東海道・山陽新幹線の最新型車両「N700S」。その量産車には、すでに引退した700系電車の車体が再利用されています。もちろんそのままではなく、形を変え、乗客にとって身近な場所に現れました。

アルミで作られた700系 それを再利用してN700Sに

 JR東海がまもなく、2020年7月1日(水)にデビューさせる予定の新型新幹線「N700S」。その量産車には、2020年3月までに東海道新幹線での運転を終了した700系電車の車体が、再利用されました。

 それは、乗客のとても身近なところに使われます。

 アルミニウム合金で造られている700系電車の車体(車両構体)をアルミくずにし、それを再利用して成形。N700S量産車の普通車客室上部にある荷棚へ、生まれ変わりました。


左が形状から「カモノハシ」とも呼ばれた700系、右がN700S量産車(恵 知仁撮影)。

 環境負荷の低減などを目的に行われたもので、この「新幹線から新幹線へ」のアルミリサイクル(アルミ水平リサイクル)は、高速鉄道として世界初とのこと。

 新幹線の廃車体に由来するアルミくずには、さまざまな種類のアルミが混ざっており、ふたたび新幹線用として使うには課題がありました。しかし、そこで適切なアルミの選別が可能になったことから、実現したとのこと。なおN700系の廃材も、同様にN700S量産車で再利用されています。

 新型新幹線「N700S」は、全席にあるコンセント、座面が動く乗り心地が向上したシート、防犯カメラの増設などで向上した車内セキュリティ、停電時も安全な場所まで自走できるだけのバッテリー搭載、柔軟に編成を組める「標準車両」であることなどが特徴です。