アメリカのミレニアル世代およびZ世代向けパブリッシャーであるコンプレックス・ネットワークス(Complex Networks)は2019年6月、はじめてTikTok(ティックトック)アカウントをつくった。それから8カ月。アカウントは8つに増え、390万のフォロワーを獲得し、再生回数は1兆回に到達している。そのコンプレックスがいま、TikTok向けのスポンサーシップ商品を売り出しはじめた。

コンプレックス・トックオーバー(Complex Tokover)と呼ばれるこのスポンサーシップ商品には、クリエイターによるブランドへの言及や広告主の記載、希望するテーマの動画コンテンツやチャレンジが含まれる。定額制の導入が目標だが、現時点では、再生回数の予想に基づいて料金を決定している。マーケティング担当エグゼクティブバイスプレジデントのジョナサン・ハント氏によれば、コンプレックスのチャンネルは1日当たり100万〜500万回再生されているため、ブランドはトックオーバーを購入する日の予想平均再生回数に基づいて料金を請求されるという。

トックオーバーを購入した広告主は、コンプレックスがその日TikTokに投稿した動画すべてで、100%のシェア・オブ・ボイス(SOV)を約束される。トックオーバーの販売は、まだはじまっていないとハント氏は述べ、現時点での価格帯を明かさなかった。カスタムコンテンツの追加も可能だが、追加料金が発生する。

メインチャンネルは「@Complex」。本記事の公開時、フォロワー数は260万人で、1000以上の動画が投稿されていた(※原文記事の公開は3月20日)。メインチャンネルと2番目に大きい「@FirstWeFeast」(フォロワー数100万人、動画投稿数400以上)を合わせると、再生回数は1兆回を超える。

デジタル動画会社バター・ワークス(Butter Works)のCEOポール・グリーンバーグ氏によれば、トックオーバーのモデルは、うまくいくかどうかわからないひとつの動画に依存するものではないという。ブランドは1日分のコンテンツを購入できるため、少なくともひとつの動画が話題になる可能性は高まる。しかも、TikTokでは、ブランデッドコンテンツは「ブランドにとって大きなチャンスだ」とグリーンバーグ氏は話す。「15秒間の動画の前にプレロールを見たがる人などいない」ためだ。

コンプレックスのTikTok戦略

コンプレックスのソーシャルメディア部門シニアディレクターを務めるアマン・シン・ワリア氏は、TikTokのインベントリー(在庫)を販売する段階に達した理由として、現在のTikTok戦略では、ハッシュタグの使用が大きな役割を果たしていると説明する。TikTokがよく使われるハッシュタグを売り込み、「おすすめページ」で取り上げられやすくしているためだ。

シン・ワリア氏によれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が原因で、人々が自宅にこもり、インターネットに向かっているため、コンプレックスは#washyourhands(#手洗いしよう)など、感染症に関連したハッシュタグの使用を優先しているという。3月の1週間だけで、コンプレックスの1日のフォロワー数は300%増加し、メインチャンネルは1日当たりの再生回数が4〜5倍になった。この成長を継続するため、コンテンツが新型コロナウイルスに関連している限り、関連するハッシュタグを使うつもりだと、シン・ワリア氏は話している。

シン・ワリア氏によれば、コンプレックスにとって最適な投稿スケジュールは、メインチャンネルで1日3〜6本だという。ナウディス(NowThis)のTikTok戦略と同様、ほとんどのコンテンツはサードパーティによるキュレーションだが、TikTok向けのオリジナルコンテンツやコンプレックスの知的財産を再利用したものもある。

「取捨選択するのではない」

シン・ワリア氏はコンテンツクリエイターによるキュレーションについて、まだ話題になっていないものの、適切な音楽や音声、テキストやハッシュタグを付ければ、話題になる可能性がある動画を見つけようとしていると話す。

「延々と流れるTikTokのコンテンツを取捨選択するのではない。コンプレックスはTikTokのコンテンツをキュレートした空間」であり、オーディエンスも気に入ってくれるだろうと、ハント氏は述べている。

Kayleigh Barber(原文 / 訳:ガリレオ)