映画『万引き家族』第21回上海国際映画祭舞台挨拶が23日に行われ、松岡茉優、城桧吏、是枝裕和監督が登壇した。

開口一番に、「ニイハオ(笑)」と中国語で挨拶をし、会場から大きな拍手が送られた是枝監督は「こんにちは。こんなに沢山のお客さんに集まっていただいて、自分の新作をここで観ていただけることを嬉しく思っています」と挨拶。

次に、「本日は、来てくださってありがとうございました!」と城くんが挨拶をすると、大きな歓声と拍手が。「映画、面白かったですか?」と観客に問いかけると、会場から「はいー!」と日本語でレスポンスが返ってくる一幕も。

続いて、中国でも多くのファンを持つ松岡の番になり「ニイハオ」と中国で挨拶をすると、更に大きな歓声と拍手が。「本当にこんなに沢山の方にこの映画が届いて、本当に嬉しいです!今日は監督に聞きたいことを何でも聞いてください!」と挨拶した。

その後、MCより、受賞したことで中国も含め、世界中で非常に注目を集めていることについて問われると是枝監督は「とても大きな賞で、日本国内でもニュースで取り上げていただけるような、新聞の一面に載るような事件になってしまったので、僕だけじゃなくて、桧吏くんも街を歩いていると、あ、あの映画の子だ、と気づかれるような状況になっています。でも、こういう形で映画館の外にどんどん広がっていくというのはとても良いことだと思っているので、すごく前向きに捉えていますし、僕自身は今回の受賞をきっかけにして、勿論この中国でもより多くの方たちにこの映画を届けられればいいなと思っていますし、次回作をつくることが少しスムーズにできるようになればと思っています」とコメント。

また、松岡は、中国の取材を受けた際に、諧星(シェシン)=コメディスターと勘違いされていることを知ったそうで、観客に「私は女優です!ね、監督?!」と妙な誤解を晴らす場面もみられ、観客から笑いを誘った。

是枝監督は「松岡茉優という女優はですね、お笑い芸人ではありませんけども(笑)、非常にコメディエンヌとしての才能が本当にずば抜けているので、僕は今回かなりシリアスな状況で彼女を撮らせてもらいましたけど、非常に幅広く役をできる女優さんだと思っていますので、是非中国でも彼女が観たいと思っています」とアピールすると、大きな拍手が起こった。

また、作風について問われると、是枝監督は「あまり自分の作風というのを考えているわけではないんです。撮りたいなと思う作品に適した、一番相応しいカメラワーク、カメラアングルというのを探ろうという感じでしょうか。ずっと基本はそこなんだけどやはり、デビューしたときに比べると、今の方が、僕が選んだ役者をどう撮るか、その感情をどう撮るか、一枚の画をつくっていくというよりは、より人間に近いところに僕自身の気持ちとかカメラというのが、存在しているんじゃないかと思っています。そういう変化はあります」とコメント。

その後は、観客からのQ&Aを実施。「今後一番やりたい役はなんですか?」という質問に対し、松岡は「是枝監督に〜また使ってもらえることです♡」と回答し、またもや笑いと拍手を誘い、次に、撮影での役つくりについて問われると「撮影を通して、キャストの皆さんとぎゅうぎゅうな時間を過ごしていたら、本当の“家族”のようになっていったし、大女優の樹木希林さんの隣に座れるようにもなったし、本当にあの時間は“家族”そのものでした」と明かし、「でも、最近、桧吏が男の子になってきて、ちょっと触ると嫌がる…」と寂しげな表情もみせた。

どの役柄に一番時間をかけましたか?という質問に対し、是枝監督は「あんまり順番はつけられないんだよな…でも、ここにいるからいうわけではないけど、松岡さんの役は最初書いていたのとは全然違う役だったんですよ。松岡さんと会って、どうしてもこの子が撮りたいなと思って松岡さんを選んだわけですけど、希林さんに映画の中では詳細に描かれない役柄の背景の部分について多くご指摘を受け、希林さんはそういうところに対して、すごい鋭いので、そこが脚本として甘いんだなと思って、書き直していきました。そういった作業が、役者さんとの意見交換の中でできていくということが、監督にとってとても素晴らしい充実した作業なんですけど、今回はそれがとてもよかったと思います」と明かした。

映画『万引き家族』はTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開中

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