するそうだ。

それにしてもローカル鉄道でのPayPayの利用について、現場では実際、どのような反響があったのだろうか。

Jタウンネットは長良川鉄道も取材をし、10月16日に同社運輸部の担当者から回答を得た。

鉄道会社では国内初めての導入となるPayPayでの運賃支払い。

その経緯は、

「沿線の観光協会から紹介を受けて」

とのこと。

19年7月1日からどのくらい利用されているのか聞いてみると、

「金額は約300万円、人数は約5800人です」

と、担当者。その反響については

「主に利用者は定期的に利用してない人ばかりで大きな反響はありませんでしたが、逆に都市部から仕事で来ている人は使うんだなと思いました」

とした。

利用を開始してから1年と少し経ち、PayPayでの運賃支払いで何か課題などはあるのだろうか。

担当者は、

「決済画面をスクリーンショットで使い回しをする学生、多客時はなかなかしっかり確認できない、字が小さくて年配には見えづらい」

といった点を挙げた。

確かに、スマホの画面だと見えづらく、多客時や高齢者には厳しいこともあるかもしれない。

また、今回ツイッターで話題となったことに対しては

「Twitterで話題になったとは言え実際に現場では話題になった実感がないです」

と話していた。