“日本一”のイケメン学校栄養士「給食の先生が僕の中のヒーローだったんです」
実力とルックスの良さを兼ね備えた、日本一の“イケメン”学校栄養士こと松丸奨先生。その給食にかける情熱は熱く、子どもたちのみならず保護者からも絶大な支持を受けているのだといいます。そんな松丸先生の“黒一点”の奮闘ぶりをお届けします!
★松丸先生が全国学校給食甲子園で受賞した給食、実際に学校で出した給食
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日本一の“イケメン”学校栄養士が東京にいる。文京区立金富小学校の松丸奨先生(34)だ。
毎年、2000校以上の応募がある『全国学校給食甲子園』(主催=特定非営利活動法人21世紀構想研究会)。地元食材を取り入れたおいしい給食で、食育を啓発すべく、栄養教諭らが知恵と腕を競う。
この大会で松丸先生は’13年(第8回)に優勝、’14年(第9回)でも準優勝という快挙をなし遂げた。
「東京は圧倒的に不利なんです。誰もが思い浮かべる特産物がありませんから。今まで、東京などの都心部で優勝した学校はなかったそうです。また、男性の栄養士の優勝も初でした」
男性なのに、栄養教諭を志したのはどうして?
「僕は“給食バカ”なんです(笑)。子どものころは、好き嫌いが激しくて。トマト、レタス、キュウリ……野菜はすべて大嫌い。背は低く、風邪もよくひき、給食も苦手でした。そんな僕に、給食の先生(学校栄養士)が“ひと口でいいから食べてごらん”と言ってくれたんです。
食べてみたら、翌日、できなかった逆上がりができて。“すげぇ!”と感動しました。たまたまだったんでしょうが(笑)、それ以来、給食が大好きに。そして給食の先生は僕の中のヒーローになりました」
高校3年生で進路に迷ったとき、担任の先生は“いちばん好きなもの”に携わることをすすめてくれた。
「給食しか思い浮かびませんでした(笑)」
「松丸先生も、松丸先生の給食も大好き!」
千葉県松戸市で生まれ育った松丸先生だが、教育実習は東京の小学校に。
「都会の現代っ子に驚きました。土を触ったこともなければ、魚は切り身が海を泳ぎ、じゃがいもはフライドポテトの形をしていると思っている。この子たちに真剣に向き合って、自分が感じた食の喜びや感動、おいしさを伝えたいと思ったんです」
担当校で、決められた栄養価・コストを順守して給食の献立を作り、衛生管理などに努めるのが学校栄養士の仕事。前任の文京区立青柳小学校で、松丸先生は“黒一点”の奮闘を始める。
「調理師が、栄養士に物申せない風潮は嫌でした。子どもたちのためになるなら、必ずしも僕の指示どおりでなくてもかまわない。より食感のいい切り方に工夫するなど、子どもたちの笑顔を何より優先してほしいとお願いしました」
朝は誰より早く、5時30分に学校へ到着。納入業者を笑顔で迎え入れている。
「FAX注文だけの関係なんて寂しいじゃないですか。また、毎日、給食の時間には全クラスに顔を出すようにしました」
“給食の先生が何しに来たの?”という反応は、いつしか“松丸先生、待ってたよ。今日はこれがおいしかった!”に。青柳小学校で、小学1年から5年まで松丸先生の給食を食べていた石川柚希ちゃん(12)はこう語る。
「松丸先生も、松丸先生の給食も大好き! 5年生のとき、私と友達が考えたパッションフルーツのゼリーを先生がアレンジして、給食に出してくれたんです。すごくうれしかった」
柚希ちゃんの母親・希代子さんも、
「松丸先生の他校への異動は、保護者にとってもショックでした。先生がくださった、わが子の好物の手書きレシピは家宝です」
ほぼすべての時間を給食に捧げている
常々、土地のものを子どもたちに食べさせてあげられないかと考えていた松丸先生。
「大根のような見た目の品川カブ、ぷりっと丸みのある寺島ナスなど、“江戸東京野菜”はあるんです。でも、どうやったら給食で出せるのか? 農家さんに電話をしてみたんですが、あまりに唐突。不審がられてしまいました(笑)」
生産農家が限られる江戸東京野菜を給食で出すのは簡単ではない。松丸先生は農家を直接訪ね、農作業を手伝いながら信頼関係を築き、そして学校給食用の野菜を確保した。
「僕のライフワークが『全国学校給食甲子園』のコンセプトに合致した。だから優勝できたんだと思っています」
休日は農家で作業しているか、給食の試作をしているか。平日の帰宅後も給食の試作。睡眠時間は約3時間半。ほぼすべての時間を給食に捧げている。
「もっともっとおいしい給食を作りたい。日本じゅうの子どもたちに給食を好きになってもらい、笑顔になってもらいたい。そのためにできることは、何でもやりたいんです」
松丸先生直伝、揚げだしナス豆腐の作り方
そんな松丸先生が、今の子どもが嫌いな野菜1位の“ナス”を使ったレシピを教えてくれました。これなら子どもたちも大喜びで食べてくれるかも?
「今の子はピーマンよりも、圧倒的にナスが嫌い。原因は火を通したときの見た目の悪さや色です。でも、それを回避する調理法はちゃんとあります」
【揚げだしナス豆腐】
◎材料(2人分)
ナス1本、木綿豆腐1/2丁、片栗粉適量、揚げ油適量、青ねぎ10g、A【水200ml、しょうゆ大さじ2、みりん大さじ2、砂糖小さじ1、乾燥昆布1かけ(約1cm×5cm)】
◎つくり方
【1】ナスを縦に4等分に切る。豆腐はキッチンペーパーでくるみ、水けをきってから半分に切る。青ねぎは小口に切る。
【2】豆腐に片栗粉をまぶし、油を180度に加熱し、ナスと豆腐を揚げる。
【3】別の鍋にAを入れて、1度沸かす。揚げたてのナスと豆腐をお皿に盛りつけ、上からAのタレと青ねぎをかけて完成。
<プロフィール>
まつまる・すすむ◎小学校栄養士。栄養士として病院勤務したのち、小学校の栄養士に。子どもが喜ぶ給食作りに邁進している。ドラマ『Chef〜三ツ星の給食〜』の監修も。