「大学受験の参考書が月額980円で使い放題」サービスに若新氏「勉強系でサブスクは意味がない」
今月、月額980円で大学受験勉強向けの参考書が「使い放題」になるというサービスがスタートした。スマホアプリで30冊の電子参考書が使い放題になるというもので、参考書は随時追加し来夏には100冊に増やしていくという。
19日放送の「モーニングCROSS」(TOKYO MX)では、慶應義塾大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏がこの話題を取り上げ、
「ハウツーや勉強系のサブスクは、実は意味がないから皆さん気軽に手を出さない方がいい」
と、意見した。定額料金のサービス、サブスクリプションが様々な分野に広がりを見せているが、何でもサブスクなら良いというわけではなさそうだ。(文:okei)
「参考書やハウツーものは、使い放題にするとまずい」?
若新氏は、「いま音楽や漫画も一個一個買うのではなく、使い放題の定額制で便利になってきている」と、サブスクリプションのメリットを認めつつ、今回は「参考書」という部分を問題視している。
ネット記事のコメントに、「これで参考書をたくさん買えない家庭の子も助かるね」と喜ぶ声を見たという若新氏は、
「漫画などただ楽しむことに時間を使うものなら、使い放題でいいと思うんですけど、 参考書やハウツーものは使い放題にするとまずい」
と異を唱えた。
例えば、世の中では同じような内容のダイエット本が売れ続けているが、それは「一冊の本に書いてあることをちゃんと全て完結できる人が、この世にほとんどいないから」だという。おそらくダイエットできない人の中には、ネット通販などで「これさえあればあなたは痩せられる」という器具や、様々なダイエット本・トレーニング DVD などが部屋の中にあふれかえっていることがあると分析。痩せるためには、ひとつのやり方を最初から最後まで、例えば30日間や60日間、全てやりさえすれば効果が出る。しかし、それを続けられないため、次々と別の手法に手を出してしまう人が多いという。
できる人は「どれでもいいので、いまのレベルに合ったものを1つ1つクリアする」が、できない人のほうが多いため、「"これなら続けられるかも"という新たな手法が、次々に発売されて永遠に売れ続ける」という。
「毎年毎年新しい本が本屋に並び続けるのは、コンプリート出来る人はごく一部できっと98%ぐらいの人が、その一冊をやりきることができていない」
などと、ハウツー本が売れる仕組みを説いた。
受験勉強は「教科書や、学校の先生が勧めてくれる一冊があればいい」
「実はこの10年、色々な学習塾をお手伝いしてきた」という若新氏。勉強が苦手な子が陥りがちな落とし穴として、ひとつの章や単元を完璧にできていないまま次のステップに進むことが多く、どこが出来ないのか自分でも分からなくなってしまう問題があるとのこと。基礎部分を完璧に固めてから、次の段階に行くことが必要だと解説した。
受験勉強は、「基本的な部分をコンプリートできるか」がとても大事で、「勉強系に関しては、読み放題で読めるからといってあれもこれも手を出せば学力が上がるかと言うと、全くそういうことではない」と重ねて指摘。
「勉強は一冊ずつ完璧にする」
「教科書や、学校の先生が勧めてくれる一冊があれば、本当はそれでいい。その本を頭からお尻まで完璧に解けるようになれば、まず基本的なことはできて、受験のときもある程度の点数まで取れる」
ということを強調した。
若新氏は、基礎部分が完璧になって初めて、次はどんな本や授業を採り入れればいいか、自分で考えて答えを出すことができるという。受験勉強に悩んでいる人は、サブスクに頼らずに 「まずは学校で配られたワークシートを一冊ずつ完璧にする」ことを薦め、受験生を励ました。
ネット上では、「定額制、払っても使わないことのが多いからなぁ…」など、参考書のサブスクに対して懐疑的な声も見られた。もちろんうまく活用できる人もいるだろうが、「選択肢がありすぎる」ことの危うさを教えてくれたように思う。
番組終了後、キャリコネニュースの取材に対して若新氏は「偉そうなことを言っているが、自分もあれこれ手を出して、一つずつちゃんとやれない性格だった。ダイエットも方法ばっかり調べて何度も失敗した。そんな人は多いと思う。だからこれからも◯◯放題というサービスはどんどん増えるだろうが、それに惑わされない賢さが必要になってくると思う。自戒も込めて」と語った。