感染拡大防止を学べるボードゲーム。小学生の自宅学習にも
アメリカ・シアトルに住んで十数年。子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、現地で話題のフードやライフスタイルを紹介してもらいます。今回は、コロナ禍や梅雨でおこもり中の親子にぴったりの、アメリカで話題のゲームについてです。
パンデミックの仕組みがわかるゲーム
●こんなときこそ「パンデミック」を親子で学ぶ機会に
新型コロナウイルス感染防止のための自宅待機命令が5月いっぱいで解除され、段階的に緩和措置が取られているシアトル。公立校も閉鎖となり、そのまま6月中旬から夏休みです。
おうちにこもる小さな子どもたちは、病気にかからないようにきちんと手洗いすることはわかっても、どうしてこんな事態になっているのか、よく理解できていないかもしれません。
でも、それは大人も同じ。「パンデミック」になるとどうなるのか、終息させるにはなにをどうしたら良いのか、なかなかうまく説明できないものです。
そこで試しにプレイしてみたのがアメリカで今話題となっているボードゲーム、その名も「パンデミック」!
よくある対戦型ではなく、ウイルス対策の専門チームとなる2〜4人のプレイヤーが協力しながら、世界的なパンデミックを終息させるためにあれこれ手をつくしていくチームプレイ型のゲーム仕様です。無事、パンデミックを終息させられたらゲームクリアとなります。
子どもも大人もゲームで遊びながら、感染症がどのように拡大していくのかが目に見えてわかり、どんな専門家がウイルス対策の最前線に立っているのか、感染拡大を食い止めるために必要なことはなにかが学べます。また、プレイヤーは世界各地を移動するので、世界地理の知識も身につきます。
8歳以上が対象ということで、ちょうど社会や理科の学習が始まる小学3年生から遊べるのがうれしいですね。
●「パンデミック」ゲームの遊び方
プレイヤーはまず、パンデミック阻止に動く専門家の職業を各自選びます。科学者、研究員、衛生兵、通信司令官、ジェネラリスト(バージョンによって異なる)があり、それぞれ役割に応じたアクションが可能で、米国アトランタにあるアメリカ疾病予防管理センター(CDC)から出発し、世界各都市にコマを進めていきます。
赤、青、黒、黄色のブロックは4種類の病原体を表し、色と都市名が入った感染カードをめくっては、世界中の各都市に病原体のブロックを置いていきます。1都市で同じ色のブロックが4個以上になったら「アウトブレイク」となり、船や飛行機で直行できる別の都市にも病原体が拡散。プレイヤーはターンごとに世界各地を移動して病原体を1個1個取り除き、拡散のスピードを抑えなければなりません。
また、プレイヤーは同時にプレイヤーカードをめくって、同じ色のカードをできるだけ早く一定数そろえ、それぞれの病原体のワクチンを発見できるよう協力し合うことも必要です。プレイヤー同士が近くの都市や研究所で落ち合うなどしてプレイヤーカードを交換し合い、4種類の病原体すべてのワクチンをプレイヤーカードがなくなるまでに開発できたら人類の勝ち。ワクチンが間に合わなければ、拡散が止められずにゲームオーバーです。
●わが家でやってみた結果は?
ゲームで遊びながら、パンデミックが終息するには迅速なワクチン開発がカギで、同時に病原体の拡散を抑える働きかけを行っていくことがとても大切だとわかります。そして、世界各地で専門家が協力し合って対策を取っていかなければ、それは到底実現できないという現実を突きつけられます。
わが家でやってみたところ、最初はあっけなくゲームオーバー。次々と世界各地で拡散していく未知の病原体から人類を救うことができず、ゲームとはいえ無力感に襲われました。
限られた手数で何を最優先に行動すべきか、作戦を練ることが重要です。あれもこれもと、細かいところでもたもたしていたら時間ばかりかかってしまい、次第に加速する感染拡大のスピードに追いつけません。
そして2回目。クラスター潰しは、軍隊における治療の専門家「衛生兵」のプレイヤーを派遣し、まかせることにしました。1回のアクションで一気に感染を取り除けるパワーがあります。
残りのプレイヤーが世界各地を移動し、感染を1個1個取り除いてサポートする体制に変えたところ、最終ターンで4種すべてのワクチン開発に成功。
アフリカ諸国と南米でアウトブレイクの連鎖が起き、どうなることかと思いましたが、ギリギリでワクチンが完成し、ゲームクリアとなりました。1人で2種のワクチンを発見できた息子のお手柄です。
8歳の息子は「このゲームはクリアするのがすごく難しいね」と言いながら、新型コロナウイルス感染がどのように世界に広がっていき、食い止めるのがいかに大変か、身をもって感じられたようです。
ゲームでも攻略が困難なのに、現実の世界で新型コロナ対策の前線に立つ専門家チームの方々の苦労はいかほどかと、ますます感謝の気持ちがこみ上げます。
このような感じで遊べる初心者モードのほか、難易度を上げて、ストーリーモードでもプレイできます。わが家では「レガシー」という、遊び方によって違うストーリーが展開するバージョンを購入しており、「シーズン1」に続き、「シーズン2」も発売中。ほかにもいろんなバージョンがあるようです。
ボードゲーム以外に、テレビゲーム版やアプリ版も出ています。日本語でもそろっていますので、おうち時間に、家族みんなで知育ゲームとして楽しんでみてはいかがでしょうか?
【Norikoさん】
アメリカ・シアトル在住で現地の日系タウン誌編集長。フリーランス・エディター/ライターとしても、日米のメディアに旅行情報からライフスタイル、子育て事情まで多数の記事を寄稿する。著書に『アメリカ西海岸ママ〜日本とは少し違うかもしれない、はじめての妊娠&出産〜
』(海外書き人クラブ刊)、共著書に『ビックリ!! 世界の小学生
』(角川つばさ文庫)。
パンデミックの仕組みがわかるゲーム
アメリカで話題のボードゲーム「パンデミック」を実際にプレイしてみた
●こんなときこそ「パンデミック」を親子で学ぶ機会に
おうちにこもる小さな子どもたちは、病気にかからないようにきちんと手洗いすることはわかっても、どうしてこんな事態になっているのか、よく理解できていないかもしれません。
でも、それは大人も同じ。「パンデミック」になるとどうなるのか、終息させるにはなにをどうしたら良いのか、なかなかうまく説明できないものです。
そこで試しにプレイしてみたのがアメリカで今話題となっているボードゲーム、その名も「パンデミック」!
よくある対戦型ではなく、ウイルス対策の専門チームとなる2〜4人のプレイヤーが協力しながら、世界的なパンデミックを終息させるためにあれこれ手をつくしていくチームプレイ型のゲーム仕様です。無事、パンデミックを終息させられたらゲームクリアとなります。
子どもも大人もゲームで遊びながら、感染症がどのように拡大していくのかが目に見えてわかり、どんな専門家がウイルス対策の最前線に立っているのか、感染拡大を食い止めるために必要なことはなにかが学べます。また、プレイヤーは世界各地を移動するので、世界地理の知識も身につきます。
8歳以上が対象ということで、ちょうど社会や理科の学習が始まる小学3年生から遊べるのがうれしいですね。
●「パンデミック」ゲームの遊び方
プレイヤーはまず、パンデミック阻止に動く専門家の職業を各自選びます。科学者、研究員、衛生兵、通信司令官、ジェネラリスト(バージョンによって異なる)があり、それぞれ役割に応じたアクションが可能で、米国アトランタにあるアメリカ疾病予防管理センター(CDC)から出発し、世界各都市にコマを進めていきます。
赤、青、黒、黄色のブロックは4種類の病原体を表し、色と都市名が入った感染カードをめくっては、世界中の各都市に病原体のブロックを置いていきます。1都市で同じ色のブロックが4個以上になったら「アウトブレイク」となり、船や飛行機で直行できる別の都市にも病原体が拡散。プレイヤーはターンごとに世界各地を移動して病原体を1個1個取り除き、拡散のスピードを抑えなければなりません。
また、プレイヤーは同時にプレイヤーカードをめくって、同じ色のカードをできるだけ早く一定数そろえ、それぞれの病原体のワクチンを発見できるよう協力し合うことも必要です。プレイヤー同士が近くの都市や研究所で落ち合うなどしてプレイヤーカードを交換し合い、4種類の病原体すべてのワクチンをプレイヤーカードがなくなるまでに開発できたら人類の勝ち。ワクチンが間に合わなければ、拡散が止められずにゲームオーバーです。
●わが家でやってみた結果は?
ゲームで遊びながら、パンデミックが終息するには迅速なワクチン開発がカギで、同時に病原体の拡散を抑える働きかけを行っていくことがとても大切だとわかります。そして、世界各地で専門家が協力し合って対策を取っていかなければ、それは到底実現できないという現実を突きつけられます。
わが家でやってみたところ、最初はあっけなくゲームオーバー。次々と世界各地で拡散していく未知の病原体から人類を救うことができず、ゲームとはいえ無力感に襲われました。
限られた手数で何を最優先に行動すべきか、作戦を練ることが重要です。あれもこれもと、細かいところでもたもたしていたら時間ばかりかかってしまい、次第に加速する感染拡大のスピードに追いつけません。
そして2回目。クラスター潰しは、軍隊における治療の専門家「衛生兵」のプレイヤーを派遣し、まかせることにしました。1回のアクションで一気に感染を取り除けるパワーがあります。
残りのプレイヤーが世界各地を移動し、感染を1個1個取り除いてサポートする体制に変えたところ、最終ターンで4種すべてのワクチン開発に成功。
アフリカ諸国と南米でアウトブレイクの連鎖が起き、どうなることかと思いましたが、ギリギリでワクチンが完成し、ゲームクリアとなりました。1人で2種のワクチンを発見できた息子のお手柄です。
8歳の息子は「このゲームはクリアするのがすごく難しいね」と言いながら、新型コロナウイルス感染がどのように世界に広がっていき、食い止めるのがいかに大変か、身をもって感じられたようです。
ゲームでも攻略が困難なのに、現実の世界で新型コロナ対策の前線に立つ専門家チームの方々の苦労はいかほどかと、ますます感謝の気持ちがこみ上げます。
このような感じで遊べる初心者モードのほか、難易度を上げて、ストーリーモードでもプレイできます。わが家では「レガシー」という、遊び方によって違うストーリーが展開するバージョンを購入しており、「シーズン1」に続き、「シーズン2」も発売中。ほかにもいろんなバージョンがあるようです。
ボードゲーム以外に、テレビゲーム版やアプリ版も出ています。日本語でもそろっていますので、おうち時間に、家族みんなで知育ゲームとして楽しんでみてはいかがでしょうか?
【Norikoさん】
アメリカ・シアトル在住で現地の日系タウン誌編集長。フリーランス・エディター/ライターとしても、日米のメディアに旅行情報からライフスタイル、子育て事情まで多数の記事を寄稿する。著書に『アメリカ西海岸ママ〜日本とは少し違うかもしれない、はじめての妊娠&出産〜
』(海外書き人クラブ刊)、共著書に『ビックリ!! 世界の小学生
』(角川つばさ文庫)。