駅前のATMコーナーがパン屋になっていた――

とあるユーザーのそんな投稿がツイッターで話題となっている。


この見た目は...?(画像は高匠提供)

そのパン屋とは2020年10月2日に神奈川県横浜市にオープンした「食パン専門 高匠」あざみ野店(「高」ははしごだか)。

建物は、四角くて頑丈そうなフォルム......。確かに駅前などで見かける銀行のATMコーナー(無人出張所)にそっくりだ。

Googleストリートビューでこの店がある場所を探すと、2019年4月時点の風景を見ることができた。そこには、確かに銀行のATMコーナーが映っていた。

それが、今は食パン専門店に。何とも珍しいお店である。

投稿者が撮影した写真に対して、ツイッターでは

ATMを居抜きでパン屋に出来ると考えた奴、実行した奴 天才だな!」
「発想が凄いなwww」
「かっこいいし斬新で頑丈そう」
「セキュリティ凄いだろうな。強盗来てもなんとかできそうだ」

といった反応が寄せられている。

なぜATMコーナーがパン屋に?

この食パン屋は、どうして元ATMコーナーの建物を活用したのだろうか。やはりセキュリティの問題なのか......?

Jタウンネットは12日、食パン専門店「高匠」を運営するBAOBAB(大阪市)を取材し、代表取締役の藤枝潤さんに話を聞いた。

高匠は、関西・関東・北陸エリアを中心に展開している食パンの専門店。

藤枝社長によれば、以前にも、駅の売店の跡地を店舗にしたことはあったが、ATMコーナーを店舗に改装したのは今回のあざみ野店が初めてだそう。

藤枝社長は、

「今まで、商業施設や駅構内への出店が多かったのですが、コロナ禍によるテレワークの普及の影響もあり、在宅されている方が増加しているので、ベッドタウンに目を向けて調査をしました。しかし、なかなか希望する物件がありませんでした。
そこで再度、駅周辺に絞って立地調査を行った際、キャッシュレス時代のため閉店したATMが目に止まりました。
(高匠は、)駅構内店舗の実績もあるのでATM跡地でも運営できると考え出店しました」

と話す。あざみ野店では製造は行わず、工場で作った食パンを販売している。

そのことが、元ATMコーナーといった狭い場所での営業を可能にしているそうだ。


中はこんな感じになっている(画像は高匠提供)

藤枝社長は今後の展望について、

「キャッシュレス時代でATMが閉店していく中、跡地の有効活用に注目が集まっています。
弊社は小スペースでも出店可能なモデルなので、ATM跡地にも積極的に出店したいと思っております」

としていた。