ランチミーティング、商品プレゼントといった営業の定番が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による隔離への適応を迫られている。ケータリングを利用して企業のミーティングルームに集まる代わりに、ズーモー(Xumo)のようなストリーミングサービスやイノビッド(Innovid)のようなアドテク企業はウーバーイーツ(Uber Eats)で配達される料理とともに、Zoom(ズーム)で製品デモを行っている。そして、ソウルサイクル(SoulCycle)のクラスの代わりに、テレビネットワークはエージェンシー幹部に瞑想アプリのサブスクリプションをプレゼントしている。

新型コロナウイルスのパンデミックへの対応を理由に、多くの広告主がキャンペーンを中止または中断していることを考えると、このような見え透いた売り込みは不要なものに思えるかもしれない。しかし、「関係のビジネス」を自称する業界で、営業の受け手にあたるエージェンシーの幹部たちは、やるべき仕事が少ないいま、このような売り込みが関係管理に役立っていると口をそろえる。ただし、扱いを誤らなければの話だ。

あるエージェンシー幹部は「皆がウェビナーをやりたがっている。チャンスを狙っているのは明白で、あからさまな営業に感じられる」と感想を述べている。「何より姿勢が重要だ」。

かつてない関係管理の努力

この企業幹部は、企業ごとにアプローチが異なる一例として、フードデリバリー用のギフトカードを送ってきた2社のアドテク企業を引き合いに出した。ひとつ目のケースでは、営業担当者から唐突にギフトカードが送られてきた。おそらく手当たり次第に送ったと思われる。もうひとつのケースでは、ギフトカードに加え、営業担当者から電子メールが送られてきた。隔離中にストリーミングすべき番組についてアイデアがほしいという内容だった。「『クーポンを送ります』と『どうすれば私はあなたと関係を築くことができますか?』には違いがある」。

営業担当者たちの名誉のために言っておくと、あからさまに取引的な営業は鳴りを潜め、営業担当者たちは人間関係を重視しはじめていると、複数のエージェンシー幹部が報告している。

別のエージェンシー幹部は「広告主やエージェンシーのもとに(テレビ)ネットワークが戻ってきて、『何かお手伝いできることはありますか?』と言いはじめている」と話す。このエージェンシー幹部は30年以上前から業界に在籍し、経済の悪化を何度も乗り越えているが、今回のような関係管理の努力は「これまでにないものだ。私は見たことがない」と述べている。

「もはやセールストークではない」

エージェンシー幹部たちは、通常であればギフトと見なされるものをケアパッケージとして受け取っている。バーチャルランチミーティングへの参加と引き換えに、フードデリバリーアプリで使用できるギフトカードなどが送られてくるケースもあるが、このような条件が付かないケースもある。たとえば、イノビッドはストリーミング動画広告のバイヤーに、Amazonのプライム・ビデオ(Prime Video)のギフトカード7ドル分を送った。

エージェンシー幹部たちによれば、クリエイティブサービスの補助や数独の戦略アドバイスなど、ギフトの枠を超えた支援が提供される場合もあるという。メディアキッチン(Media Kitchen)のアソシエイトメディアディレクター、クレア・バーグマン氏は「もはやセールストークではない」と話す。

広告セラーがエージェンシーや広告主に、不確実な状況でのかじ取りに役立ちそうなデータがあれば提供すると言い、さりげなく広告費を誘導するケースもある。しかし多くの場合、人々がどのように対処しているかを確認し、隔離中の暇つぶしになるパズルやほかの何かを共有しようとしているだけだ。「気分を一新してくれる」と、バーグマン氏は語った。

Tim Peterson(原文 / 訳:ガリレオ)