北海道の真ん中あたりに位置する東川町に、1年でたった1か月しか開通しない「幻の道路」があるのを、みなさんはご存知だろうか。


1か月だけ開通(画像はかえるCash@KEROKERO_BCHさん提供)

場所は道道1116号のチョボチナイゲート〜東川北7線ゲート間で、距離は12.4キロ。山間部にかかる橋のような道路となっており、開放感あふれるロケーションだ。

ツイッターではこの道路をバイクで走ったという、ユーザーのかえるCash(@KEROKERO_BCH)さんの投稿が話題になっている。

かえるさんの投稿した写真には、道路の開通期間を記載した看板が映っており、2020年9月8日11時から10月8日11時までとなっている。1か月だけ開通、というのは本当のようだ。

かえるさんの投稿に対し、ほかのユーザーからは、

「地元民なのに知らなかった・・・」
「ワクワク感しか感じません。夜は...超怖そうですが」
「1年でおよそ1ヶ月しか通れないのに、こんなに立派な道があるのか。。。」

といった声があがっている。また実際にこの道路を訪れたというユーザーからは「結構バイクも来てた」との情報も寄せられていた。ライダーたちが走行を楽しんでいるようだ。

「地すべり」の危険性で...

しかし、なぜこの区間は1か月だけ開通されるのだろうか。

Jタウンネットは9月28日、北海道上川総合振興局の旭川建設管理部・地域調整課の担当者を取材した。


チョボチナイゲートの看板(画像はかえるCash@KEROKERO_BCHさん提供)

担当者によれば、チョボチナイゲート〜東川北7線ゲート間は2012年9月に供用開始。一般的に交通量が少ない道路は冬の間、除雪を行わず、「冬季通行止め」にしていることから、この区間もそうする予定だった。

そのため開通して約1か月後、この区間は通行止めに。雪解けを待ち、翌13年5月には開通にむけてパトロールを行ったという。

しかし、そこで路面の一部に異常を確認。「地すべりの恐れがある」と判断し、通行止めの状態を継続した。

その後は原因の調査を続け、地下水の観測機器などを設置。担当者によると、地すべりの動きは地下水の水量によって変わってくるという。17年9月に観測したところ、水位が落ち着いていたため、同区間は再び開通した。

その後は10月ごろから冬季通行止め、そして翌年9月ごろに開通するというサイクルを繰り返している。

担当者は開通が9月になる理由について、

「地下水の水量が下がると、地すべりの動きは落ち着くと考えています。山の雪の量が多いと、雪が解けてしばらく経ってから落ち着くということもあり、この地区は9月くらいまでかかってしまいます」

と説明。通行止めの間は、迂回路を使ってそれぞれのゲートがある集落を行き来できる。


赤線が「幻の道路」と呼ばれるルート(C)Google、編集部で一部加工

担当者によれば、現在地下水の水位は落ち着いてきており、今年は一部において地すべりの対策を施工する予定。ただ、すぐに全面開通につながるわけではないという。

この区間が「幻の道路」としてツイッターで話題になっていることについて、担当者は、

「開通期間が限定されているのは安全確保のためにはやむなし、といったところです。本来であれば、通年通れなければいけないと思うので申し訳ないと思います」

としている。