『君が君で君だ』松居大悟監督、“タッチ”理論で愛を語る「絶対たっちゃんの方が南のこと好き」
クリエイターの「学びたい」サポートするフェローズ主催SSFF&ASIA連動イベントが21日、都内・フェローズレセプションカフェにて行われ、映画『君が君で君だ』の松居大悟監督と阿部広太郎プロデューサーが出席した。
松居大悟監督作の短編映画『花瓶に花』の上映後、松居大悟監督、阿部広太郎プロデューサーが登壇すると大きな拍手が沸き起こった。『花瓶に花』を製作した経緯を聞かれると、松居は「『アズミ・ハルコは行方不明』に出演してもらった石崎ひゅーいくんに「花瓶の花」というアルバムを出す時に、「花瓶の花」という大事な曲のMVを作ってほしいと頼まれました。そう言って頂くことは嬉しく、引き受けました。この曲は素直で素敵なバラードだったので、ひゅーいくんと話しながらまっすぐに作ろうと決めました。短編映画にしたらもっと伝わると思いMVだけでなく映画として作ることにしました。編集しながら泣いた作品はこれが初めてでした」と語る。
新作『君が君で君だ』の製作の経緯を聞かれると、「脚本が書けなくて“理性が邪魔だ!!”とか言っているくらい、うまくいかず、限界が来ている2011年頃、テレビとか目に映るすべての作品に苛立ちを感じていた。恋愛ドラマでは、人の愛は付き合ったり、結婚したり歩み寄ることだけがゴールとされていることが疑問に思った。見つめ続けること、何者かになりたい、自分を押し殺してその人のためだけの誰かになるのもいいのではないかと僕なりの愛を描いて作った」と本作のきっかけとなる舞台の誕生秘話を語ると、阿部が「この舞台を見たときに抱いた、心を貫通するような衝撃がずっと忘れられなくて、映画にしようと話を持ちかけた」と当時の心の内を懐かし気に語った。
松居は「高校生時代に僕は、“告白はエゴだ、自分の気持ちを伝えたいだけ。本当に好きだったら自分の気持ちは押し殺せよ、この子の人生の邪魔をするなよ”と思ってました」と語ると、続けて「僕は『タッチ』理論が好きで、(浅倉)南がご飯を作ってあげるシーンで(上杉)和也は「おいしいよ、南」って言うけれど、(上杉)達也は無言でおかわりしていて、絶対たっちゃんの方が南のこと好きだろうって感じました」と、言葉ではなく行動から滲 み出る愛について熱く語り会場を沸かせた。
さらに松居は「高校生試写会の時に“小学生の時に好きな子を目で追いかけてしまうとか、机を少し触りたいとかリコーダーを舐めたいとかに通ずるものがある”と言われて、すごく納得した。下心が無く、ただそうしたいだけの純粋な気持ちがこの作品にもあって、もしかしたら僕はずっと小学 生の気持ちを描いてきたのかなって気づかされました」と語ると、会場から笑いが起こった。
また、これまでも青春映画を手がけてきた松居監督にとっての「青春とは?」を聞かれると、「青春映画を撮ってるつもりはあまりないのですが、まだ言葉になる前の感情をどうにか表現したいと思っていて、それが青春と言われる表現につながっているのだと思います」と松居ならではの自論を熱く語り、トークイベントは盛況の中終了した。
映画『君が君で君だ』は7月7日(土)より全国公開
(C)2018「君が君で君だ」製作委員会
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