デビッド・ドブリック氏(23歳)は、チャンネル登録者1590万人を誇るアメリカの人気ユーチューバーだ。

ドブリック氏は、チケット販売会社シートギーク(SeatGeek)に自身の動画の「登場人物」になるよう持ちかけ、同社とインフルエンサーとの関わり方に変化をもたらした。以来、同氏はそのコンテンツを利用して、エレクトロニック・アーツ(EA)などの他ブランドにも同様の手法をとらせている。

そんなドブリック氏に、YouTube以外への進出と、再びイタズラで結婚する予定はあるのかを聞いた。インタビューの内容は読みやすさを考慮し、多少編集を加えてある。

――あなたはブランド、特にシートギークに対して独自の姿勢をもっている。彼らが自分にさせたいことをするのでなく、自分がしたいことをさせるよう、何と言って説得したのか。

自分が(シートギークと)何かやるときは、必ずプロモーションの最後に誰かが何かを手に入れるか、もらうかするようなやり方にしたいと説明した。ブランドとの契約にオーディエンスを付き合わせるなら、そこで単なる時間の無駄ではなく、何かポジティブなことが起きるようにしたい。いまではシートギークのプロモーション動画を見ると、オーディエンスは「また広告か、時間の無駄だ」ではなく、「おお、何か楽しいことが起きるぞ」となる。たった1本の動画でそんなふうに変わった。

――それをほかの広告主への売り込みにも使っているのか。

もちろん。ブランドと何かやるときは、いつもシートギークを例に出す。自分のメインチャンネルでは、動画と無関係の広告は絶対にやらないことにしている。

――あなたの動画の「登場人物」になることが、どのようにブランドの利益になるのか。

人は必ずしも「チケットを売ってくれるからシートギークが好きだ」というわけではなく、クリエイターを支援してくれるからシートギークに好感を持つ。彼らが自分たちの好きなクリエイターを支援してくれるなら、自分たちも彼らをサポートしたい、となる。

――動画ではたくさんの自動車を人にプレゼントしている。

人に自動車をプレゼントするときは毎回、「これ僕のお古だけど。このクルマの人ってイメージをつけたくないんでね」という感じだ。それに、誰かが自動車を必要としていたり、あると助かるというタイミングで、いつも新しい話が持ち上がる。最近では、ほかにもいろいろなことをしている。(大学の)学費を必要としている人にお金を支援するアイデアにもかなり関心をもっている。動画のなかで、DACA(若年移民に対する国外強制退去の延期措置)の登録者に2万5000ドル(約277万円)提供したこともある。あれは素晴らしかった。自分の信念にも近い。いつもは政治に関してごく中立的なスタンスをとっているが、あれは娯楽として成立する形で、なおかつ観る人に考えを押しつけることなくDACAの話をするのに、いちばん安全で効果的なやり方だと思った。

――自身のアプローチはうまくいっていると思うか。もしそうなら、若いオーディエンスはいかにも広告というコンテンツを観たがらないのが理由か。

そうだと思う。オーディエンスは広告が流れている30秒間を無視する。何の広告かわかったら、あとのくだらないメッセージなど気にも留めない。

それが広告主の最大の弱点だ。(自分たちとの仕事の仕方が)わかっていない。ユーチューバーに頼むのはユーチューバーがパーソナリティだからであって、ユーチューバーは自分のチャンネルを誰よりもよくわかっている。広告主に台本を渡してはいけない。いくつかやるべきことを伝えるとしても、あとはユーチューバーのやり方に任せるべきだ。(もし台本を渡しても)ユーチューバーのやり方に任せるほど良いものにはならないから。

――数年前、YouTubeはブランドセーフティを高めるためにアルゴリズムを変更し、その結果ユーチューバーの収入が減少した。YouTubeでもっと稼ぐためにコンテンツを変えようと考えることは?

まさか、とんでもない! といっても別に「これは自分のコンテンツだ。大企業のために変えたりしない」などというのではない。考えの古い、ばかげたアーティスト気取りになっているわけでもない。オーディエンスが自分の動画を観てくれるのは、それが自分でそのように作ったものだからだ。特定のアジェンダや規定に合わせて何かを削ってしまったら、それはもう自分の動画ではなくなり、結局は利益よりダメージのほうがはるかに大きくなるだろう。

――YouTubeでうまくいかなくなったら次に何をしようと考えることは?

将来、自分がNBCに出ているのか、YouTube、あるいはNetflixに出ているのか想像もつかない。まったくの未知数だ。ほかへ手を広げて新しいことに挑戦し、YouTube以外のプラットフォームで受けるものを作ろうとはしている。でも、ほんの1年後にさえ、メインオーディエンスがどこにいるのか誰にもわからない。TikTok(ティックトック)がいきなり現れて、半年後には子どもたちが見る最大のプラットフォームになった。新しい時代のニコロデオン(Nickelodeon:アメリカの幼児・児童向け番組を専門とするケーブルテレビ)だ。あそこに出ている子どもたちがニコロデオンのスターのような存在であることは間違いない。いまはあそこにすべての注目が集まっている。「これからはTBSで番組を持とう。自分のYouTubeチャンネルなんか捨ててしまえ」などというやり方はばかげている。

――勝ち抜きリアリティ番組「アメリカズ・モースト・ミュージカル・ファミリー(America’s Most Musical Family)」に審査員として出演しているが、あれも手を広げる計画の一環?

あれに出た理由のひとつは、メインストリームのセレブリティを自分のチャンネルに呼び込めるような場所に出たかったからだ。多少は従来寄りの経歴もないと、ユーチューバーが人から信頼を得るのは難しい。

――マーケターに対し、若い世代について、またインフルエンサーと仕事をすることについて理解してほしいと思うことは?

彼らには、数字でなくもっとコンテンツに目を向けてほしいと思う。エンゲージメントとクリエイターを分けて見てもらいたい。数字だけではわからないことがある。

――あなたは動画のなかで、友人ジェイソン・ナッシュさんの75歳になる母親、ロレインさんと結婚した。今後もイタズラのために結婚する予定は?

次は本当の結婚をする。募集中だ。誰かいい人がいたら教えてほしい。自分は独身だ。もう完全に離婚したから。自分にとってステキな人なら、それで十分だ。

Kristina Monllos(原文 / 訳:ガリレオ)