ミシガンに続きニューヨーク州でも電子タバコ販売禁止へ。10代への悪影響や肺疾患増加を懸念
米国ではJUULに代表されるフレーバー付き電子タバコの10代への普及と影響が問題化しており、いくつかの州や都市がすでにフレーバー付き電子タバコ販売禁止に乗り出したほか、先日はトランプ大統領が全米でのフレーバー付き電子タバコの販売禁止を検討するよう保険福祉省(HHS)や食品医薬品局(FDA)に提案したことが報じられています。

この流れは徐々に拡大しつつあるようで、今度はニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事が、フレーバー付き電子タバコの販売を禁止する緊急の行政措置を実施することをTwitterで明らかにしました。クオモ知事は電子タバコが未成年者を喫煙に呼び込む手段となっており、さらに電子タバコとの関連が疑われる呼吸器疾患の全米での増加といった状況から、電子タバコへの規制を強める姿勢を示していました。特に電子タバコとの関連が疑われる肺疾患の拡大では、患者の多くに電子タバコの成分に含まれるテトラヒドロカンナビノール(THC)が影響していると米疾病対策センター(CDC)が指摘しています。THCは大麻に含まれる向精神作用成分であり、CDCはTHCを含む人体に害をおよぼす可能性のある物質が肺疾患を引き起こした可能性があるとしています。

クオモ知事は、保険福祉省が示した統計情報で10代の電子タバコ使用者数が急増している点を指摘しています。データによれば、米国の高校生の27%が電子タバコを使用しており、その数は2014年から160%増加しているとのこと。知事は2017年の時点でも州の10代の若者の19%がフレーバー付き電子タバコを使用し、27%がそのフレーバーを楽しむことが電子タバコの使用を続ける理由としていたことも述べています。そして電子タバコが無害だと誤った情報を流布するメーカーを非難し、循環器や呼吸器疾患の原因になる可能性があると強調しました。

今回の緊急措置によって、ニューヨーク州は未成年に電子タバコを販売する小売業者への規制も強化します。これには、たとえば未成年のボランティアを使った覆面調査なども含まれるとのこと。フレーバー付き電子タバコを州レベルで禁止するのはミシガン州に続いてニューヨーク州が2つめとなります。人口の多いニューヨーク州での販売禁止は、電子タバコメーカーにとって大きな打撃になりそうです。

すでに2つの州がフレーバー付き電子タバコの販売禁止を決定したわけですが、冒頭に述べたとおり米国政府もフレーバー付き電子タバコに厳しい対応を求める方向へ動いています。現状ではいずれも"タバコ風味"の電子タバコは規制対象外ですが、これも10代の使用が集中するようになれば、やはり規制されることになるかもしれません。