CBS MarketWatchによると、12日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で、米国標準油種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の8月物の終値は、石油精製施設の集中するメキシコ湾岸へのハリケーン「デニス」による被害が明らかになる中、新たに発生したハリケーン「エミリー」による今後の被害が予想され、石油供給不安が拡大し、一時1バレル=61.25ドルまで上昇、前日比1.70ドル高の1バレル=60.62ドルと4営業日ぶりに反発した。

  また、NYMEXの天然ガス先物相場でも、ハリケーン被害によるエネルギーの供給懸念が高まったことから、8月限が一時、2004年11月以来の高水準となる、前日比8.6%高の100万Btu=8.14ドルをつけ、4月初旬以来の高値となる同5.2%高の7.885ドルで引けた。

  MMS(米鉱物資源管理部)は11日、ハリケーン「デニス」による米メキシコ湾岸への影響について、石油精製施設などの閉鎖により、予想を上回る量の原油・天然ガスの生産が妨げられたと発表した。原油は同湾岸日量の96.2%に当たる日量140万バレル、天然ガスが同62.4%に相当する日量62億立方フィートとしている。また、MMSは12日夜、8日−12日の5日間で、原油は同湾岸年産量の0.9%に当たる500万バレル、天然ガスは同0.6%の177億立方フィート、生産できなかったとしている。12日の段階で、89の同湾岸地域の石油・天然ガスの生産施設が閉鎖されている。

  米エネルギー省は12日に発表した月間統計で、原油とガソリン価格が、2006年も引き続き高水準で推移するとの見通しを示した。原油価格は1バレル=55ドル以上、ガソリンの小売価格は1ガロン=2.20ドルを上回るとしている。また、今四半期の原油価格は、前月予想値を6ドル上回る、前年同期比15ドル高の1バレル=59ドルで推移する一方、今夏のガソリン価格は、前月予想値を8セント上回る、前年比35セント高の1ガロン=2.25ドルで推移するとしている。

  EIA(米エネルギー情報局)は11日、米レギュラーガソリンの平均小売価格が前週比10.2セント高の1ガロン=2.328ドルとなり、過去最高値を3ヵ月ぶりに更新したと発表している。【了】