AFX通信によると、前日に通貨バスケットを参考に人民元の相場を決める管理フロート制への移行を発表し、即時実施した中国人民銀行(中央銀行)は22日、ドル以外の通貨に対する人民元レートの1日の変動幅を取引基準値(1ドル=8.11元)の上下各1.5%とすると発表した。また、同中央銀行は、21日午後7時(日本時間午後8時)から、取引基準値をこれまでの1ドル=8.27-8.28元から8.11元に2%切り上げ、ドルに対する人民元の変動幅をこの新基準値の上下各0.3%とした上で取引を開始した。

  翌日22日の上海の外貨取引センターでの人民元相場は、上伸して寄り付き、午前8時26分(日本時間午前9時26分)現在で、1ドル=8.11元で推移していた。また、アジア通貨危機の1997年以降、人民元は対ドル相場で1ドルは8.27−8.28元で事実上、固定されていたが、今後、ドル以外の通貨も参考にする通貨バスケット制に移行する。中国人民銀行は、バスケット制に採用する他の通貨の種類についての詳細は明らかにしていないが、貿易相手国との貿易決済額に比例したウエートを考慮するものとみられている。

  一方、中国がドル・ペッグ制を廃止したことに伴い、バンク・ネガラ・マレー シア(マレーシア中央銀行)も自国通貨を1ドル=3.8リンギットと事実上固定していたドル・ペッグ制を廃止し、一定のレンジ内で変動させる管理フロート制へと移行した。このため、22日のアジア為替市場では、リンギットは朝方から対ドルで0.4%ほど上伸して寄り付き、日中には3.78−3.785リンギットで取引されている。

  また、AP通信によると、前日のニューヨーク市場では、人民元の切り上げを背景にアジア通貨高の連想から買われていたアジア通貨は、翌日のアジア為替市場でドルはまちまち。朝方はシンガポール・ドルが1.7%、台湾ドルが1.3%、韓国ウォンが1.5 %とそれぞれ対ドルで上伸して寄り付き、午前中(午前11時30分現在)、韓国ウォンが1023.5ウォン(前日終値は1035.5ウォン)、インドネシア・ルピアが9742ルピア(同9782ルピア)と上伸したが、シンガポール・ドルは1.6593シンガポール・ドル(前日終値は1.6518シンガポール・ドル)と下落した。 【了】