AFX通信によると、米半導体最大手のインテルを反トラスト法違反の疑いで連邦地裁に提訴している米半導体大手AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイシズ)は今週、PC関連企業9社と、インテルと同9社の間で交わされたビジネス関係書類を保存することで合意した。AMDは、インテルがPCメーカーや卸売業者、小売業者に圧力をかけ、ライバル企業であるAMDの半導体を使ったPCを売らないようにしたと主張。AMDは合意した9社以外にも、20社以上に同様の合意を求めている。

  インテルと取引関係にある企業の幹部を証言台に立たせることは非常に難しいため、AMDが裁判に勝つかどうかは、こうしたビジネス関係のEメールや内部文書から証拠を見つけられるかどうかにかかっていると、反トラスト法に詳しい弁護士たちは見ている。

  AMDは、PC向け半導体の売り上げで、インテルに次いで2位だが、そのシェアの差は大きく、2004年にAMDの売上高が50億ドルだったのに対し、インテルの売上高は342億ドルで、インテル製品は全世界のパソコンに搭載されている半導体の80%以上を占めている。また、市場シェアの格差はさらに拡大している。AMDは2001年に市場の20.2%を獲得していたが、2004年には15.8%まで落ち込んでいる。今年初めには、PC最大手のデルが初めてAMDの半導体の使用に踏み切るとの観測があったが、結局、デルはインテル製品の継続使用を決めている。

  こうした状況下で、AMDは闘いの舞台を裁判所に移したが、同社は今のところ、インテルが市場での優位性を不当に利用し、不正競争を行ったとの主張を裏付ける内部文書を手に入れていないようだ。AMDが先月27日にデラウエア州連邦地裁に提出した48ページの提訴書類は、ほとんど、業界関係者が、インテルと交わした会話が中心となっている。

  AMDは、元コンパックCEOのマイケル・カペラス氏が、同社が購入しているAMDのマイクロプロセッサーの量が多すぎるとして、インテルの怒りを買い、「頭に銃を押し付けられるようにして」脅されたと主張している。AMDはまた、元インテルCEOのクレイグ・バレット氏がPC販売のエーサーにAMDの「アスロン64」プロセッサーを使わないように、「さまざまな場面で」脅したと主張している。

  こうした主張を証明するために、AMDは32社にインテル関連の書類の書類を保全するように求めた。このうち、14社は回答を寄せ、9社が書類の提供に合意している。このなかには、米家電販売のサーキットシティ・ストアズ、ゲートウエイ、ソニー、サンマイクロシステムズが含まれている。裁判書類によると、18社は回答を出さなかった。東芝は交渉に応じず、デルと日立製作所は要求を考慮すると約束している。【了】