日本の家庭で最も一般的に使われている食用油といえば「サラダ油」。値段が手頃な上、料理の用途が広いため台所になくてはならない存在です。ところで、一般的に油の名前といえば「ゴマ油」「オリーブオイル」など原料名がそのまま冠せられている場合がほとんど。しかし、サラダ油の「サラダ」をそのように受け取ることはできないでしょう。

 オトナンサー編集部では、この「サラダ」の由来について日清オイリオグループ コーポレートコミュニケーション部の北川聡さんに聞きました。

国内初のサラダ油は1924年に登場

 そもそも、サラダ油は1924年、日清製油(現・日清オイリオグループ)が「日清サラダ油」という名称で日本独自の食用油として発売。これが国内初のサラダ油の登場です。

「当時の日本で、食用油は主に揚げ物などに使われていました。一方、西洋ではすでに、オイルに塩やこしょう、酢などを加え、ドレッシングのように生野菜にかけて食べる習慣がありました。そこで当社は、サラダ料理などに生でも使用できる食用油を開発。より精製度を高めた良質な食用油を『サラダ油』と名付け、売り出したのです」(北川さん)

 つまり、サラダ油の「サラダ」とは、生野菜のサラダにかけておいしく食べられるように開発されたことに由来しています。

 なお、サラダ油の定義は現在、日本農林規格(JAS)によって「菜種・綿実・大豆・ゴマ・ひまわり・トウモロコシなどを原材料にしたもので、低温下で保存しても固化したり濁ったりせず、サラサラの状態を保つことができる油」と決められています。

 ちなみに、スナック菓子などで見かける「サラダ味」の「サラダ」は、野菜サラダの味がするわけではなく、実はサラダ油のこと。お菓子などの生地を焼いた後、サラダ油を塗って塩をまぶすため、サラダ味と呼ばれるようになったといいます。サラダ味という名称が使われ始めた1960年代はサラダ油が高価だったことから、高級感を出すために「塩味」ではなくサラダ味としたそうです。

(オトナンサー編集部)